マスタングでスパ・フランコルシャンへロードトリップ|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

好評企画『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は1966年フォードマスタングに乗るマーク・ディクソンが、スパ・フランコルシャンへの旅について綴る。



仲間と古い車で長距離のロードトリップをするほど、楽しいことはあるだろうか?特に、海峡を横断するならなおさらだ。なんでもない会話やカフェでの休憩、風景と町や村の細部に至るまで、微妙に異なる国々を旅する目新しさという一般的な楽しみに加えて、根底にはある種の緊張感も同時に存在しているからだ。だから、友人で『Octane』の寄稿者でもあるマット・ハウエルが、週末に開催される6時間のクラシックレースのため、スパ・サーキットへの男だらけの旅行を呼びかけたとき、私はすぐに手を挙げた。

私のマスタングはこういった旅には最適で、リラックスできるうえに、信頼性が高く、そして粋だ。少なくとも私の意見としては。

よく晴れた金曜日の朝、私たち四銃士はドーバーのフェリーターミナルに集結した。私のマスタング以外にも、マットはマイルドにパワーアップした1968年のVWビートルで現れ、デイモンと同僚のアーロンはデイモンのVWファストバック(同じく68年型)に同乗し、南カリフォルニアスタイルの小さなコンボイ軍団を形成した。入国審査官のナイスな女性からは、好意的なコメントをいただいた。

10年前にスパを訪れたときもマットと一緒だった。このときは『Octane』113号での特集のため、当時最新だったマクラーレン12Cで行ったのだ。今回、10年ぶりに再訪するにあたり、スパがどれほど遠いかを私はすっかり忘れていた。それに、現代の高速道路を避け、60年前の車に適する道を選ぶとなると、スパはカレーからおよそ220マイルも離れている… しかし、どの車も完璧に走り、スパの中心部に近い私たちのAirbnbの宿が想像以上に素晴らしいということがわかって、長い1日の旅は報われた。その美しく改装された巨大な古いタウンハウスは、ベッドルームが6つもあるにもかかわらず、1泊約75ユーロ。なんと素晴らしいことだろう!



翌日、私たちはサーキットに向かい、パドックのすぐ上にあるクラシックカー専用エリアに駐車した。6時間レースは初めてだったのだが、とても驚いた。なぜなら、シルバーストーンやグッドウッドで開催される大規模なイベントと比べると、とてものんびりとしていて混雑とは無縁のように感じたからだ。そこでは、1920年代のGPレーシングカーから1970年代のツーリングカー、そして身の毛もよだつカンナムのモンスターカーまで、実にさまざまなマシンが参戦していた。もちろん、チップスとマヨネーズもたくさんあった。それに、スパは丘陵地帯でもあるため、見晴らしのいいポイントがたくさんあって、サーキット周辺を歩くと、かなりの運動になる。

このフェスティバルの名前の由来となった実際の6時間レースは、土曜日の15時55分にスタートする。したがって、ほとんど暗闇の中を走ることになる。私たちは休憩を取り、スパ・タウンセンター(サーキットから約6マイル)で食事をとり、最後の数時間を観戦した。GT40の車らが1位から5位までを独占したが、ロータス・エランが6位に入った。しかし、私たち観客にとっては、結果はどうでもよかった。週末は観戦を満喫するのだ。ヴィンテージのブガッティやアルファがレイディロンからケンメルへの勾配を駆け上がる。さらに、イギリスからエントリーしたポルシェ911 RSRは、日曜の朝のひどいウェットコンディションの中、毎周リアオーバーハングしながらシケインを駆け抜けていた。マークとジェームズ・ベイツには脱帽だ。



幸いなことに、悪名高いスパの天候は月曜日の帰路のドライブの頃にはまた変わっていた。第二次世界大戦の絶望的な戦いの舞台となったフランスの美しい町カッセルは、ダンケルクへの撤退作戦中にイギリス軍がドイツ軍の猛攻に3日間耐え抜いた場所である。そこで私たちは昼食のため休憩したにもかかわらず、私たちはフェリーターミナルを定刻どおりに通過した。町の中心部にある古いシトロエンのガレージは、現在はアートギャラリーになっているが、いまだに戦時の破片の穴だらけだった。

私が家に着く頃、マスタングは4日間で800マイルを走破していた。実はこのマスタングを手放すことを決心しているのだが、買い手が見つからなくとも私があまり動揺しない理由は、おわかりいただけるだろう。


文:Mark Dixon

Mark Dixon

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