【インタビュー】シンガー・ヴィークル・デザインが日本でも正規で注文できるように

SVD

ポルシェ911(964)のレストレーションで世界的に知られるシンガー・ヴィークル・デザイン。「興味はあるけれど、日本からどのように購入すれば良いのかわからない」という方も多いのではないだろうか。そんな方には朗報だ。シンガービークルデザインを正規で日本でもオーダーできるようになり、サービスも受けられるようになった。今回、それを手掛ける永三MOTORSのジェームス・チェン副社長に話を聞いた。

福岡県福岡市でアストンマーティン、ならびにマクラーレンの正規取扱店を営んでいる永三MOTORS。母体の永三汽車は台湾で初のベントレー正規代理店で、創業は2008年とその歴史はまだ浅い。にもかかわらず、現在ではベントレーのほかアストンマーティン、マクラーレン、ブガッティ、と錚々たるブランドの正規代理店となっており、台湾のほか日本と中国でも販売を展開している。創業からわずかの間に顧客やメーカーからの厚い信頼を獲得し、2014、2015年ならびに2016年にはマクラーレンアジア地区ベストディーラー賞や2017年にはアストンマーティン・ジャパン・ディーラー賞などを受賞している優良ディーラーである。

福岡県の永三 MOTORSショールーム。日本のSVDではショールームを持たず、スタッフがカスタマーのもとへ出向くというフレキシブルな体制で運営される。

そんな永三汽車が去る2月23日、あのシンガー・ヴィークル・デザイン(以下、SVD)の台湾におけるサービス・パートナーとなり、また3月23日には日本での永三MOTORSによるSVD展開を発表した。ほかの取り扱いブランドのように「正規代理店」と名乗らないことには、理由がある。

「サービス・パートナーと名乗るのは、我々がSVDの自動車を販売しているわけではないからです」と永三MOTORSのジェームス・チェン副社長が答えてくれた。あくまでも顧客が日本で所有する登録済みの空冷911(964型。永三MOTORSが探してくることも可能)をどのような内外装に仕上げるか、どのようなメカニカル・アップグレードを施すかを専任スタッフがコンサルテーションし、車両をカリフォルニアのSVDに送りレストアとカスタマイズを施して、再度日本に送り返し走れるよう"コーディネートする"ことが仕事だからだ。車両は輸出抹消されることなく「一時輸出」としてカリフォルニアに送られる。そして納車後は、サービス・パートナーとなる永三MOTORSにより、メンテナンスを含めたアフターサービス、万が一のトラブル対応の体制が整えられている。

「ショールームもデモカーもない、という状況ではありますが福岡の本社ビルにはVIPラウンジをご用意していますし、ご希望があれば全国に専任スタッフが出向く体制をとっています。また、万が一のトラブルには専任のメカニックをお客様のもとに送る"フライング・ドクター"という形態をとるほか、全国の主要都市には提携工場で作業をおこなえる体制が確保されています」と続けた。また、永三MOTORSには元ポルシェ正規ディーラーでの経験をもつセールスマンやメカニックも在籍している、というから頼もしい。

SVDはあくまでもレストア&カスタマイズショップで、自動車メーカーではない。SVDに送り込んだ車は顧客の要望内容にもよるが、基本的には"別物"と呼んでいいほどに進化を遂げて戻ってくる。それでも、日本から送る車両のシャシー番号やエンジン番号が変わることはない。レストア&カスタマイズに要する時間は約4000時間といわれており、愛車の作業内容の報告にとどまることなく、顧客が要望すれば作業風景を見に訪れることもできるそうだ。なお車両代金、輸送費、関税、オプションを除いた基本レストア&カスタマイズの費用は約50万ドル。それでも最近のオークションでは、当初の取引価格を上回って落札されるほど、SVD車両の人気高騰ぶりがうかがえる。

「日本でSVDオーナーが増えてくれば、いずれエクスクルーシブなオーナーズ・クラブの運営をしたいと思っています。カリフォルニアのSVDまで見学に行くのもいいでしょうし、台湾のSVDオーナーズ・クラブとの交流イベントや台湾ツーリングなども楽しいかもしれません」

永三 MOTORS 副社長のジェームス・チェン氏。顧客一人一人の専属バトラーとなってくれる。


広い意味で"仲間"を大切にするスタンスは、永三汽車やグループ企業に根付いているようだ。というのも実は永三汽車、息子であるティモシー・チャン(現 永三汽車会長)が父親であるポール・チャン(永三グループの創業者)の誕生日プレゼントにベントレーを贈ろうとした際、台湾に正規取扱店が存在しないことがきっかけで正規輸入を始めたらしい。

優雅な家族愛に感心していたら、顧客とセールスマンの友情愛にも満ちた話も聞けた。なんと現在、台湾で永三汽車を率いるエリック・リン社長がポルシェに在籍していた際、初めての顧客となったのがポール・チャン会長なのだという。人との縁を重んじるカルチャーこそが、数々の高級ブランドを成功に導いている永三MOTORSの核心なのかもしれない。

"1960年代の繊細さ、レースで鍛えた'70年代の粋、'80年代の安定感、'90年代の先進性。それを1台に再創造(Re-imagined)した宝石のような車"と謳われているSVD。彼らが手掛ける車両は、日本の多くの空冷911エンスージアストの心を掴むに違いない。 そんな車との懸け橋を担う永三MOTORSの今後を、我々は注目していく。


永三MOTORS株式会社
〒812-0063
福岡県福岡市東区原田4丁目30−8
お問い合わせ: 092-611 6869(担当:根本 康)

文:古賀貴司(自動車王国) Words:Takashi KOGA (carkingdom)

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