メルセデス・ベンツ230Eはロンドンのシティカーにぴったり|『Octane』UKスタッフの愛車日記

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いつもは「エキサイティングなスポーツカー」に乗っているロバート・コウチャーが、1985年 メルセデス・ベンツ 230Eを「真のオールド・メルセデス」と評価するようになったきっかけとは?



ロンドンのシティカーとして、80年代より前のメルセデス・ベンツはうってつけだと思う。40年以上前のクラシックなベンツには、道路税がかからない。しかも、煩わしいULEZ料金も不要で、保険料も安い。さらに、大幅な価値の減少もなく、頑丈に作られており、複雑な電子機器もないため壊れにくい。パーツは今もすべて入手可能で、サービス体制も充実している。私は、交通量の多いピカデリー・サーカスから南へ6000マイル(約8万キロ)離れた、南アフリカまで旅をしたときにそれを実感した。

私の義兄は、1985年メルセデス・ベンツW123シリーズ230Eを、ケープタウンやナミビアで何十年も使っている。補聴器の色のようなベージュの塗装なので、世界一退屈な車に見えるかもしれない。以前まで私は、こういった古い車にはあまり興味がなかった。私はもっとエキサイティングなスポーツカーに乗っているからだ。だがそれは、彼がメルセデスのキーを渡してくれたことで一変した。

快適なアームチェアが備わるベンツの運転席にすべり込んだ時、この地味なセダンは真の目的に適ったクラシックカーである、と思い知らされた。軽量なユニボディ構造、四輪独立サスペンション、ディスクブレーキ、フューエルインジェクションエンジン、4速オートマチックギアボックス、パワーステアリングが装備されている。それにエアコンの冷房は、“サバンナでキャッスル・ラガーのボトルを凍らせる”程の威力なのだ。



実際にドライブしてみても、すべてが純粋に“メルセデス・クオリティ”だ。ドアは最高級のドイツ製金庫のようにしっかり閉まるし、内装も美しく仕上げられている。計器類はフレッシュな様相で、230Eのパッケージ全体が頑丈で使い勝手が良いように感じられる。エンジンは少々がさつだが、わずか1360kgを引っ張るのに134bhpを発生する。これは、ロンドンや他の多くの都市での走行速度が20mph程度が当たり前になっている昨今では、ある意味好都合だ。大きくて燃費の悪い2.8リッターのエンジンは、本質を見失っているきらいはあるが。オートマチック・トランスミッションは控えめで、ステアリングも曖昧だ。しかし、ディスクブレーキはしっかりと効き、構造的には引き締まっており、乗り心地はしなやかだ。



今回の短期間のドライブでも、質実剛健なW123ならロンドンの交通渋滞での緩急激しい運転でも十分に対応できることがわかった。そんなわけで私は今、クラシックなベイルートスタイルのタクシーのように使える230Eベンツを探している。


文:Robert Coucher

Robert Coucher

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