『60セカンズ』の「エレノア」を再現したマスタングで、気分はLAのニコラス・ケイジ !?

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アクションムービーには大抵カーチェイスシーンが付きもので、車好きは、劇中でどんな車がどのように使用されているかに、つい注目してしまうことも多いのではないだろうか。車好きを唸らすようなセンスのいい劇中車を登場させる映画は数多く存在するが、2000年に公開されたニコラス・ケイジ主演のアメリカのカーアクションムービー『60セカンズ』も、そのうちの一つとして挙げられるだろう。



かつて高級車の泥棒として伝説的存在だったニコラス・ケイジ演じるメンフィスが、闇の窃盗組織に弟のキップを人質に取られてしまい、彼の命を救うべく、組織が提示してきた条件である超高級車50台を時間内に全て手にいれるというミッションに挑戦する。これが大まかなあらすじなのだが、劇中で盗難される車は、アストンマーティンDB1、デ・トマソ・パンテーラ、フェラーリ275 GTB4、ジャガーXJ220など珠玉の名車ばかりで、一瞬しか登場しない車も多いものの、画面に映った瞬間、思わず「お!」と声が出る。しかしこの映画で最も強い印象を残した車が1967年式シェルビーマスタングGT500 通称”エレノア”であることは間違いないだろう。



実は『60セカンズ』は、1974年に公開されたカーアクションムービー『バニシング in 60』のリメイクなのだが(ストーリーはかなり異なる)、『バニシング in 60』では、劇中で盗む車一台一台に女性の名前をつけるという描写がある。『60セカンズ』でも同様に車に女性の名前がつけられており、メンフィスが最後に手に入れたマスタングは「エレノア」と名付けられた。エレノアは今までメンフィスが一度も手に入れられなかった車で、ミッションを締めくくる存在となった車だ。ストーリー後半では、エレノアを手に入れたメンフィスと、彼を執念深く追跡するキャッスルベック刑事率いるロサンゼルス市警によるカーチェイスが繰り広げられ、エレノアの魅力が余す所なく映し出されている。NOSを搭載しロサンゼルスの街を縦横無尽に走り回るエレノアは、獰猛で気性の荒いじゃじゃ馬に見えるが、それゆえに完璧に乗りこなすニコラス・ケイジに憧れを抱き、マスタングを運転してみたくなったのは私だけではないだろう。しかしただのマスタングではニコラス・ケイジになれるわけではない。このカラーリングの67年式マスタングGT500でこそなのだ。



実は最近、オークション会社コレクティングカーズを通じて完全なエレノア仕様の1967年式フォードマスタングファストバックが出品されていた。

4年の歳月をかけてをかけて、エレノアへの忠実なオマージュとして製作されたこのファストバックは、内外装とも素晴らしいコンディションであるといい、マッスルカー愛好家にとってもたまらない一台だ。



このマスタング・ファストバックは、スターリング・グレーのカラーリングにブラックのツイン・センターストライプが施され、アルミパーツと「SHELBY GT500」のバッジが付いたブラックレザーの内装が輝く。



足元には17インチのCoys製アロイホイールとスピナーセンターキャップ、フロントとリアにディスクブレーキとウィルウッド製フロントブレーキキャリパーが装着されている。



さらにはサイドエグゾーストパイプ、クイックリリースボンネットピン、ツインフロントスポットライト、センターコンソール補助計器、VintageAirエアコンシステムなど細かいところも作り込まれており、ちゃんと走らせることもできるのだ。

コンディションもほとんど言うこと無しで、再塗装が施されたボディは、シルプレート下に小さな傷があるくらいで、素晴らしい状態であるようだ。 車内に目を移すと、キャビンもまた文句なしな状態だ。オリジナルのリアシートは張り替えられ、新しいスキャットフロントシートが装着されている。 



今回のオークションでは残念ながら落札には至らなかったが、エアコンは次のオーナーに引き渡される前にガスが補充され、使用できるようになるという。

映画の劇中車を手にいれる。その車を所有し運転する喜びだけでなく、映画の主人公気分を味わえるというある意味特別なオプションまで付属するわけだが、エレノアの場合は、ついついメンフィスのようにトラックの荷台を使って大ジャンプをかましてしまわないように注意が必要だ…

オクタン日本版編集部

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