北へ、南へ、シトロエン2CVと30年|第30回:フレンチブルーミーティング(FBM)は、やっぱり車山だね!

Yoshisuke MAYUMI

日本最大のフランス車の祭典「フレンチブルーミーティング」(FBM)が2022年10月15〜16日に開催された。3000台以上を集めた2019年以来、3年ぶりにリアルで行われた第36回FBMの会場は、愛知県蒲郡のラグーナテンボスとお馴染みの長野県車山高原の2カ所、初めての分散開催となった。


「FBM in ラグナシア」と名付けられた蒲郡の会場にはライブ用ステージが設置され、フレンチなお店も10数店舗出店するなど、フランス文化イベント色を前面に打ち出した。一方の車山高原は「FBM origin」という名前の通り、数カ所に確保された500台の駐車スペースに愛車を並べたい、というフランス車フリーク向けの内容だ。車山は16日だけの開催だが、愛車を並べたい派の筆者は迷わず車山高原を選択して、秋の信州へと2CVを走らせた。



当日の車山はこの上ない好天に恵まれた。風もなく、寒くもなく、暑くもない。爽やかな秋晴れの高原は、2年以上に渡ったコロナ禍の鬱屈した日々を忘れさせてくれる素晴らしい魔法の舞台となった。


以前のメイン会場だったグラウンドに比べるとこじんまりしたスペースだったものの、一番広い駐車スペースには200台ほどのシトロエン、プジョー、ルノーなどが並んでいる。残りの300台を収容する他のスペースも、道路を挟んで隣接しており会場に一体感がある。






ブラブラ歩いていると、次々と昔からの知り合いに出会った。いい天気だね、やっぱり車山はいいね、と皆が言う。もれなく笑顔もついてくる。事前申し込み制だったこともあるのだろう、参加者は比較的古くからの熱心なフランス車のオーナーの比率が高い気がした。






期待していなかったショップもそれなりにテントを並べていた。色鉛筆を使った独特な画風でシトロエンを描いた故・今村幸治郎さん、その作品を扱う「スタジオ2CV」には今村さんの2人の息子さんがいた。その隣には123イグニッションで知られる2CVパーツショップの「DAC HOUSE」のテントがあって代表の米谷さんがいた。

*今村幸治郎さんと家族の物語については以下の記事を参照
https://octane.jp/articles/detail/8179




少ないとはいえ、なじみのお店を見るとFBMに来たのだという実感が湧く。自分の駐車スペースでパーツやミニカー、アクセサリーなどを並べている人も結構見かける。


ルノー4のクラブは今年もみんなで集まっていた。どうやって事務局を説得したのかはわからないけれど彼らはいつも団結力があって段取りが良い。2CVの人たちとはだいぶ違う(違うと書いただけでどちらが良いとか悪いとかではありません、念のため)。




ルノーといえば当日は山中湖でこれまた3年ぶりの「カングージャンボリー」が行われていた。運悪く日程が被ってしまい苦渋の決断(?)でFBMの会場を訪れたカングーも何台か見かけた。


恒例の2CVクランク掛け競争やビンゴ大会などのイベントはなかったものの、シトロエンBX誕生40周年を祝って、14台のBXによるパレードが有志で行われた。

写真提供:本田浩隆


日本で最も売れたシトロエンであるBXも最近はずいぶんその数を減らしている。アフターパーツも欠品が増えていて、今やその維持は2CVよりも難しいと聞く。ただ最近になってBXを選ぶ若い人が増えているようだ。今回のパレードを主催した本田さんは28歳、他にも20~30代の若いBXオーナーがパレードに参加していた。




筆者がFBMに初めて参加したのは1993年だが、今回の車山の雰囲気はその頃に近いなと感じた。懐かしくほっとする空間が心地良かったのは間違いない。一方、蒲郡で行われたフランス文化にフューチャーした華やかなステージイベントもFBMらしさであることは否定できない。フランス車イベントとフランス文化イベントが融合したことで化学反応が起き、家族や恋人を連れて行っても楽しく過ごせるFBMとなり、結果的に毎年3000台以上の参加台数を誇る日本屈指の自動車イベントとして輝きを放っていたからだ。

イベント当日のメイングラウンド。すでに工事の準備が行われていた。

今回、会場が分散したのは車山高原のメイングラウンドが新たな施設に生まれ変わるための工事に入るのが理由だ。当初、車山の開催自体が困難と考えた事務局はあちらこちらの場所を探していた。オクタン日本版編集部にも関係者から相談があった。しかし3000台規模の駐車スペースを用意できる場所はなかなか見つからない。



結果として蒲郡は「海・みなと・蒲郡実行委員会」の主催する「ブルーフェスティバル」へのコンテンツ提供という体裁でなんとか場所を確保した。その後になって車山で500台規模なら開催可能と判明するも、舞台や多くのショップを設営するスペースは用意できなかった。



そうした関係者の陰の苦労のおかげで3年ぶりにFBMがリアルで開催されたことには感謝しかない。残念ながら来年以降の会場はまだ未定とのこと、良い場所をご存知の方はぜひオクタン日本版編集部やFBM実行委員会までお知らせください。


文・写真:馬弓良輔 Words & Photography: Yoshisuke MAYUMI

文・写真:馬弓良輔

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