ジャガー84年間の歴史で初となるデザイン・スタジオの全貌は?

Jaguar

英国ゲイドンに新しく設立された「ジャガー・デザイン・スタジオ」。ジャガーのデザイン・チームをすべてひとつのクリエイティブ・スペースに集結させており、これはジャガー・ブランドの84年間にわたる歴史において初めてのこととなる。
 
ジャガーのデザイン・ディレクターを務めるジュリアン・トムソンが率いるこの新しいデザイン・スタジオは、世界屈指のテクノロジーを駆使して、人々のクリエイティブ・デザインのプロセスを強化するためにつくられた、世界で最も先進的な自動車デザイン・センターである。
 
「ジャガー・デザイン・スタジオ」内の中心には「ハート・スペース」を設け、280名の優秀で多様性に富んだクリエイティブ・チームが結集し、次世代のジャガー・デザインを担う。ここを取り囲むように、インテリア、エクステリア、カラー、マテリアル、デザイン・ビジュアライゼーション、デザイン・テクニカルといった、6つの専用作業スペースがレイアウトされている。


 
ジャガーのデザイン・チームは、ファッションから時計、スポーツ、ゲームなど、世界を舞台に様々な業界で経験を積んだデザイナーたちで構成されている。幅広いデザインの領域で培った力を結集させることで、コンテンポラリーなマテリアルやプロセスを採用しながら、英国らしさを象徴するジャガー・ブランドを実現する。例えば、一度に20台を制作することができるクレイモデル・マシンや、仮想現実(VR)システム、11mの4Kデジタル・ディスプレイ・ウォール「The Electric」など、業界をリードする最新設備が整っている。「ジャガー・デザイン・スタジオ」の床面積は1万2,000㎡を超え、英国ホイットリーにあった以前のスタジオに比べ約2倍の広さを誇るのだ。


 
ジャガーのデザイン・ディレクターであるジュリアン・トムソンは次のように述べる。
「ジャガーはデザイン主導のブランドとしてユニークな歴史を持ち、常にデザインをジャガーのDNAの柱としてきました。ジャガー創始者であるウィリアム・ライオンズ卿が打ち立てたデザインの価値観や哲学は今もなお引き継がれており、これにより私たちはお客様のために最高のクルマをこの先もずっとデザインし続けることができます。デザイン・チームは、自動車業界が直面している問題を十分に理解しており、イノベーションとクリエイティビティをもってそれらの問題に適切に対応することができます。
 
新施設では、ひとつの広大なクリエイティブ・スペースに、すべてのデザイン・チームを集結させています。なぜならば、インスピレーションとは人と人とのコミュニケーションやコラボレーションから生まれると強く信じているからです。最新のテクノロジーを取り入れていますが、それと同じくらい重要なこととして、チームの一人ひとりが持つ専門性や経験がもたらす多様性と、ジャガーに対するパッションがあり、これらが類まれなデザインをつくりあげるのです」
 
メインスタジオは「Studio 3」および「Studio 4」と名付けられており、これは1985年からジャガー・デザインの本拠地であった英国ホイットリーの「Studio 1」、「Studio 2」に敬意を表したもの。それと同時に、1956年と1957年にル・マン24時間耐久レースで優勝を果たしたジャガーのレーシングカー「D-TYPE」のナンバーにも由来している。会議室をはじめとする各施設については、半分はジャガーのアイコニックなモデルから、残りの半分はジャガー創始者のウィリアム・ライオンズ卿、デザイナーのジェフ・ローソン、そして俳優のスティーブ・マックイーンなど、ジャガーの歴史において重要な人物から用いて名付けているもの。
 
「Studio 3」と「Studio 4」には、2台のクレイモデルを収容できる、長さ20m、負荷容量4.5トンのプレートを各5か所、合計10か所備えた。デザイナーはインテリアとエクステリアのモデルを隣に並べて、双方のデザインの相乗効果や相性などを検証できるようになっている。これはジャガー史上初めての取り組みである。

各プレートは床に組み込まれたマシンレール上に取り付けられ、1kw、16,000rpmの高速スピンドル・モーターを搭載した3+2軸のKolb社製Concept Line CNCクレイモデル・マシンを活用し、両側からの加工が可能。この高度なシステムによって、測定と切削をすばやくかつ簡単に切り替えることができる。
 
さらに、フロア一体型のリフトが備わっており、クレイモデルをプレートごとに昇降して高さ調整ができるため、クレイモデラーにとって最も人間工学的に理にかなったポジションで作業ができる。
 
46名のクレイモデラーで構成されるチームにとって、理想的なクレイの状態が保てるよう、スタジオの温度は完璧にコントロールされ、照明は適切な明るさと色温度に設定されるそう。


 
ジャガーのインテリア・デザイン・ディレクターであるアリスター・ウェランは次のようにコメント。
「このデザイン・スタジオは、ジャガーの心や神髄を大切にしながら、デザイン・プロセスを改善し、さらにダイナミックに進化させるためにつくられました。デザイン・チームがひとつのファミリーとして、これから新しいホームを構築していくことを念頭に、私たちは皆で話し合ってきました。『ハート・スペース』というコミュニティの中核となる場所を備え、各デザイン分野間のコラボレーションや相乗効果を促進させることが重要だと考えています」
 
「Studio 4」は北に面しており、大きなガラス張りのドアから十分な自然光が降り注ぐ。車両を屋外に簡単に持ち出し、太陽光の下で、様々な距離や角度から確認することも可能である。そして、3つのフルレングスの天窓などを含め、ガラス張りの総面積が906㎡もあり、スタジオ内は自然光で満たされ、梁のように多数設置された木製の構造物により、スタジオは明るくかつ暖かい雰囲気になっている。
 
モデルを様々な高さから見ることは採光と同じくらい重要だ。これまでジャガーでは、初期のスケッチ段階からモデリングに至るまで、平面図がデザイナーにとって非常に重要なものとしてきた。新しいスタジオでは、デザイナーたちは初めて「Mezzanine(中二階)」、「View Room(展望室)」、「The Steps(階段)」と呼ばれる円形劇場スタイルの座席エリアから、あらゆる高さからモデルを精査することが可能になっている。
 
さらに、スケッチからアニメーションまでのあらゆる過程において、デジタル・チームが提供するVRシステムがジャガーのデザインに大きく貢献している。VRリグを使用することで、デザイナーとスタジオ・エンジニアはこれまでにないほどすばやく、そして効率的に仮想現実の中でアイデアを検証することができるようになっている。初期の構想段階から、CAS(コンピュータ支援造形)チームがデザイン・スケッチをデジタル3Dモデルに変換し、同時にDVA(デザイン仮想化・アニメーション)チームはデザイナーやデータ・チームと緊密に連携しながらスケッチや3Dモデルをレンダリング、アニメーション化する。


 
ジャガー・デザイン・スタジオでは、高度なマテリアル技術の開発にもこれまで以上に重きを置いた。カラー&マテリアル・チームには十分な広いスペースと最新技術を備え、ジャガーの厳しい品質水準を満たしながら、次世代のジャガー・モデルに求められる最高レベルのラグジュアリーや手触りを提供し続けるために、最新かつ持続可能なリソースの研究およびテストができる環境を実現する。
 
カラー&マテリアル・チームは、エクステリアおよびインテリアの両方と連携し、新しい塗装色から、インテリアのディテールを考案するなど、各モデルのデザインにおいて重要な役割を担う。コンパクト・パフォーマンスSUV「E-PACE」のセンター・コンソールに配するジャガーのロゴプリントなどはその一例である。

オクタン日本版編集部

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