思わず3度見!一体誰の趣味?ド派手なマセラティクアトロポルテ

© The Market by Bonhams

1963年に初めてお披露目されたマセラティ・クアトロポルテ。マセラティ初の4ドア、そして初のV8エンジンを搭載した量産モデルだった。当時最も有名なイタリアンカーデザイナーとして名をはせたピエトロ・フルアがデザインを手がけた大きなスポーツ・サルーンは、現在6代目となるラグジュアリーカーの連綿とした歴史をスタートさせた存在である。

フルアに続いてベルトーネのマルチェロ・ガンディーニがデザインし、1974年のトリノモーターショーにてお披露目されたクアトロポルテIIは、シトロエンとマセラティが共同開発した結果として、先代モデルや他のマセラティ車とは大きく異なる存在となった。シトロエンSMをストレッチしたシャシーをベースに、ミドエンジン、前輪駆動レイアウト、ハイドロサスペンション、4灯固定式ヘッドライト(2灯回転式方向転換ヘッドライト)、V6エンジンといった要素が採用されている。1973年の石油危機と1974年のシトロエンの財政破綻により、欧州連合での型式承認が得られず、生産は1976年まで開始されなかった。受注生産ということになったが、型式承認が不要な中東とスペインが販売対象となり、1976年から1978年にかけて生産された台数はわずか12台のみであった。

クアトロポルテIIIはイタルデザインのジョルジェット・ジウジアーロがスタイリングを担当した。クアトロポルテIIのV6エンジン、ハイドロシステム、前輪駆動は廃止され、代わりに従来のパワーステアリング、ブレーキ、独立懸架式サスペンションが採用された。1979年の発売と同時に商業的な成功を収め、マセラティが誇る最後のハンドビルドカーとして希少価値の高い車となっている。



そしてこの写真の奇抜すぎる一台もジウジアーロによってデザインされたクアトロポルテIIIである。一体誰がこのカラーに変えたのかも分からず、オリジナルのカラーも不明という数々の謎を残したまま現在オークションに出品されている。オーナー歴も公開されていないが、現在のオークションに出しているオーナーはおよそ10年前にピンクになっている状態のクアトロポルテIIIを購入したことは分かっている。最初から走らせるつもりはなく、オブジェとして保有していたそうだ。故に、この10年間まったく動かされていない状態だが、“現状販売”のため落札して動かなかったとしても大目に見なければならない。



そんな車誰が買うのだろう、とは思うが見ての通り、類を見ない個性的なルックスだ。内外装共にサーモンピンク、よっぽどピンク好きの人物がオーダーしたのだろう。もしくは、紳士がピンク好きのパートナーに贈ったのかもしれない。ボディは何度かオーバースプレーした形跡があるが、基本的には良好とのこと。しっかりと一度磨けば圧倒的な存在感になるだろう。グリルもちゃんとピンクなのがポイント。インテリアはボディよりも濃いめで仕上げられており、さらに強烈な印象を受ける。しかしさすがハンドビルドといえようか、インテリアは派手でも高級感は溢れており、一体この中でドライブするのはどのような気分なのか一度味わってみたくなる。この車が欲しいと思ったら、これしかない一台なのだから一目惚れした人かマセラティマニアが何としてでも手に入れることだろう。



気になる価格はといえば、推定落札価格は3,000~6,000ポンドとなっている。現在残り1日の時点で入札件数は30件ほど、4350ポンドの価格が付けられている。手にした新オーナーはこの車が辿ってきた様々な歴史の空想を楽しんでもらいたいものだ。


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オクタン日本版編集部

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