関東某所で1923年製「らしい」1台の車が見つかる!レストアされた後は?

Photography:Kazan DAIGO

関東某所で見つかった1923年製らしい"バーン・ファインド"。かつて持ち主の手でレストアが施されたという、この車の物語を探る。

開業から間もない時代に作られた"5CV"ことタイプC。その後期型といえるC3が、関東某所に眠っていた。いわゆるバーン・ファインド、だ。関係者の方からプジョー・シトロエン・ジャポンに「知人のところに置きっぱなしになっている1923年製らしいシトロエンを引き取ってもらうことはできないか」と連絡があり、我々の知るところになったのだ。
 
聞くところによれば、この車は第二次大戦後にひとりの宣教師が日本に持ち込み、遠方への転居にともなって手放し、最終的に解体屋にボロボロの状態で置かれていたのをとある修理工場の御主人が譲り受け、御自身の手でレストアを施したものだという。


 
実作業が行われたのは1988 年から1989年にかけて。車の誕生した時代を考えれば資料などないも同然。1918 年生まれというモノのない時代に育ち、創意工夫の手探りで経験を積み重ねてきた世代の御主人は、おそらくそのうえ職人気質だったのだろう。朽ちている部分や手に入らない部品は、現物や僅かな資料の寸法を計って自作した。ボディ各部の修復に必要な木枠や木製部品、鋳造が必要な部品など、信頼のおける職人仲間を頼ったところもあるが、1年少々でタイプCは蘇ったという。そして10 年ほどは可動状態で展示会に貸し出したりもしていたそうだが、御主人の他界とほぼ時を同じくして眠りにつき、以来15 年。現在は不動の状態となっている。
 
5CVことタイプC は1922 年に誕生、翌1923年にはC3が生まれ、C3には3シーター・モデルが追加されている。が、それは助手席側の前後に座席が並ぶ仕様。前席の左右の間に後席用の足置きがある座席配置から"トレフル(クローバー)"とニックネームされるタイプの3シーターは、1925 年から1926 年半ばにかけて作られたモデルだ。疑問を解消すべくプジョー・シトロエン・ジャポンは本国へ問い合わせを試みたが、初期の頃には販売車両のデータが管理されてなかったようで、正確な生産年時は特定ができなかった。だが、日本にそういう状態で初期のシトロエンが残っていたことに本国も驚き、関心を持っているそうだ。


 
このタイプC3はプジョー・シトロエン・ジャポンが譲り受ける方向で話しが進んでいるようだから、そう遠くない将来、われわれがその姿を見ることも叶うかもしれない。

文:嶋田智之 写真:大子香山 Words:Tomoyuki SHIMADA 

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