絵画館が、さながら「イタリア車の博物館」に!華麗なる「Ralph’s Coffee and Cars, supported by Octane」が開催

Kazumi OGATA

2月19日(日)、東京都の聖徳記念絵画館において「Ralph’s Coffee and Cars, supported by Octane」(以下RC&C)が開催された。こちらは9回目となるラルフ ローレンが主催する自動車愛好家のコミュニティイベントで、初開催の2020年10月25日(日)から前回までは東京プリンスホテルが会場だったが、今回は舞台を移しての開催となる。



RC&Cは文字通り"コーヒーを片手にオーナー同士のコミュニケーションを気軽に楽しみましょう"というもので、参加費は無料。シトロエンHバンをベースに製作されたコーヒートラックが毎回登場し、ラルフズ コーヒー特製ドリップコーヒー及び、その他ドリンクとフードの販売が行われている。



例えば初回は英国車、ドイツ車のスポーツカーといった具合に毎回テーマが掲げられているのも特徴で、今回のテーマは「2ドアのイタリアンスポーツカー&スーパーカー」。会場の関係で事前エントリーを受け付ける形となり、『オクタン日本版』のWEBサイト(octane.jp)、SNSを中心に告知したところ、実に180台以上の事前エントリーがあった。



当日、レポーターは開始予定時刻となる午前7時よりも30分ほど早く現地入りしたのだが、既に周辺に参加車と思しき多数のイタリア車が見受けられ、直後に入場が始まったところ、あっという間にイタリアの名車たちが織り成す華やかな車列が神宮外苑に出現した。この"華"こそ、まさにイタリア車の面目躍如だ。



今回、最もボリュームの多かったメイクスはフェラーリ(ディーノ含む)で、それに続くのがアルファロメオ。もちろんマセラティ、ランチア、ランボルギーニ、フィアット、アバルトの各メイクスが集まる中、チシタリアという名車中の名車が参加していたことも見逃せない。



スーパーカーという視点でいえば、フェラーリ365GT4/BB、F40、ランボルギーニ・ミウラ、カウンタック・アニバーサリーといった代表格が注目を集め、またクラシックという視点では、アルファロメオ・ジュリアTZ(!)、マセラティ・ボーラ、メラクSS、インディ、メキシコ、ランボルギーニ・エスパーダ、ジャルパ、ランチア・フラミニアGTといった、他ではなかなか目にすることができない名車たちも集結した。その一方でマセラティMC20が3台並ぶなど、最新モデルまでラインナップは実に幅広かった。









この日は来場者投票によりベストカーのセレクトが行われ、3部門で表彰があった。表彰順にご紹介すると、まずは「The Most Sporty Car」で、受賞したのは1992年式フェラーリF40だ。



MCを務めた自動車ライターの西川淳氏が「公道に舞い降りたレーシングカー。素晴らしいコンディションですね」と紹介すると、オーナーの田口高広氏は受賞の喜びを語りつつ「F40が大好きで、夢の車を手に入れました」とコメント。西川氏に天候に恵まれてよかったですねと聞かれると、「雨の日はあまり乗りたくないですが、車は乗ってこそですから。動かないのは車と言えないです!」と力強くコメント。これには思わず場内からも拍手がおきた。



続いて「The Most Italian DNA」で、受賞したのは1964年式アルファロメオ・ジュリアTZ。48番目に作られたというこの車両のファーストオーナーは何と、F1のレジェンドドライバーであるクレイ・レガツォーニ氏で、日本に上陸した際にはカー・グラフィック誌の表紙を飾ったというヒストリーのある個体だ。オーナーの川瀬友和氏は4年に渡る交渉の末ようやく半年前に手に入れたばかりで、レーシングカーということもあり公道で乗りこなすのは難しいようだが、ようやく手にした憧れのTZを心から楽しんでいる様子だった。



最後は「The Most Desirable Car」で、受賞したのは1948年式チシタリア202SCだ。西川氏が「戦争(第二次世界大戦)が終わってすぐのタイミングでこのスタイリングは素晴らしい。戦後の歴史がスタートしたモデルです」と絶賛すると、オーナーの神谷信慶さんは「これでピニンファリーナが世に出た代表作です。それまでサイクルフェンダーの車ばかりでしたが、ボンネットとフロントフェンダーが連なる、現代に繋がるデザインですね」と解説。また「形はエレガントですが、走った感じやレスポンスはレーシングカーです。1100ccなのでそれなりにトルクもあります」とオーナーならではのコメントも印象深かった。



またこの日、西川氏と共にMCを務めたのは女優の小田茜さん。自身のYouTubeチャンネルで富士スピードウェイを走行する動画をアップするなど車好きとして知られ、あまり性能や歴史には詳しくないと謙遜しつつ「1台1台の個性と歴史を感じることができて、とてもいい時間を過ごさせて頂きました」と感心。西川氏も「小田さんとも会場を回らせて頂きましたが、1台1台じっくり見ていると夕方になりそうと話していました。この3台以外にもじっくり見て頂きたい車がたくさんあります」と、会場の充実ぶりに驚いていた。



会場には見学者も含め多くのイタリア車愛好家が駆け付けており、10時までの3時間では足りなく感じるほど、オーナー同士多くのコミュニケーションがとられていた印象だが、それが実現したのもラルフ ローレンがこういった場所を提供し続けているからこそだ。



世界的に有名なデザイナーでありカーコレクターでもあるラルフ ローレン氏の印象を、ラルフ ローレンの日本法人社長を務める安田誠氏は、「温厚で人を包み込む、魅力的な方です」と表現。「洋服だけでなく車を通じて人とのコネクションを大事にするカルチャーが、日本だけでなく世界的に存在しています」と付け加えてくれた。つまりはそういった温かい雰囲気とコミュニケーションを大事にする文化がそのまま、このRC&Cの継続に繋がっているのだ。



9回目となり、車好きの間ですっかり定着してきた感のあるRC&C。具体的な日付やテーマは未定だが、今後の開催も予定されるので、気になる方はoctane.jpでの告知にご注目頂きたい。


文:平井大介 写真:尾形和美
Words: Daisuke HIRAI Photography: Kazumi OGATA

文:平井大介

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