現代のためのポルシェ911 8代目が日本デビュー│懐かしの911を振り返る

オクタン日本版編集部





911 ショートホイールベース
オリジナルの911。1963年フランクフルトで901の名でデビューし、1964年から911の名で生産が始まった。2+2の室内は、ハウンドツース柄の内装ファブリックや細身で大径のウッドリム・ステアリングなど、今となってはクラシックな佇まいだ。新開発の2000㏄から130bhpを発揮する6気筒水平対向エンジンは、それまでの4気筒OHVとは比較にならぬほどスムーズで活発、そしてパワフルだ。だが操縦性はまだ未完成で、高速コーナリングではドライバーのミスを許さなかった。細いタイヤと相まって、乗り心地は現代の911とは比較にならぬほどソフトだ。"ナロー911" はクラシック・ポルシェとして人気が高い。発売から1967年7月生産までのモデルが0シリーズ、67年8月から68年7月までに生産されたモデルがAシリーズ。



911 (pre 1973)
1968年8月、ポルシェは911のトリッキーなハンドリングを改善するため、エンジン搭載位置を変更せずに2211㎜のホイールベースを57㎜延長して2268㎜とし、Bシリーズに発展させた。1966年には160㎰の911Sを追加。エンジン排気量はオリジナルの2.0リッターからスタートし、2.2リッター(1969年)、2.4リッター(1971年)へと段階的に拡大していった。2.4リッターエンジンは、環境問題が求めたガソリンの無鉛化に対応しながらパワーの向上を目指したものだ。燃料系も当初のキャブレターから機械式燃料噴射、電子式燃料噴射とパワーと環境問題の要求から変化を遂げた。またチューンの程度によって、"T"、"E"、"S"の各モデルを設定した。また、1972年には73MYとして高性能なカレラRS2.7が登場した。



912/912E
911ほどの高い性能を求めず、安価なモデルを望む顧客に向けたもの。機構的には911と共通だが、エンジンを356SCから継承したOHV水平対向4気筒1600ccの90psユニットに換装。室内装備も簡素化し、911ではウッドトリムであった箇所がプラスチックになり、ステアリングも同様にプラスチック製になった。1966年末にはルーフが開口するタルガが加わった。912は4気筒エンジンの搭載と内装の簡素化によって軽くなって車重が1トンを切り、後輪荷重も軽くなったことで前後軸の重量配分が前寄りとなって、ハンドリングは911よりマイルドになった。最高速度は195km/h、0-60mph加速は11.9秒。912は1969年に一旦終了し、1976年にVW製の電子制御燃料噴射付き2リッターを搭載した912Eとして復活した。



911 オープンモデル
クーペボディだけだった911にオープンボディが加わったのは、1966年末にタルガが登場したときだ。それまで911ユーザーはスライディングルーフしかオープンエアを楽しむことができなかった。最初のタルガはルーフのほか透明ビニール製のリアウィンドウが脱着可能で、両者を外せばロールオーバーバーを残してオープンになった。その後、リアウィンドウはガラス製の固定式になり、ルーフパネルだけが脱着式になった。1982年には、ロールバーが残らないフルオープンになるカブリオレがラインナップに加わった。さらに1989年には356を彷彿とさせる、カブリオレよりフロントウィンドウが低いスピードスターが911で復活した。幌を外した時に用いるスタイリッシュなプラスチック製トノカバーが用意された。



911 ビッグバンパー
1974年モデルで、ポルシェは北米の安全基準が求める衝突安全対策に対応して、前後に大きな衝撃吸収バンパー(通称5mphバンパー)を備えた。このためボディ前後のスタイリングが若干変わり、ビッグバンパーのニックネームで呼ばれることになった。また、衝突時の乗員保護のために、一体型ヘッドレストシートと3点式シートベルトを採用した。1976MYからボディの錆を予防するためボディ全体に対して亜鉛処理を施した。最も初期の1974〜77MYでは2.7リッターエンジンを、さらに上級モデルのカレラ3.0には3リッターに拡大した200bhpユニットを搭載した。カレラ3.0は0-60mph加速7.3秒を誇った。その後に登場したSCには、カレラ3.0で導入したユニットをデチューンして搭載した。



911 ターボ
911ターボが初めて姿を現したのは、1973年フランクフルト・ショーで公開された試作車だ。翌1974年のパリ・サロンで市販型を公開した。3リッターエンジンにターボチャージャーを備えて280㎰を発揮、4段ギアボックスを組み合わせた。大型のリアウィングと強大なパワーに対応するワイドタイヤを収容するための巨大なフェンダーアーチを備えた存在感に、911ファンだけでなく、世界が驚愕した。1977年8月には排気量を3.3リッターに拡大してインタークーラーを備え、300㎰を発揮する911ターボ3.3に発展した。ヒストリックカーとして人気があるのは1984年以降のモデルで、1989年に強力なG50型5段ギアボックスを備えてからのモデルの人気が顕著だ。911が964に進化すると、排気量は3.6リッターに大きくなった。

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