ファントム・オリベ登場|ロールス・ロイスとエルメスが手掛けた「陸のジェット」

(C) Pierre Peron

ロールス・ロイス・モーター・カーズと、エルメスとのコラボレーションにより製作された華麗なるビスポーク仕様の「ファントム・オリベ(織部)」。車両オーナーは実業家の前澤友作氏である。前澤氏は、この車を「陸のジェット(ランド・ジェット)」と呼び、プライベート・ジェットで移動するときの静けさと排他性を路上でも実現することを想定しているのだという。



エクステリアには印象的なグリーンが施されている。これは日本古来の陶器「織部焼」の熱心なコレクターである前澤氏の希望で、織部の特徴的な暗緑色とクリーム色の釉薬で彩られた。グッドウッドのサーフェス・フィニッシュ・センターのスペシャリストが何か月もかけて開発したこの塗色は、この世紀の焼き物の特徴である光沢ある暗緑色の釉薬を見事に再現。エクステリアの下部は、美しさを締めくくるクリーム・ホワイトで仕上げられている。ロールス・ロイス・モーター・カーズは、この特別なビスポーク・カラー「MZオリベ・グリーン」を前澤氏のプライベート・ジェットにも使用できるようにしたという。



(C) Kaoru YAMADA

インテリアは主として「エルメス・エネア・グリーン・レザー」で仕上げられた。ステアリング・ホイール、ダッチェス・ストラップというグラブ・ハンドル、ギア・セレクター、クライメート・コントロール設定用のロータリー・コントローラーなど、カスタマーが直接触れる細部にこの素材が採用されている。





エルメス・レザーは、ダッシュボード上部、インテリア・ピラー、リヤ・パーセル・シェルフなど、あらゆる箇所に採用されて室内を包み込む。グローブ・ボックスやラゲッジ・ルームのライニング、センター・コンソール、デカンタ収納部やシャンパン・クーラーなど、目立たない箇所にもエルメス・レザーを使用されているのだ。



このプロジェクトが両メーカーの真の共同作業により行われ、両ブランドの相互理解を示す証として、グローブ・ボックス・リッドには「Habillé par Hermès Paris(エルメス・パリによる装飾の意)」 の文字が刻印されている。



後部座席用ヘッドレストのクッション部分やカーフ・サポートには、繊細なエルメスのパイピングが施されている。また、柔らかなシーシェル・ホワイトのアクセントと、色を合わせたラム・ウール製フロア・マットが、全体として明るく広々とした印象をもたらす。



インテリアにおいても、随所にロールス・ロイス・ビスポークのデザインや職人の技術が活かされており、例えば木製スピーカー・グリルは、ドアに貼られたオープン・ポア・ロイヤル・ウォールナットのベニアに丁寧に穴あけ加工を施したもので、継ぎ目のない美しい質感と繊細な手触りを生み出している。さらに、センター・コンソール、リヤ・コンソール、ピクニック・テーブルの背面にもオープン・ポア・ロイヤル・ウォールナットを使用。またロールス・ロイス初の試みとして、ドア・アームレスト、センター・コンソール、リヤ・コンソール、さらに特筆すべきはヘッドライナーに、エルメスを代表する「Toile H(トワル・アッシュ)」キャンバス地を採用した。



エルメスは、乗馬の伝統と革新的なクラフツマンシップのノウハウを車のインテリアに注ぎ、馬具職人が使用していたステッチやエッジ・ペイントの技術を使ってレザー張りを仕上げた。ファントムの「ギャラリー」はロールス・ロイス独自の装備品であり、ダッシュボードの幅いっぱいにわたっている。エルメスの象徴的なスカーフを数多く手がけた著名なフランス人アーティストでイラストレーターでもあるピエール・ペロンのデザインをもとに、エルメスはファントムの「ギャラリー」のためのアートワークを制作。印象的なエルメスの馬のモチーフにインスパイアされたこの作品は、オープン・ポア・ロイヤル・ウォールナットを素材に手描きしたもので、アート・ギャラリーのようにガラス越しに飾られている。



ロールス・ロイス・モーター・カーズ最高経営責任者であるトルステン・ミュラー・エトヴェシュは、次のように述べている。「この荘厳で味わい深いロールス・ロイス ファントムは、世界の2大ラグジュアリー・ブランドの才能ある人々が、前澤氏のような、先見の明がありインスピレーションに満ちたお客様と密接に協力することで、どのようなことが可能になるかを示しています。その結果はひとりひとりの真心、専門知識、ビジョン、そして技能の集大成として、両社の職人や能力の粋を集めた作品となっています」

オクタン日本版編集部

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