フレイザーナッシュでフードバンクに貢献|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Mark Dixon

『Octane』UKスタッフによる愛車日記。今回は、自身の愛車ではなく、サイモン・ブレークニー・エドワーズ氏から1927年フレイザー・ナッシュTTレプリカを借り受けることになったマーク・ディクソンのレポートだ。



超一流オーナーのサイモン・ブレークニー・エドワーズ氏からナッシュを借りられて、感激している。早朝の脇道で運転しただけでも、想像より刺激的だった。サイモンは、全体的にフラットで良い路面のサーキットを走ることを前提にセッティングしているためか、この車は路面の凹凸に反応して気まぐれな動きをする。

サイモンは、フロントアクスルのキャスターを調整することを提案してくれたのだが、私のようなナッシュ初心者は少々ひるんでしまう。

サイモンが次のように指示してくれた。「ボルトを緩めてフロントをジャッキアップしてから、大きいバールを用意して、スプリングマウントの裏側とアクスルの上部の間に挟み込み、アクスルを前に押し出してキャスターを上げるんだ」

実際にやってみると、それは意外と簡単だった。チューブ状のフロントアクスルは、シャシーの前方に4分の1の楕円形のスプリングで吊り下げられ、レバーアームのダンパーが各シャシーレールからアクスルに向かうロアーラテラル・リンクとして機能している。シャシーには隙間のスロットがあり、ダンパーを前後に少しずらすことで、アクスルをスプリングのトップマウントを中心に回転させることができる。



果たして2023年のビスター・ヘリテージでの最初の「サンデー・スクランブル」の前夜、私はガレージでバールを巧みに使いこなしていた。各スロットの残りの隙間は8分の1インチほどしか残っていないとわかったが、アクスルをできる限り前方に押し出して、最善を尽くした。

翌朝にビスター・ヘリテージへ向かう頃、寒さは厳しくなったが、ありがたいことに空気は乾燥していた。村からメインロードに入るとき、慎重にスロットルを開けてスピードを上げてみた。なんという変化だろう!このナッシュは、前方がよりしっかりとした感触になり、安心感が格段に増した。これでやっと、チューニングされた1.5リッターのメドウズエンジンの性能を発揮することができる。

走らせる環境もばっちりだ。この車は本当に速く、ギア比も高いため、トップギアに入れるには十分に広い道路が必要だ。4速ギアレンジ(スライディングドッグによる4本のチェーンがソリッド・リア・アクスルに駆動を送る)でのシフトチェンジは難しくなく、ロッド操作のブレーキは軽い車体を止めるのに十分な性能を持っている。そしてもちろん、低い車体とレーシーなデザイン、素晴らしいエンジン音で最高だ。そう、私はすっかり魅了されてしまったのだ。

REVSで有名で、私の尊敬するアダム・ゴンペルツ氏のご厚意で、ナッシュを展示してもらうことになった。ビスターのREVSブースで、アダムが地元のフードバンクのために企画した缶詰寄付のコレクションと共に開催された「silly open-top cars(おバカなオープンカー)」展示の一部としてだった。1月開催なのにオープンカー、というのが展示タイトルの所以だ。寄付で注目を集めたのは、バリー・シーンが一時期所有していた、パステルブルーで四輪駆動の、しかもサイン入りの1979年スズキLJ80(ジムニー)だった。



幸いなことに私も、家を出る前にキッチンの戸棚をあさり、缶詰をいくつか持参するのを忘れてはいなかった。諺にもあるが、「まず行動し、後で(妻に)謝る」というわけだ。


文:Mark Dixon

オクタン日本版編集部

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