手に汗握るF1のバトルを13年ぶりにホンダが制す

Getty Images / Red Bull Content Pool

ホンダが13年ぶりにF1グランプリを制した。 ホンダとしては、 2006年のハンガリーグランプリ以来である。2015年にF1に復帰して以来苦戦の連続だったが、6月30日に開催されたオーストリアグランプリで、ホンダエンジンを積むアストンマーティン・レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンが優勝を果たしたのだ。

決勝レースではフェルスタッペンは2番手からのスタート。スタート時のミスにより一時は8番手まで順位を下げたものの、この日のホンダエンジンにはパワーと信頼性があった。加えて21歳の若いドライバーならではの度胸とテクニック、そしてレッドブルの地元サーキットということで会場をオレンジ色に染める応援団の声援が後押しして、フェルスタッペンは次第に順位を上げていく。

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ピットに入るタイミングやタイヤの選択といったチームの戦略で順位が変動することが多い昨今のF1だが、今回のレースは違った。コース上のあちらこちらでドライバー同士のバトルが行われたのだ。

フェラーリのセバスチャン・ベッテルとデッドヒートを繰り広げて順位をひとつ上げた後、一時は「パワーがない」と無線で伝えたフェルスタッペンだが、次の瞬間には前を行くメルセデスAMGのバルテリ・ボッタスをインから一発で仕留めた。

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ポールポジションからスタートし、序盤から先行していたフェラーリのシャルル・ルクレールは、フェルスタッペンと同じく21歳という若きドライバー。初優勝なるかと注目を集めるも、ルクレールとフェルスタッペンの差は次第に狭まり、残り3周のところでフェルスタッペンがルクレールをかわして1位に浮上。オーバーテイク時の接触が審議対象になったもののペナルティはなく、フェルスタッペンはそのまま逃げ切り、ホンダエンジン搭載のアストンマーティン・レッドブル・レーシングが優勝を果たした。

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表彰式に登場したフェルスタッペンは、誇らしげに胸のホンダのエンブレムをアピールした。そしてコンストラクターのトロフィーを受け取るためにチーム代表として登壇したのは、ホンダの 田辺豊治F1 テクニカル・ディレクター。チーム全体でホンダエンジンでの勝利の喜びを分かち合っていた。

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ホンダの八郷隆弘代表取締役社長も下記のようにコメントしている。
「HondaにとってF1は創業者の夢であり、大切なDNAの一つです。この5年間、開発やレースの現場では、数多くの困難に直面してきました。自分たちの力を信じ、諦めずに走り続けてきた従業員たちの 努力がこうして実を結んだことを考えると、万感の想いです。私たちHondaの”The Power of Dreams”を一つ、体現することができました」

F1の醍醐味ともいえるドライバー同士がコース上で繰り広げるバトル、20代前半の若手ドライバーの台頭、そしてホンダエンジンの躍進。これからは手に汗握る“レース”が見られそうだ。何年かぶりに朝の地上波のニュースでF1が取り上げられたのも、F1が面白くなってきたことの証拠だろう。シーズン後半戦の盛り上がりが楽しみだ。

オクタン日本版編集部

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