ポルシェがたった一台製作した901のカブリオレ・プロトタイプ

ポルシェ901カブリオレ・プロトタイプ

ポルシェがたった一台製作した901のカブリオレ・プロトタイプは今も健在である。

唯一のオープン901
「とにかくそのいまいましいドアを吹っ飛ばせ!」 マイケル・ケイン扮するチャーリー・クローカーは、映画『イタリアン・ジョブ(邦題はミニミニ大作戦)』の中でこう叫んだが、ポルシェ901がその場にあったら「その屋根だけは切ってはだめだ!」と付け加えたかもしれない。ポルシェのツッフェンハウゼン工場のエンジニアはまさしくその通りのことを行った。それが1964年ポルシェ901カブリオレの生産試作車、有名なシャシーナンバー13360である。

ポルシェの名前を冠した最初の車が1948年の「タイプ356」だったことはご存知の通り。それはフォルクスワーゲンの基本コンポーネントを流用したミドエンジンの2シーター・スポーツカーで、手作業で叩き出したアルミニウムパネルボディを持つオープンカーだった。356のオープンモデルは、以降356A、356スピードスター、BとCのカブリオレ、そしてロードスターと、356の長い生涯の間一貫して生産された。

1963年9月のフランクフルトショーで、ポルシェは流麗ではるかに現代的な6気筒130bhpエンジンを積んだ901を発表する。もっとも、わずか82台の901が生産されたのみで、例のプジョーのクレームによってその名を"911"に変更せざるをえなかった。真ん中に"0"を挟んだ三桁のモデルナンバーは自分たちのトレードマークであると主張したのだ。その頃のプジョーの主力モデルは404だったが、30年間におよそ 288万台余りも生産されたヒット作であり、ポルシェ全体の生産台数をはるかに上回っていた。仮に法廷に持ち込まれたとしても、プジョーの言い分が認められる可能性は高かった。

というわけで、ポルシェ901は非常に珍しいコレクターズアイテムとなった。現存しているものは30台ほどと見られている。

「タルガ」への路線変更
最初の901はもちろんクーペであり、300007というシャシーナンバーの市販1号車はデビューの翌年の64年9月14日にラインオフした。その間、ポルシェの技術者たちは市販に向けた開発とテストに勤しみ、全部で13台の実験用プロトタイプ(1963年に7台、64年に6台)が造られたという。当然、これらはポルシェマニアにとって究極の希少モデルと見なされている。試作車は13から始まるシャシーナンバーを持つが、わずか2台を除いてすべて廃棄されたという。残った2台のうち一台はクーペで 7番目、1963年に製作された最後のプロトタイプ(シャシーナンバー13327)で、現在はフルレストアされている。もう一台が1964年6月に製造された「13360」。つまり、ほとんどオリジナル状態を保ったこの車は二番目に古い901であり、ただ一台の901カブリオレ・プロトタイプである。

編集翻訳:高平 高輝 Transcreation:Koki TAKAHIRA Words:Robert Coucher Photography:Paul Harmer

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