フェラーリ初の4ドア、プロサングエにニュージーランドで試乗!

Ferrari

フェラーリは2023年11月下旬から12月上旬にかけて、ニュージーランドを北から南へ縦断する『フェラーリ・プロサングエIMTDニュージーランド・グランドツアー』を開催した。



こちらは5台のプロサングエを用いて、北島のオークランドから南島のミルフォードサウンドまで、世界各国50人のメディアやジャーナリストなどがリレー形式で約3000kmを走破するもの。筆者は初日と2日目、オークランドからタウポまでの区間のドライブを担当した。



2022年9月にデビューしたプロサングエは、“フェラーリ初の4ドアモデル”と呼ばれるブランニューモデルだ。プロサングエはイタリア語で“サラブレッド”を意味する。その見た目からフェラーリ初のSUVと表現されることも多いが、公式上でSUVと表現されることはない。あくまでフェラーリのスポーツカー、ということである。



これまで456、612スカリエッティ、FF、GTC4ルッソと、リアシートを備えるV12の4シーターモデルは存在したが(V8まで含むと、モンディアル、208&308GT4もある)、市販のフェラーリで4ドアを備えるのはこれが初だ。



その一方でパワーユニットは6.5リッターV12の自然吸気を採用するので、既に生産終了しているGTC4ルッソの実質的な後継車であることがわかる。事実、サイズも全高以外は若干拡大したにすぎない。



さて筆者は初のプロサングエ試乗となったのだが、ニュージーランド訪問も初ということで、ペアを組んだフリーランスのYさん(プロサングエ試乗経験あり)のドライブでオークランドの宿泊地、パークハイアットをスタートした。



その第一印象は、想像以上にジェントルな車であることだ。これまで812やGTC4ルッソではアイドリングストップから復帰する際に毎回轟くような始動音がしていたが、プロサングエは抑えめ。タウンスピードでの走行もわりと静かで、日常での使用が多くなるプロサングエとしては、周囲を音で刺激するのはよしとしなかったのであろう。事実、エンジニアも音量ではなく音質にこだわったとコメントしている。



ジェントルな印象は、フェラーリ初採用のアクティブサスペンションも大きく貢献している。フロント22、リア23インチのタイヤなのでそれなりにゴツゴツした感触はあるのだが、足元でしっかり処理している印象で、不快な突き上げが全くない。しかもフライングカーペットじみた作られた浮遊感ではない、自然なフラット感。そのよさは、助手席でも十分に感じることができた。



そしていよいよドライバー交代で、運転席へと移った。目の前のインターフェイスは見慣れたものだが、当然ポジジョンは若干高め。しかし一般的なSUVのように見下ろす感じではなく、自然と周囲を向き合える印象だ。ボンネットの膨らみからノーズの見切りも悪くなく、終始、とても5m近い全長の車を動かしているようには思えない。



こう書いていくと、大人しい(退屈な)車と思われそうだが、スポーツカーとしてのフットワークのよさは十二分にあり、やはり自然吸気のV12は感動的だった。速度制限の厳しいニュージーランドではその片鱗しか味わうことができなかったが、例えば、ちょっと踏み込み、シフトダウンした時のサウンドやフィーリングに何度も蕩けてしまった。



ここでニュージーランドの印象を少しだけ書いておこう。写真からもわかるように日本と同じ左側通行ということで我々でも走りやすく、また標識もわかりやすいのが印象に残った。例えばカーブでは進入速度が書かれていて、それは速度違反の警告というよりは安全に曲がれる速度の目安のようで、とにかく走っていてストレスが少ないのだ。



また少しでも街から出ると目の前には大自然が広がり、ここでは人間や車が小さな存在、少数派であることを感じさせる。キャンピングカーやボートを牽引する車と頻繁にすれ違ったことも、ニュージーランドのライフスタイルを垣間見る部分であった。



そんなニュージーランドの大地を駆け抜けるプロサングエは実にタフな“サラブレッド”で、我々が担当した400km弱の走行は、“軽々と”という表現がぴったり。道も車もストレスが少なく、人も荷物も満載できるプロサングエなら、もしそのまま3000km走れと言われても躊躇することはなかった。日常の相棒という意味で、これはフェラーリ史上最高の“跳ね馬”と言えそうだ。





文:平井大介 写真:フェラーリ
Words:Daisuke HIRAI Photography:Ferrari

平井大介

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