ポルシェが好き!それだけで十分。ポルシェ愛あふれる「ポルシェ女子会」に潜入

Octane Japan

颯爽と…

11月のとある日曜日の朝、ポルシェオーナーの女性たちの集いがあるというので私も、“ワタシのボク(愛車のボクスター)”と共に皆さまに会いに行ってきた。

集合場所の富士スピードウエイホテルの駐車場はホテル前の坂道を下り、左折するように入る。参加車たちはそこから奥まで行ってUターンするようにこちらに向かって集合エリアのスペースに駐車をするのだが、その一連の車の動きが実に颯爽としていたのだ。どのポルシェも、どの女性も。ポルシェの身のこなしを持ってすればそれは当たり前と思われるかもしれないが、ドライビングポジションもカッチリと決まった女性たちが駆るポルシェは実に勇ましく美しかった。「ヤバい、最高ではないか」と台数が増えるほどますますワクワクも増すのだった。

今回は富士スピードウエイホテルで開催されている「富士ファンクルーズ」の特別企画、とでも言おうか。このイベントを知った方が「ポルシェ女子会を開催したい」とファンクルーズ運営者に問い合せ、実現したという。SNSで繋がる複数の女性が個々に繋がる女性たちに声をかけ、12名の女性と12台のポルシェが東海&関東からやって来た。実際は運営事務局の女性もポルシェオーナー、それに“私のボク”とで14台が駐車場に並んだ。



まずは今回のミーティングのきっかけを作ったカレ子さんにお話を聞いてみた。以前、ポルシェがツーリングをしている姿を見て、憧れのポルシェを購入したらご自身も実施してみたいと思っていたそうだ。約1年前からSNSなどで発信をしながら走り始めた女性ツーリングは2台(2人)からスタート。今ではインスタグラムとYouTubeをされているカレ子さんのもとに男女問わずポルシェオーナーやポルシェ好きたちも集まり、繋がりも拡がっているという。これまではお住まいの近隣、東海エリアを中心にポルシェの女性オーナーたちとドライブや美味しいもの楽しむツーリングを企画。6回目となる今回は12台の参加と、女子ツーリングとしては過去最大。「それだけで興奮します」と嬉しそうだ。



ここからは12名の女性たちとポルシェとの出会いやポルシェライフについて少しご紹介したい。

前述のカレ子さんはこの997型カレラSが1stポルシェだ。2020年に黒いボディと特にお気に入りのベージュの内装を纏うこの個体を見た瞬間に購入を決意。MTモデルだったため、このカレラのためにAT免許の限定解除をしたそうだ。乗るたびに乗り心地やコーナーの安定感に感動しているという。

いつかポルシェを所有してみたいという憧れを一瞬で叶えた方は他にもいる。

スタイルに惚れ、新車のケイマンを購入しようと意を決してディーラーに行くと、3年以上待つと言われたHALさん。購入モードにスイッチが入ってしまっていた彼女はそんなに待てないと悩んでいたところに少走行距離のマイアミブルーも美しい718ケイマンSが現われた。所有して1年半。見た目から入ったものの、乗るほどに運転のしやすさや剛性の高さにドライブが楽しみになったそうだ。お気に入りのクラシックラインのキーケースが可愛かった!



映画「トップガンマーベリック」のラストシーンに登場するナローポルシェに憧れ、そのカタチからポルシェ911を認識したというMegさん。ご主人の転勤を機に富士スピードウエイ(FSW)にも近い静岡エリアに引っ越したことで車を運転するようになったそうだ。もともと乗馬をするMegさんはFSWでレース観戦をするうちに“観る”よりも“する”=ドライビングへの興味が強くなり、FSWのパークトレーニングなどに参加。他の参加者が駆るポルシェのかっこよさに魅了され992カレラを購入したそうだ。ポルシェ デビューからわずか2カ月のMegさんはこの女子会でまた新しい楽しみ方を見つけたようだった。



18年間のニュービートルとの蜜月を経て981ボクスターに乗り換えたミユキさんは、オープンカー/ブラック色好きだったことから、981ボクスターのブラックエディションを知り、3年前に飛びついてしまったという。「正確で思い通りに動くポルシェのハンドリングの素晴らしさを知ってしまったら、もう他の車には乗れません。私にとってファースト・ポルシェのこの981はずっと手放さない。それくらい気に入っています」とミユキさん。



ポルシェのお尻が好きというかおりさんは車好きのお父様とフラッとディーラーを訪れたところ、少走行距離の718ボクスターと目があった瞬間に一目惚れ。「買わないのか?」というお父様の言葉に背中を押されオーナーになった。この夏、仕事が忙しくあまり乗れなかったというかおりさんは今回、SAで待ち合わせて4台で高速をカルガモ走行してきただけで大満足&感激。乗っているだけで楽しくワクワクする感覚は初めてで「飽きる気がしない」と満面の笑みで話してくれた。



女性は今回のような女子会でなくても「今日は何を着ていこう」と服装を考えるのが楽しみでもある。この日も様々なファッションスタイルで愛車のポルシェとやって来た女性たち。なかでも朝一番、愛車の後ろに所在なさげに立つCSさんとひとみさんの友人2名の姿が印象に残る。



乗るたびにバッテリーが上がっていたというお父様の718スパイダーが勿体なくて「それなら私が乗る!」と、MT操作をレンタカーで練習したというCSさん。彼女もまた車好きのお父様に感謝すべきだろう。運転にも慣れ、回転数を意識してシフトチェンジを意識するようになると、よりスムースな走りが面白くなってきた。あるとき久しぶりにお父様が乗ったら「あんたが乗り回すようになったらクラッチの感触もけっこう良くなって乗りやすくなったね」と褒められたそうだ。CSさんのMTドライビングテクニックが磨かれると同時に718も育って馴染んできた証拠だ。「オープンドライブでは海沿いのドライブや今日のように紅葉と頭上に広がる空を同時に楽しめて、他の車では味わえない魅力が詰まっています」とCSさん。

通りかかったショールームの中のクラシックデカールが目を引く、クリーム色の内装の987ボクスタースパイダーに一目惚れし、「これ、ください!」お店に飛び込んだというひとみさん。詳しい話しは省略するが、ひとみさんにとってこの987がなんとファーストカーなのである。ポルシェは名前を知る程度だったかったからこそ躊躇なく、純粋に初めて欲しいと思う車と出会い、その気持ちを抑えられなかったようだ。ディーラーの方との「とりあえずローンを通してみましょう」というところから商談が始まったというエピソードにひとみさんの勢いを感じずにはいられなかった。「他の車を知らないので比較は難しいけれど、私でも扱える馬力で操作感も良いです。運転も楽しいけれど、駐車場に停めて見つけたときにも「やっぱり可愛い!」って、毎回、キュンとして惚れ直しています」と、ひとみさん。

デニムのアウターにポルシェ誕生75周年記念カラーのスカートがお似合いのたま実さん。ケイマンから始まったポルシェライフは10年になるそうだ。オープンカーに乗りたくなってボクスターに乗り換え、もう少しだけパワーのあるモデルに乗りたくなりこの981ボクスターGTS(シルバー)を選んだ。ドライブのときの愛用品は使いこなしたグローブとサングラス、それとメントスだとか。「サイズも良く、パワーもちょうど良い。クルクルまわって(註:回頭性)、私のつたない運転でも上手くサポートして走ってくれます」というたま実さんはポルシェに乗るようになって同じ趣味を持つお友達が増えること、ポルシェとの生活にメンタル面でも色々と助けられていると嬉しそうに目を細めていた。



今回、今年購入したばかりのカレラT(992.1型)の慣らしを兼ねてカレラTで参加したRikaさんはこれが5台目のポルシェだという。これまで991.2(後期2017年式)のベースモデルカレラ、992.1(前期2021年式)のベースモデルカレラカブリオレなどを所有し、このカレラTはベースモデル=カレラのエンジンで左ハンドルのMTに乗りたくて選んだそうだ。「最初は一目惚れから始まったのですが乗ったら楽しくて、もちろん性能は言うまでもなく、さらにポルシェに乗っていることでポルシェ仲間と出会い、ポルシェに乗るまではサーキットを走るなんて考えたこともなかったけれど、走ってみたらとても楽しくて。とにかくいろんな世界を拡げてくれるのがポルシェなんです」とRikaさん。カレラTのこだわりはGTシルバーのボディをブラックのアクセントを施してまとめているところ。10月にアメリカで行われたレンシュポルトに参加した記念の75周年記念バッヂも早速付けられ、ポルシェライフを大満喫されている。




マニアックなポルシェがやって来た。996カブリオレ カーマインロット ゲンバラ仕様(1999年式)が3台目のポルシェとなる、なぞくまさんだ。現在もこの996の他に993タルガ、通勤用に981ボクスターを所有しているのだが、実は11年前に結婚を機にスポーツカー好きのご主人と初めてポルシェを購入して以来、7台目のポルシェになるそうだ。996を選んだ理由はこの可愛い色とゴツいウイングのギャップが素敵で気に入ってしまったのだとか。イギリスのクレスト専門店でピンクのクレストを購入。こだわりの持ち物はピンクの帽子。夏用と冬用があるそうだ。この8年間、毎年北海道に自走で出かけ、今回はこのポルシェで富良野、美瑛方面へ。「色んな人と出会えて、知らない人でも声をかけてくださり車の話しができたりするのも楽しい。自分の手足のように思うように動いてくれる運動性能も楽しく、キレイな景色と写真を撮って自己満足しています」と、なぞくまさん。これまで沖縄以外の46都道府県へ愛車で行ったそうで、なぞくまさんの走行距離は30万キロにもなるという。ポルシェとのドライブを心から楽しむ様子が伝わってきた。




「今日も西湖でポルキャンしてから来ました」。ポルキャンとはポルシェでキャンプをするという意味だそうだ。渋滞嫌いなmegさんは718ボクスターGTS4.0を駆り、仲間たちとの“ツーリング&朝ご飯”をするのが至福のポルシェタイム。この日も都内の自宅を午前3時に出て、西湖で朝ご飯(キャンプ飯)を食べてからこちらにやって来た。数日前にも千葉の房総まで12台のポルシェ仲間と房総にツーリングに出かけたそうだ。ドラえもん好きで、ルームミラー越しにドラちゃんが見えるように左右シートの間はいつもドラちゃんが一緒に居てくれる。ポルシェと出会い、新しいライフスタイルを愉しむ女性の好例と言えるだろう。



社会人になった頃の周囲の男性たちの影響で自然と車に興味を持つようになったMimosaさんは、いつか2シーターのオープンカーに乗りたいなぁ…と淡い憧れを抱きながら古い輸入車好きのご主人と結婚。ファミリーカーはジャガーXJやメルセデス・ベンツSクラスが入れ替わりながら、Mimosaさんが自分用にと初めて選んだのがボクスター2.7ティプトロニックS(2006年式)。淡い憧れを叶えることができた。当時2011年…震災の年で色々と諸事情が重なり1年足らずで手放してしまうも、感動と走る愉しさを与えてくれたポルシェとの出逢いがポルシェの大ファンになった原点だという。同時期に発売されたばかりのパナメーラを街中で見かけ大変な衝撃を受け、「これにいつか乗りたいな」とMimosaさんは新たな憧れを抱くようになり、数年後に現在の970パナメーラと出会ったそうだ。



初めは大きさに躊躇するも、いざ乗ってみると運転しやすく、想像以上の迫力とスポーツカーとセダンの良いところが凝縮され大満足だという。「ポルシェの素晴らしさに、まさに虜になり、今まで行ったこともない場所に行き、出会うことのなかった車好きな方々からツーリングに誘われたり、こうして本当に沢山の人たちと巡り会うことが出来たのが何よりの宝物です!」とMimosaさん。ドライビングテクニックがもう少しあれば、911を運転したい願望もあり、それは人生最後の車にしようと決めているそうだ。

富士スピードウエイホテルの駐車場に集まった彼女たちは「はじめまして」から始まる方々も多く、それでも大好きなポルシェという共通の相棒のおかげであっという間に距離感は縮まったようだ。その後、ホテルでランチをとり、富士モータースポーツミュージアムを見学。最後に軽いツーリングをして解散した。





フェルディナント・ポルシェが設計したレーシングカーはEVの4輪駆動であった。



今回、女子ツーリングを初体験をした方も多く、皆、次回を楽しみにしていた。ポルシェ男子にはメカニカル面やテクニック面で気後れしてしまう女性も少なくない。カタチが好き、色が好き、運転が楽しい、それだけで十分、ポルシェが好きなだけでいい。皆さん、またお会いしましょう!!






文:飯田裕子 Words: Yuko IIDA

飯田裕子

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