150台もの個人コレクションを収めた博物館がドイツにオープン!

Nationales Automuseum

ドイツ・フランクフルトから北西約100㎞にディートツェルツタールという人口約6000人の町がある。そんな町に約150台の貴重な新旧の車を収めたミュージアムが7月23日にオープンする。ちなみにディートツェルツタールは栃木県下野市の姉妹都市でもある。



ミュージアムの名は「ナツィオナールス・アウトミューゼウム・ザ・ロー・コレクション」だ。最も古い車は1886年式で、最新のものまでが展示されるという。代表的なものを挙げるとミハエル・シューマッハが初めてワールドチャンピオンに輝いたフェラーリのF1マシン、ジョン・F・ケネディ米大統領のリンカーン・コンチネンタル、1台しか製造されなかった記録破りのマイバッハ・エクセレロなどが収められている。





そのほか、ブガッティ・タイプ57アタランテ、ランボルギーニ・ミウラSV、メルセデス・ベンツCLK GTRといったアイコン的車両や、耐久レース、DTM、NASCAR、F1、フォーミュラEを含むバラエティに富んだレーシングカーも揃っている。特に今年はル・マン開催100周年を記念して、ル・マン参戦マシンもアストンマーティンDB4GTザガート、ポルシェ917K、2004年の優勝マシンであるアウディR8など20台展示されるそうだ。









また、このミュージアムはニュルティンゲン・ガイスリンゲン経済環境大学の経済・法学部のキャンパスとしても使われるようで、ディートツェルツタールからほど近い、ディートツェルツェ・ディルという地域に2500年伝わる製鉄技術の展示コーナーが設けられているほか車、エンジン、電気自動車などのカットモデルもあるという。

要は若い人達に、このミュージアムを通して技術系に興味を持ってもらいたい、という意図があるのだ。

このミュージアムの正式名称に“ザ・ロー・コレクション”とあるように、ここをオープンさせたのはフリートヘルム・ローさんである。ドイツの長者番付ではトップ20入りしている「フリートヘルム・ロー・グループ」の総帥だ。某経済紙によると総資産は1兆円超えなんだとか…



「数十年前、エンジニアやデザイナーの偉業への憧れから自動車コレクションを始めたときには、現在の規模にまで膨らむとは想像もしていませんでした。何年か前から、このコレクションを一般の人たちにも見てもらいたいという願いがありました。そして、この願いは今、現実のものになりました。私がコレクションしたユニークな車は勇気、革新、先駆的なデザイン、職人の技芸、細部へのこだわりと同義です。興味を持つすべての人にインスピレーションを与え、刺激し、喜ばせ、楽しませることを目的としています。自動車と自動車工学のすばらしさに興味をお持ちの方は、ぜひ国立自動車博物館へお越しください」とありがたいお言葉もプレスリリースには記載されていた。

ミュージアムにもカフェ・レストランスペースはあるが、ガッツリと本格的に食事を楽しみたい人向けに「New York Restaurant」というレストランもミュージアムと同時にオープンさせる。ちょっと気になったのでGoogle Mapsで検索してみたら、「リタール」という会社(日本法人も存在)の敷地に隣接。さらに気になったのでリタールという会社を調べてみると、案の定、フリートヘルム・ロー・グループの傘下であった。





またGoogle Mapsには同地に「Classics Carmotions」なる自動車ディーラーの登録もある。これまたGoogle検索してみるとclassics-carmotions.comというドメインに辿りつき、WHOIS検索をするとドメイン所有者はLoh Services GmbH & Co KGとフリートヘルム・ローさんの関連と思しき会社が出てきた。きっとミュージアムの収蔵品の売買を行う会社なのだろう。

ノブレスオブリージュの一環なのか、相続対策への一環なのか定かではないが…、ドイツを訪れた際は、ちょっと立ち寄ってみたい。


文:古賀貴司(自動車王国) Words: Takashi KOGA (carkingdom)

古賀貴司(自動車王国)

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