銀行家のホットロッド?豪華さでよりもパワーを追求した高級セダン

RM Sotheby's

メルセデス・ベンツ450 SEL 6.9は、300SEL 6.3の後継モデルに当たる高性能サルーンである。V8エンジンは6.3に積まれていたものをボアアップしたもので、1972年登場のW116型Sクラスのロングホイールベース版をベースにし、1975年から1981年までに7380台が生産された。450SEL 6.9は非常に複雑なメカニズムを持つ車だった。

『カー&ドライバー』誌の1977年7月号には、レンジローバーの設計者として有名なブリティッシュレイランド(BL)のチーフエンジニア、スペン・キングの言葉が引用されているが、彼は「もし物事をもっと複雑にする方法があるなら、ダイムラー・ベンツのエンジニアが知っているはずだ」と語ったという。


 
この巨大なメルセデスはシトロエン以外でハイドロニューマチック・サスペンションを採用した初めての市販車だった。ダンパーとして働くオイルとスプリングとして働く窒素ガスを利用するサスペンションのバネレートは荷重とともに増すために、標準状態でのバネはソフトでボディがフラットに保たれるという特徴があった。
 
6834ccのV8は鋳鉄ブロックとアルミヘッドを採用、気筒当たり2バルブのOHCでカムシャフトは非常に長いチェーンで駆動されていた。オイル潤滑はドライサンプ式である。すべてのエンジンは4時間半のベンチテストにかけられ、うち40分は全開運転だったという。1977年に『モーター』誌が行ったロードテストでは最高速144mph(231km/h)、0-60mph加速7.9秒を記録している。車重が2トン近くもあるせいで燃費は14.7mpg(約5.2km/リッター)だったが、現オーナーのアイムレイは、15~18mpgぐらいは走ると話している。




 
"銀行家のホットロッド" と異名を持つ6.9は決して豪華なモデルではなかった。ダッシュボードはウッド張りで強力なエアコンを装備していたが、内装は標準型Sクラスと同じ。ミラーやシートは手動式で、ほとんどのヨーロッパ仕様はベロアシートカバーが備わっていた。だが非常に高価で、発売時の英国での価格は標準的モデルの倍の2万2000ポンドもした。

編集翻訳:高平 高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Andrew English Photography:James Lipman

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