シャンゼリゼ通りの地下駐車場に集められたクラシックカー│あの日本車も?

Photography:Tomonari SAKURAI

毎年2月にパリで行われるヴィンテージカーの祭典レトロモービル。そのオフィシャル・オークショニアであるアーキュリアル(ARTCURIAL)のオートモービル・オークションが行われた。前日のパブリック・ビューイングを訪れてみた。

アーキュリアルは車専門のオークショニアでは無く芸術品全般のフランス、最大手のオークショニアだ。そのオフィスはシャンゼリゼ通りにある。凱旋門からコンコルド広場に向かって、グランパレのひとつ手前の大きなランドアバウト右手にある。オークションハウスとして、オークションが開かれるほか、特に芸術関係の充実した書店としても機能しているので気軽に立ち寄ることも出来る。


下見会のためのガレージへのアクセス。来たときは長蛇の列。もうこのときは閉館時間前なので列はなくなっていた。
 
今回のオークションはこのシャンゼリゼの建物中にて開催。ここの地下駐車場がパブリックビューイング(下見会)の会場となっている。ちょっと狭いこともあり、入場制限が行われるほど。外に行列していることから、このオークションの注目度の高さを物語っている。
 
駐車場に繋がるスロープにすでに展示が始まっている。向かって左にオートバイ、そして右に車だ。真っ赤なメッサーシュミット、オースティン・ミニに次いで、ホンダS800と小型が迎えてくれる。駐車場の会場の正面に今回の目玉、1953年のフィアット・オットーヴ・ティーポ106 スポーツ・ベルリネッタ。70℃バンクのV82リッターエンジンは当時では珍しいオールアルミのエンジンは当初105馬力だったものに手を加え、最終的には130馬力までアップさせている。


薄暗いガレージがその会場だ。

また、いよいよ風洞実験が可能になったのを存分に発揮し、ファビオ・ルイジ・ラピによってこの美しいボディシェイプを得られたのだ。この空力も手伝い最高時速は204km/hを記録。市販モデルとして登場してはいるがレースを視野に入れているのがパッセンジャーシートが、ドライバーシートよりも20cmほど後方に配置して重量バランスを考慮しているところなどから見て取れる。落札予想価格は1億5000万円と予想されている。


ロシアナンバーがちょっと不似合いなコスモ・スポーツ。それでも会場で一番写真を撮られていた車両かもしれない。右ハンドル。落札予想価格は1000万を超えている。
 
ブガッティやドライエなど戦前のモデルも並び、1988年のフェラーリテスタロッサや2008年のポルシェ997GT3CUPまで幅広い。その中に一台の日本車も注目されている。1970年、昭和45年のマツダ・コスモスポーツである。L10Bの後期型。ちょっと驚くのはロシアのナンバーがついていること。カタログを見ると、コンディションが良いと言う言葉の後に”すぐにグッドウッドやミッレミリアに参加可能です”と書かれておりそれがうたい文句。と言うことは、そういったイベント目的で購入する人たちが多いという現れなのだろう。


今回のオークションの最後のロットナンバーを飾るのはシトロエンCX。ロングホイールベースのカロッツェリアTissierの手によるモノ。
 
さて、この車以上に日本でもすでに話題になっているゴーギャンの油絵TE BOURAOが注目されているが、この絵画のオークションもこのアーキュリアルのオークション。ゴーギャンがタヒチで描き上げた一枚で予想落札価格は5億8000万を超えるといわれている。その作品も、オークションが始まるまではこのシャンゼリゼのアーキュリエルで見ることが出来る。

写真&文:櫻井朋成 Photography&words: Tomonari SAKURAI

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