マスタング・ファストバックのドアを自分で修理してみた|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

ドアや窓を自分でレストアするのは地味なうえになかなか手間がかかる。今回の『Octane』UKスタッフの愛車レポートでは、1968年 フォード・マスタング GT390を手に入れたジェシー・クロスが、ドアの修繕に取り組む様子をお届けする。



ドアというものは、レストア作業においては最も“セクシー”なパーツとは言いがたい。それでも、他の部分よりも正確に仕上げる必要性から、多くの注意を必要とし、しかも複雑なケースがある。マスタング・ファストバックのサイドウィンドウはフレームレスだ。ドアとサイドガラスの構造部の組み立ては、ある意味で巧妙だが、別の意味では粗雑でもある。

私のマスタングの運転席側ドアのレギュレーター部分は、驚くべきことにどこかの誰かに抜かれてしまっていた。なので、無事に残っていた助手席側のドアから作業を始めた。レストアを始めてすぐにそのドアを分解し、ほとんどの部品が揃っていることを確認。ただ、ナイロン製のレギュレーター・ローラーの1つが壊れていた。そこで、全体をまとめて交換するのではなく、アルミニウムで新しいものを加工して作ることにした。また、こういった古いレギュレーターは、歯車が詰まりガタガタし使えなくなっていることが多い。そのため分解して洗浄、塗装、グリスアップして組み上げ直してみると、新品同様と思えるほどに回復した。



助手席側のドアには幸いレギュレーターが残っていたため、右側のドアから着手することにした。

ドアロックはハンドルとは別になっていて、バレルロックはドアの穴からスライド式のスプリングクリップを挿入し、固定する。イグニッションとトランクのロックは共通のものにしたのだが、それでもクリップの取り付けは大変だった。指を痛めながらも慎重に行い、少しグリスを塗りつつ所定の位置に押し込む必要がある。そして、ドアの表面をへこませないように深く注意しながら、長い廃材とゴム製ハンマーで叩いてやっと、クリップを完全に固定することができた。

リンケージは、ロック、ハンドル、そしてインナーハンドルの構造部をドア裏面のラッチに取り付ける。特に問題はないが、とにかく手間がかかる。難しいのは、サイドウィンドウの形状の流れに沿った、三角窓を取り付けることだ。そのフレームをボディから開閉するための、調整用ボルトがある。後部も同様で、サイドのガラスを取り付ける際には、この2つを平行に並べてから、さらにガラスをボディに密着させる必要がある。



ドアに挿入されたガラスに、レギュレーター部の窓枠を入れ、ネジで固定する。これで、メカニカルな部分は完成だ。最後の作業は、ウォーターシールドメンブレン(遮水膜)をドアに貼り付け、新品のドアトリムパネル、トリム、取っ手を装着して完了だ。







そして今度は、運転席側のドアの番だ。この大いなる一連の作業を、もう一度繰り返すのだ…。気長に取り組むことにしよう。


文:Jesse Crosse

オクタン日本版編集部

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