オフィシャル シェルビー、いよいよ日本上陸。さらなる"Performance"が、リーズナブルに入手可能

Photography:Ken TAKAYANAGI


 
インテリアは、メータークラスターが12インチの液晶になるなどモダンな印象だ。シートはオプションのレカロ製シートが備わっており、しっかりと体をホールドしてくれる。センターコンソールにはダイヤル型のドライブモード切り替えボタンが備わり、ノーマル、スノー/ウェット、スポーツ、トラック、そしてゼロヨン用のドラッグストリップが選択可能だ。

ステアリングには操作スイッチが集約されており、またオプションのテクノロジーパッケージによってバング&オルフセンサウンド・システムやブラインドスポットインフォメーションシステムなど、安全快適性も高められている。

オプションのレカロ製レザートリムシートを装着。

 
スタートボタンを押すと、エンジンが瞬時に目覚めた。暖気を終えると野太いアイドリング音の粒がキレイに整っていく。フォードは1990年代にヤマハとの協業でOHCヘッドの開発に着手し、伝統的なOHVからの乗り換えを図った。そうして生まれたのがDOHCヘッドの5.0Coyoteだ。フォードの主力V8エンジンとなったCoyoteは2018年に大改良が加えられ2割以上の出力向上を果たしている。シェルビーGT500 のエンジンはそれを5.2リッターにまで拡大し、さらにスーパーチャージャーで加給。カタログ値では760馬力をうたうものだ。この個体は事前にラスベガスのシェルビーアメリカン社でシャシダイにかけられ、タイヤの抵抗など諸条件のあるなかで実測で約660馬力を計測しているという。

GT 500用のエンジンはハンドビルドされており、プレートにマイスターのサインが刻まれている。

 
ノーマルモードで走りだす。足回りには電子制御のMagneRideダンピングシステムが備わっており、意外なほど乗り心地がいい。これならば街乗りもまったく苦じゃない。高速道路にのってスポーツモードへと切り替え加速を試みる。レッドゾーンは7000回転を超えるだけにエンジンが軽く吹け上がる。トランスミッションは7速DCTとなっており、切れ味鋭くシフトアップしていく。ダンパーはぐっと引き締まり、リアにはトルセンLEDを備えていることでコーナーでの回頭性も高い。以前第6世代のGT500に試乗したことがあったが、それとはまったくの別物だった。岩谷氏はこう解説する。

ハイグロスブラックの20インチアルミホイールの内側にはフロントには6ピストン、リアには4ピストンの赤いブレンボ製キャリパーがのぞく。タイヤはフロント305/30 ZR20 、リアは315/30 ZR20のミシュランパイロットスポーツ4S。

標準のリアスポイラー。オプションでカーボンファイバーGT4トラックウイングも用意されている。


「GT500はやはりシェルビーが監修しているだけあって、レーストラックを意識した車です。コルベットのC8と比べても負けていません。普通の人ならハイテクなC8のほうが速く走れるかもしれませんが、腕のある人がドライブすればGT500 のほうが速い。映画『フォードvsフェラーリ』じゃないですが、シェルビーの手が加わればサーキットでフェラーリにだって負けないくらいに速く走れます」
 
写真のものをはじめハットだけでも6種類をラインアップ。価格は各4800円(税別)

GT500には日本車とも欧州車とも違う、明確な個性がある。そして、いまや欧州の高性能車が軒並み2000万円を超えるなかでマスタングのコストパフォーマンスの高さは群を抜く。もし、ツルシに飽きたら、シェルビーでカスマイズすればいい。ホールセールディーラーの出現によって、さらなる"Performance "が容易に手に入るようになったのだから。

文:藤野太一 写真:高柳 健 Words:Taichi FUJINO Photography:Ken TAKAYANAGI

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