70周年を迎えたベントレーの名車、Rタイプコンチネンタル「JAS 949」

Bentley

ベントレーのアイコニック「JAS 949」は、同社が所有するRタイプコンチネンタルで、クルーにあるカーボンニュートラルなベントレーのキャンパスに新しくオープンしたヘリテージガレージに保管されている。ベントレーは2001年にJAS 949を取得し、その歴史を大切に保存しながら、機械的にも良好な状態を維持してきた。



JAS 949は1953年12月、最初のオーナーであるスイスのローランド・グエィニン博士に引き渡された。アイボリーにレッドの内装、マニュアルギアボックスの仕様で、オリジナルの4.6リッターエンジンとともに今日まで受け継がれている。

1950年代初頭に誕生した初代Rタイプコンチネンタルは、チーフプロジェクトエンジニアであるアイヴァン・エヴァーデンとチーフスタイリストのジョン・ブラッチレイの発案によるもので、それ以降のベントレーのデザイナーにもインスピレーションを与え続ける雛形となっている。

Rタイプベントレーサルーンをベースとした流麗なクーペであり、4,566cc直列6気筒エンジンの出力は140bhpから153bhpに引き上げられ、トランスミッションはファイナルドライブ比が高くなった。プロトタイプのOLG 490(愛称オルガ)は、パリ近郊のバンク付きサーキット、モンレヘリで5周して平均時速118.75マイル(ベストラップは120マイル弱)を記録した。



目標重量を達成するため、コーチビルダーであるHJマリナーは、ボディワーク、ウィンドウフレーム、ウィンドスクリーン周囲、バックライト、シートフレーム、バンパーをアルミニウムで製作。2トンの車を時速115マイルで走らせることができる標準的なロードタイヤは存在しないため、ダンロップのミディアムディスタンス・トラックタイヤが採用されたという。

最初の生産モデルは1952年6月にオーナーのもとに届けられ、1955年の生産終了までに208台のRタイプコンチネンタルが作られた。そのうち193台はHJマリナーによってボディが製作されている。

このJAS 949の誕生70周年を記念し、ベントレーの歴史における重要なスタイルアイコンのひとつを称えるものとしてワンオフのコンチネンタルGT アズールが製作された。

JAS 949に最も近い仕様を現代に再現するため、新しいコンチネンタルGT V8 アズールは、1950年代のペイントカラーを忠実に再現したオールドイングリッシュホワイトにハンドペイントされた。JAS949が16インチホイールであるのに対し、新型はオリジナルと同じくブラック&ポリッシュ仕上げの22インチハンドフィニッシングホイールを装着する。



オープンポアのままのバーウォルナットは、JAS 949のパテント仕上げに近い質感を実現。入手可能な最高の素材から厳選されたオープンポアパネルは、3層のラッカーで塗装され、その厚さはわずか0.1mmであるというから驚きだ。

また、JAS 949のインテリアのディテールを反映した新型コンチネンタルGTアズールのクロスバンディングには、ベントレーのクラフトマンシップにより、ボックスウッドのインレイを施したオーストラリア産のストレートグレインウッドが使用され、リッチゴールドのベントレーマリナーのオーバーレイで引き立てられている。



新型コンチネンタルGTアズールは、乗員のウェルビーイングと快適性を向上させ、距離に関係なくすべての旅がリラックスした体験となるように設計されており、すべてのベントレーアズールにはフロントシートコンフォートスペシフィケーションが標準装備され、マッサージ機能や細かな調整が可能な機構が整えられている。

また、必要に応じてアンチロールバーを電子的に切り離して乗り心地を滑らかにし、コーナリング時には0.3秒で最大1300Nmのアンチロールトルクを加えて車体を平行に安定させ、ドライバーと同乗者を過度なロールから保護してくれる48Vアクティブアンチロールコントロールシステムにより、乗り心地が高められ、ロールを制限したよりスムーズでリラックスした旅を実現してくれる。



これら新旧の美しいベントレーのロケ地として選ばれたロンドン南部のバタシー発電所にも注目したい。バタシー発電所は、1920年代後半に建設が開始され、1955年には発電所Bとランドマークとなる4本目の煙突が完成。ピーク時にはロンドンの5分の1の電力を供給していたロンドンのランドマークである。これは1920年代にル・マンで成功を収め、クルーに工場を設立、1950年代にアイコニックなRタイプコンチネンタルを発表し、成長を続けたベントレー社の歩みとも重なるものであり、新型コンチネンタルGTアズールとJAS 949を一緒に撮影するのに最適な場所であるといえるだろう。

オクタン日本版編集部

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