フィアット500Lの不調の理由は?|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

好評企画、『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回はマッシモ・デルボが1972年 フィアット 500Lの燃料にまつわる不調についてレポートする。



2年ごとに必須とされている車検を受けたまさにその帰り道、フィアット500Lに異変を感じた。タンクの半分まで燃料が入っているにもかかわらず、足りないように感じたのだ。しかも、アクセルを床まで踏み込むたびにエンジンが止まってしまう。

道端に停めてタンクを確認したところ、異常はなかった。しかし、エンジンルームを見ると、燃料フィルターが欠けていた。そこで私は、燃料ポンプが故障しているに違いないと思った。スペアは持っているのだが、車検センターは自宅から2マイル程度の近い距離にあるため、この日は工具を持参していなかったのだ。

エンジンが冷めてから、燃料ポンプに水をかけてエンジンを再始動させてみた。だが、数百メートル進んだ後に再び止まってしまった。500は小さくて軽いし、帰り道は主に下り坂だったので、車が転がり落ちる地点まで押して行き、その後500に飛び乗り、ずっと惰性で進みながら何とか帰宅することができた。

数日後に燃料ポンプを交換したところ、すべてがうまくいったように思えた。しかし、その際にまともな試乗をしなかったのは悔やまれる。後日、地元のフィアット500クラブの集会に向かう途中、自宅から1 km以上離れた場所で同じ問題が再発してしまったのだ。燃料フィルターを交換してみたが、直らなかった。

普段お世話になっている整備士のアレッサンドロのショップまでは、レッカー車を頼むと高くつくし、相談するのもなんだか少々恥ずかしい。なので、朝4時に目覚まし時計をセットし、まずは自分でなんとかしてみることにした。燃料タンクを空にして燃料を濾過し、燃料パイプとポンプをチェックした後、キャブレターに取り掛かった。どれも問題なさそうだったのだが、エンジンをかけてもシリンダーが1つしか動かないことに気づき、とてもがっかりした。結局、アレッサンドロを頼るしかなさそうだ。

彼のアドバイスを受け、左右のプラグを入れ替えてみることを提案してきた。でも、同じシリンダーがまだ動いていないのだから、プラグのせいではなかろう。チョークを抜いてもエンジンはかかったままだったが、それでもシリンダーは1つしか動いていなかった。そこでアレッサンドロは、電気系統の問題だと考えた。

私はエンジンを始動させ、エンジンルームをのぞき込んでみた。その時気づいた。エンジンのミスファイアに揺らされ、ディストリビューターキャップが動いていることに。それを押し下げてみると、エンジンは完璧に動きだした。アレッサンドロは「キャップを固定している金属製のクリップがしっかり締まっているか、チェックするように」と言ってくれた。確かめてみると、1つだけ少し緩くなっていたことがわかった。

プラグは正常で、燃料も充分だったのに、エンジンが止まってしまった。最後になって、ディストリビューターキャップのクリップが緩んでいたことが原因だと分かった。

アレッサンドロによると、時間が経つにつれて金属クリップが延びたり、柔らかいプラスチックのキャップに食い込んだりして緩んでくるのだ、と言う。車検の排ガス検査では、何度もエンジンを高回転させなければならなかったので、それがきっかけというか、最後の一撃になったのかもしれない。



フル点検のためアレッサンドロの店に向かう道すがら、この小さな500はかつてないほど快調に走った。アレッサンドロは私が対処した箇所を再チェックするはずだ。キャブレターをきれいにしたことはすでに伝えてあるので、きっと褒めてくれることだろう。


文:Massimo Delbò

Massimo Delbò

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