太陽のようにゴキゲンなホンダZ600|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

好評企画、『Octane』UKスタッフによるレポート。今回は愛車1971年 ホンダ Z600に2年間乗っていなかったというリチャード・ヘセルティーンがお届けする。



2年という長い年月が経った。その間、このホンダZ600はスーパーマーケットに何度か行く程度しか乗っておらず、あちこち走り回るようなことはしなかった。昨年、最愛の人を亡くしたことで、必然的に他のことはすべて脇に追いやってしまったのだ。古くてボロい車に乗って外出することは、それほど大事なこととは思えなかった。とはいえ、もっと乗ってやらなかったことに対して罪悪感を感じてはいた。

そして6月上旬にはついに、共同オーナーのクリス・リースと共に、この“リトル・オレンジ・ジョイ・マシン(小さなオレンジ色の楽しいマシン)”に乗ってウェールズへ小旅行に出かけた。そこは私たち2人が大好きな田舎街だ。

ビールを何杯か飲んで夜遅くまで語り合った翌朝。目覚めたときに、私はここ何カ月間の生活の中で欠けていたものに気づいた。それは太陽だった。ホンダのエンジンはご機嫌に始動してくれた。簡単な点検をし、オイルをチェックし、必需品(結束バンド、ペンチなど)をいくつか積み、私たちはホースシュー峠とランゴレン方面へ出発した。



Z600でのドライブするのがこんなに楽しいとは!私はその楽しさをすっかり忘れてしまっていた。私たちは国境を越え、素晴らしいドライブロードを走り、午前中にホースシュー峠に到着した。思ったより早く到着したので、周辺を少し探検してみようと考えた。「おお、あの道は楽しそうだな」という感じで一日が始まった。バラ湖とヴィリンウィ湖を取り囲む風光明媚な景色や、驚くほど素晴らしいいくつかの谷を楽しんだ。ただ、暑い日には黒いビニール製のものはろくなものではない、ということを痛感した。

いや、それよりもヒートソークのせいだ。このホンダは、下部からかなりの暖気を送り出してくる。入れたばかりの一杯の水を床に置いておけば、30分もしないうちに沸騰するのではないだろうか… また暑い日には、常に熱いオイルの匂いがする。めまいがするような香りだが、すぐに慣れる。なんともしようがない。

問題はあるだろうか?助手席側の窓のハンドルが動かないこと以外には、特にない。今この窓は、5年前にこの車を手に入れたトリノでのショーの際に使われたヒモがきつく巻かれ、それと重力のおかげで、直立した状態で固定されている。

素晴らしい一日だった。ランゴレンで信号待ちをしている間、ろくでもない若者たちがボンネットに飛び乗ってきたりしても、この陽気な“オレンジ色のサンシャイン”のムードを損なうことはなかった。それに、自分がなぜ古い車が好きなのかを思い出させてくれた。素敵な仲間と素敵な日に、たった2気筒のピエロのような車で出かけるのは、何ものにも代えがたい宝物といえよう。こんなに笑ったのは久しぶりだった。


文:Richard Heseltine

Richard Heseltine

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