ベントレー・トリビア|第3弾 世界で唯一の「ローテーションディスプレイ」とは?

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現代ベントレーの技術的なアイコンともなっている「ローテーションディスプレイ」。現行型のコンチネンタルGT系およびフライングスパーではオプションで選択することができる。

横倒しした三角柱のそれぞれの面に、ダッシュパネルと連続する天然ウッドのキャッピング。3連ダイアルの丸型アナログ式メーター。そしてインフォテイメント用の液晶パネルを組み込み、任意で回転させることのできるこのシステムは、一見単なるギミックにも受け取られがちである。しかし実は英国製高級車、あるいはスポーティカーブランドならではの「こだわり」の産物と見るべきであろう。







当代最新にして世界最上級のグランドトゥアラーである、コンチネンタルGTファミリー。そして、同じく最新・最上級のプレステージサルーンであるフライングスパーともに、最新鋭のインフォテイメントシステムを持つことは当然であり、そのためにはタッチパネルとしての機能も兼ねた大型液晶モニターをダッシュパネルのセンターに置くことが必須となる。



しかし、ダッシュパネルだけでなく左右ドアの上部まで、まるでインテリア全体を取り囲むようにウッドキャッピングを施すベントレー・インテリアの伝統、「ラップアラウンド」を液晶モニターによって無粋に中断してしまうことは、誇り高き英国コーチビルドの伝統の守護者であり続けてきたベントレーの矜持にはそぐわない。かつてのアルナージのモニターもダッシュボードに格納されたと記憶する。



また、開祖W.O.ベントレーの時代に端を発するベントレーのアイデンティティ、美しいダイアル(文字盤)のアナログメーターがウッドパネルに象嵌のごとくはめ込まれた、旧き良きスポーツカーらしいインストルメントパネルも喪いたくない。そんな、ちょっと欲張りなベントレー愛好家のために編み出された方策が、ローテーションディスプレイだったと思われるのだ。



そして、このユニークなアイデアの出発点となっているのは、英国的アンダーステートメントの精神だろう。華美になり過ぎない、控えめな美しさを何よりも尊ぶイギリス人の美意識こそが、世界で唯一のローテーションディスプレイを実現に至らしめた、最大の動機と考えられるのである。

文:武田公実

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