レストア途中のカウンタックとの運命的な出逢い!30代で遂に手にしたLP400S

T. TSUJII

少年期に憧れたスーパーカーを、実際に自分の手に入れる。まさしく男のロマンだ。サラリーマンだからって、あきらめることはない。これはその夢を叶えたひとりの「普通のサラリーマン」である辻井さんとカウンタックの物語である。


いわゆる「スーパーカーブーム」時代の真っ只中をリアルタイムで過ごした辻井さんは、子どもの頃からスーパーカーが大好きな少年だった。7歳の頃に描いた絵がいまも残っている。



しかし大人になってからは、スーパーカーは憧れの存在としてそのままに、「普通の車好きなサラリーマン」生活を送る日々。モータースポーツを趣味として、スーパーセブンでレースに参戦したりしていた。2002年までは…

2002年までレースに参戦していたが、出られるレースがなくなったことでふと考えた辻井さん。「もうちょっとでカウンタックが買えるくらいレースにお金を使っていた」ことに気づいてしまった。もしかして、自分でもカウンタックが買えるのではないか? サラリーマンの自分が買おうと思うことすら“おこがましい”と思っていたカウンタックの購入が、急に現実味を帯びてきた。当時はアパート暮らしだったが、「カウンタックを買うためにガレージを建てなければ!」と一念発起し、2003年に「ガレージを建てるついで(?)に家を建て」、貯金をしながら本格的にカウンタックを探し始めることにした。

はじめはカウンタックQVの購入を検討し、雑誌やインターネットで探していたが、なかなか条件に合う車両には巡り会えない。探し始めて2年が過ぎた頃、レースでお世話になっていた知人からカウンタックに詳しい人を紹介してもらったことで進展があった。QVを探していると伝えたところ「LP400Sならあるよ」と教えてもらったのだ。実のところLP400Sはノーマークだったという辻井さん。しかしそのLP400Sは「台数が少ない初期型で」「LP400と同じ8連メーターで」「車高も低くかっこいいよ」と教えてもらい、気持ちは一気にLP400Sに傾いていく。

そして2005年10月2日にそのLP400Sと初対面した。忘れられない瞬間である。レストアの途中で放置されていたような状態だったが、運命的なものを感じた辻井さんは、1年後の完成を約束してもらい購入を即決したのだった。



購入の決め手は「貴重なLP400Sのシリーズ1である」「レストア中なので好きな色に塗装ができる」「カウンタックに詳しい人から譲ってもらえる」この3点だったという。気になる奥様の反応はといえば、「結婚する前から車趣味について洗脳していたので(笑)」大賛成だったとのことで、外装色を決めたのも奥様だったというから羨ましい限りである。



オリジナルの外装は赤だったが、奥様が選んだホワイトカラーにすることにした。



ボディレストア、燃料ホース等の交換、足回りのリフレッシュ等が完了したLP400Sと対面したのは2006年9月30日のこと。ドキドキしながら最終仕上げのボディコーティングショップまで赴いた辻井さん。そこで初めて車両操作方法の説明を受けたのだが、ショップがあったのは田んぼの中、つまり辻井さんの記念スべきカウンタック初運転はあぜ道ドライブだった。ミスマッチ感が微笑ましいエピソードだ。そして辻井さんの誕生日にめでたくナンバーを取得。これぞ人生最高のバースデープレゼント!



納車後は、ガソリンタンクのセンサーが壊れていたためガス欠になり、ガソリンスタンドまでカウンタックを押して行ったり、淡路島でのツーリングの際にエンジンが吹けなくなって積載車のお世話になったりと、少なからずハプニングはあったものの、辻井さんはイベントなどにも積極的に参加しカウンタックのある生活を楽しんでいた。



カウンタック・オーナーになってすぐの2006年10月には初めてのカウンタックミーティングに参加。2日間の行程のうち、2日目のみに飛び入り参加という形で下呂温泉まで1台で向かった。現地に到着すると、今まで雑誌でしか見たことがないカウンタック・オーナー達と何十台ものカウンタックに圧倒されて、人見知りの辻井さんはほとんど話せなかったという。

初めて参加した2006年のカウンタックミーティング

2010年10月に富士スピードウェイのイベントに見学に訪れた際、偶然おこなわれていた「カウンタックリバース・タイムトライアル」に飛び入り参加し、優勝したというのも辻井さんの密かな自慢のひとつ。他にもさまざまなカウンタック関連のイベントに意欲的に参加した。

2010年10月:ヒストリックオートモービルフェスティバル富士

2011年10月:カウンタックミーティング

2012年9月:CARZYイベント

2012年10月:カウンタックミーティング

そんな、カウンタックとの暮らしを満喫していた辻井さんに2012年11月、事件が起きた。
後編に続く】

文:オクタン日本版編集部 写真:本人提供

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