クラシックカー複数台持ちにはありがち?重なるときには重なるトラブル|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。一般的に誤解されているようだが、古い車はもともと信頼性が低いわけではない。故障してAA(イギリス自動車協会。日本におけるJAF同様の協会)を呼ぶようなことは、非常にまれだ。だから今回のマーク・ディクソンのように、2週間で1度ならず2度もAAの頼れるスタッフのお世話になることは…、滅多にない、はずだ。



まず最初の出来事は、予測不可能かつ不可解な故障だった。1966年マスタングでグロスターシャーからサウス・ヨークシャーまでドライブしていたときのこと。途中で少し停まっただけで、その後すべての電気系統が突然消えてしまった。しかも、その理由がどうしても分からなかった。

AAパトロール隊員のスコット・ピッカリング氏も最初は当惑していた。しかし彼は最終的に、スターターとイグニッションリレーにつながるメインバッテリーのリード線が、内部でショートしていることを突き止めた。そして彼は、既成概念にとらわれない考え方を駆使してみせた。ジャンプ用の古いリードとバッテリー・クランプを道具箱から取り出し、一時的な代用ケーブルを作り上げたのだ。なんとも大した隊員だ。

次のトラウマは、パブで旧友のマイク・ハロウズと、元自動車デザイナーで“ヤンクカー好き”仲間だったジョン・ワーカーに会うために、パブを訪れた後に起こった。マイクは、ニック・メイソンが経営するテン・テンスのクラシックカーを管理する人物だ。1991年の長期休暇にニックのF40を貸してくれて以来、ずっと彼に恩義を感じている。私は1927年のT型フォードでパブに向かうことにしたのだが、帰りに渋滞に巻き込まれ、エンジンが止まって再始動しなくなってしまった。

幸いT型は軽いので簡単に押せたし、地上高が高いので芝生の縁に乗り上げることもできた。とはいえ、交通量の多いA道路に近過ぎて危ないので、安全のためにAAに連絡することにした。



第2のAA隊員を待つ間、私はいつものチェックリストに目を通した。燃料はキャブレターに届いていたのだが…。プラグリードをブロックにアースしても、火花が出なかった。私のT型は、ヘンリー・フォードによるオリジナルのコイルボックスとタイマーシステムの代わりに、最新のディストリビューターを装備している。ローターアームもキャップもほとんど新品に見えたが、キャップ内のカーボンブラシを軽くいじって少し引き出してみた。すると...エンジンはすぐにかかった!明らかに、ブラシがローターアームの上部にしっかり接触していなかったのだ。

AA隊員が家まで付き添ってくれて、私はアパートの駐車場になんとかたどり着いた。その時、T型はトラクターのような音を立てていた。そう、この日の楽しみの締めくくりにふさわしいことに、エグゾーストのサイレンサーボックスがエンドキャップから吹き飛んでいたのだ。これはよくあることらしいが、仮付けの溶接で元に戻せる可能性が高い。

さらに明るい話題としては、地元のエース・メカニックであるアラン・イェーツが、私をイラつかせていたマスタングのフロントサスペンションのしつこい軋み音を直してくれた。思っていた通り、それはスプリングパーチから出ていた。それには、ウィッシュボーンの上下動に合わせてわずかに揺れるように、ゴム製のブッシュが付いている。いつも助けてくれる「マスタング・マニアック」のモーガンが必要なものをすべて手配してくれて、作業は滞りなく進んだ。





次に修理する箇所は、たるんだリーフ・スプリング板ばねだ。秋に予定されているイタリアへのロードトリップの前に、完全に整備しておきたいからだ。ただ、果たして本当に実現するだろうか?怪しいものだ。



文:Mark Dixon

Mark Dixon

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