ホンダ、4台の雄牛に飛躍の翼を授けるか。 2019シーズンへ向けキックオフ

Photography: Shinsaku YANO

2019年のFIA フォーミュラ・ワン(F1)世界選手権の開幕戦オーストラリアGP(3月17日決勝)を翌週に控えた3月9日、ホンダは東京・青山のHondaウエルカムプラザ青山にて「2019 Honda F1 Kick Off」と題した記者会見とファンイベントを開催した。

記者会見にはホンダのパワーユニット(PU)を搭載し今シーズンのF1を戦うAston Martin Red Bull Racing (アストンマーティン・レッドブル・レーシング)とRed Bull Toro Rosso Honda(レッドブル・トロロッソ・ホンダ)のドライバー、チーム首脳が登場。今シーズンの展望や意気込みなどを語った。

まずは両チームにPUを供給するホンダからモータースポーツ部部長(4月からはホンダF1マネージングディレクター)の山本氏、テクニカルディレクターの田辺氏、レッドブル・レーシングからはアドバイザーのヘルムート・マルコ氏(オーストリア)が登場。




その山本部長とPU契約の交渉にあたり、トロロッソ・ホンダを誕生させたといわれるヘルムー・マルコ氏は「自動車産業を代表するビッグブランドであるホンダとパートナーシップを組めるのは我々にとって誇りであり、我々とホンダはF1のほか二輪のMotoGP、そして2017年から日本のスーパーフォーミュラシリーズでも関係を持っている」とし、「トロロッソでの1年の経験に加え、今シーズンに関しても綿密な計画のもと準備してきた。PUの信頼性も高く、自信がある」と頼もしい声が聞かれた。

現場で指揮を執るマネージングディレクターの田辺氏は、公式テストの場であるスペイン・バルセロナのカタルーニャサーキットをレギュレーションで決められたテスト日数の8日間で約27レースに相当するのべ1768周、8,230kmを走破したことについて「多少のトラブルもあったがそれもテスト。基本的には順調に、そして生産的なテストができた」と控えめながらも確かな自信を窺わせた。




続いて昨年からホンダPUを搭載するトロロッソ・ホンダからチーム代表のフランツ・トスト氏(オーストリア)、ドライバーのダニール・クビアト選手(ロシア)、アレクサンダー・アルボン選手(タイ)が登場。かつてミハエル・シューマッハ(ドイツ)の実弟ラルフ・シューマッハが日本のフォーミュラ・ニッポンに参戦した際、彼のマネージメントを担当していたこともあり日本にも縁の深いトスト氏は「昨年のパートナーシップは成功裏に終えることができ、今年に向けて良い準備ができた。コンペティティブなパッケージを用意することが出来たと思う」と語り、「ダニール・(クビアト)は以前からチームに居るし過去には表彰台にも登壇している。そして(今シーズンがデビューイヤーの)アレックス(・アルボン)はカートのワールドチャンピオンでありF1の下位カテゴリーでもいまF1で活躍する同世代のドライバーを負かしてきた。ドライバーパッケージもとてもコンペティティブだ」と2人のドライバーに全幅の信頼を寄せる。

レッドブル・レーシングとトロロッソチームの技術母体とも言えるレッドブル・テクノロジー社とホンダのF1拠点であるHRD Sakuraはどちらもイギリス・ミルトンキーンズにあり、互いの社屋が1kmも離れていないことからも非常に緊密な連携体制が取れていることが想像できるが「コミュニケーションはとてもうまくいっている。(ホンダの人たちに)イギリスの食事も気に入ってもらえたら嬉しいね」と、やはり良好な関係が築かれているようだ。



レッドブル陣営のほぼすべての関係者が異口同音に語ったのは「信頼性」というワード。そのような言葉が出るほどに、F1再参戦からのホンダPUの信頼性とパワー不足は使用チームの泣き所であった。F1の厳しいPU基数制限もありシーズン中に大きなデベロップメントもままならないなか、それでもコツコツとノウハウと打開策を探ってきたホンダPUは再参戦5年目にあたり、ようやく他のPUマニファクチャラーと肩を並べる信頼性を確立したようだ。

最後に再びマイクを持った山本部長は大勢の報道陣を前に「(我々に対する)強い期待をヒシ
ヒシと感じている状態です。今回チームを形成する2チーム4台、ギリギリまで懸命に努力を続けています。ぜひ今シーズン、皆さん喜びを大きく分かち合えるよう、まずは1勝を目指します」と締めくくった。


ホンダは2015年のF1再参戦以来パートナーを組んでいたマクラーレンと2017年をもってパートナー契約を解消し、昨年からレッドブル・レーシングの姉妹チームであるスクーデリア・トロロッソにPUを供給。そして今年から“シニアチーム”であるレッドブル・レーシングにもPUの供給を決め、2014年から始まったV6ターボ+各種回生システムによるハイブリッド新世代PU時代になって初めての2チーム供給となった。2チーム供給が意味するものとして「ホンダがF1の世界の中で、勝ちにこだわり、頂点を目指していくことへのより強いコミットメントの現れだと受け止めてもらいたい」と山本部長。



「タイトルを狙うにはレッドブル・グループの2チーム4台にPUを供給することが必要不可欠だった」とも語り、今シーズンにかける強い意気込みを感じさせた。

新世代PU時代に入り大きなリードを持つメルセデスやフェラーリに対し、ホンダはレッドブルに翼を与えることはできるのか。
まずは開幕戦オーストラリアGPを楽しみに待ちたい。



記者会見終了後、一般ファンに向けて「2019 Honda F1 キックオフミーティング」が開催された。イス席の事前抽選200名の枠に約25倍の5,000名以上の応募があったことから、当日先着順で用意していた立ち見席400名、2階席200名分も急きょ事前抽選に切り替えるほど注目を集め、チャンピオンチームであるレッドブル・レーシングとのコラボレーションへの期待の高さを証明した。

文:矢野晋作(ヤノデザイン) Words: Shinsaku YANO (yanodesign)

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