注目のオークション!「イギリス王室の歴史において、本当にユニークで魅力的な作品」

Bonhams

故エディンバラ公フィリップ殿下が30年以上所有し、自らがハンドルを握っていたクラシックモーターボートがオークションに出品される。

海軍での輝かしい経歴を持つフィリップ殿下は、帆船や動力船に対して熱心に接し、熟練したドライバーとして知られていた。そんな彼はアルバトロス・マリン社のオールアルミ製英国製スピードボートを愛車としていた。アリストテレス・オナシス、ブリジット・バルドー、モナコのレーニエ王子、タイのビラ王子など、世界中の著名な顧客に愛された船である。

元を辿ると、アルバトロス・マリン社とは、1949年にブリストル飛行機社の航空機技師だったアーチー・ピースがノーフォーク州グレートヤーマスに設立し、ビジネスパートナーのピーター・ハイブスとブルース・キャンベルが加わり完成された会社である。3人とも航空機のエンジニアという共通点があり、その技術をマリンクラフトの製造に生かそうと戦時中の豊富なアルミニウム合金の供給源を利用して、マリンクラフトの製造に乗り出したのだった。そして、3機のレース用水上飛行機を製作し、創業間もなく会社の知名度を上げることに成功。新たなマシンを開発するのに必要な資金を調達していった。



そして、1951年初めには、彼らの最初の製品であるアルバトロス・スポーツ・ランナバウトのプロトタイプを発表する準備が整った。この製品は同年3月、ルイスリップ・ウォータースキー・クラブの本拠地であるミドルセックスのルイスリップ・ リドで公開された。全長12フィート9インチの3人乗りで、フォード アングリアに搭載されていた100E 1,172cc 4気筒サイドバルブエンジンのマリンバージョンを採用した初代アルバトロスは、最高速度34マイルと水上スキーに最適な性能を備え、高い評価を呼んだのであった。

それからというもの、アルバトロスは高品質なボートを生み出し、著名な顧客たちを魅了していった。一世を風靡した女優 ブリジット・バルドーはサントロペでアルバトロスに乗っていたところをパパラッチされている。フィリップ殿下は水上スキーをするために2台所有していたことで知られている。アリストテレス・オナシスもアルバトロスを所有し、モナコのレーニエ公に至っては一時期6隻をも所有、タイのレーシングドライバー プリンス・ビラも所有、ドッカー卿夫妻はクラシックなスーパーヨットを水上スキー用に1隻を所有していたそうだ。名だたる世界中の王族やセレブリティ、ボート愛好家に愛され、さまざまなタイプで計1,300台ほど製造された。

1955年、The Motor誌は「すぐに操縦でき、いつでも楽しくて扱いやすい」とアルバトロスの船を評価している。現代の船に比べると見た目こそ速そうではないが、最高速度への加速はスポーツカー並みといわれ、防水レザー張りと強化ガラス製スクリーンによって快適性も高い。550ポンドは決して安いボートではないが、非常に高い水準の仕上がりと抜群の安定性を誇るデザインを見れば、これほど便利なボートは健全な投資であると考える人は多いだろう。

1956年、バッキンガム宮殿はフィリップ殿下が所有していた船を一度アルバトロスに返却し、その代わりに新しいマークIIIモデルを提供してもらった。それがこの写真にある1956年製アルバトロスMkIIIスーパースポーツランナバウトである。1956年から1959年にかけて607台が生産されたうちの1台。フィリップ王子が8歳のチャールズ皇太子を乗せてカウズで撮影した写真は有名だ。



1967年にはバルモラル・エステートに移され、故ダイアナ妃も運転していたといわれている。アルバトロス号は1987年に退役し、オリジナルのフォード100Eエンジンを残し、未レストアのまま良好な状態でオークションに出品されている。船にはアルバトロス・マリン社とバッキンガム宮殿からの書簡の写しが付属する。
 
オークションハウスのボナムス・モーターカーズUK部門長であるティム・スコットフィールドは、次のように述べている。「この一隻は、王室の歴史において、本当にユニークで魅力的な作品です。グッドウッド・セールに出品できることを光栄に思いますし、きっと多くの注目を集めると思います」

オークションは4月10日からスタート、推定落札価格は2万~3万ポンドとなっている。スタイリッシュで価値高い王室記念品を所有できる素晴らしい機会である。

オクタン日本版編集部

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事