2024レトロモービルレポート第3弾|アーキュリアルオークションと、会場で出会ったバイク達

Tomonari SAKURAI

今年のレトロモービルを締めくくる第3回はメインスポンサーであるフランスのアーキュリアル(Artcurial)と会場で出会ったバイク達。会場内で唯一期間中にオークションを行っている。レトロモービルの開催は1月31日から。オークションはその週末の2月2日と3日。2月1日まではオークション前の下見会となっていた。

オークションまっただ中。300SLがすでに1億を超えている。会場だけでなく電話やネットでの入札もあり静かに熱い闘いが繰り広げられていた。

今回のオークションの目玉といえる1958年の250 GT LWBカリフォルニア、1962年の250 GT カブリオレ S2、1964年の250 GTルッソ、1965年の275 GTBはいずれも最低落札価格を満たさなかったため落札ならず。

フェラーリ250GT カリフォルニアスパイダーLWB。

フェラーリ250GT ピニンファリーナ カブリオレのコクピット。落札ならず。

ただし、1994年 456 GT、1996年 F355 GTS、1999年 550 マラネロなど比較的新しいモデルは予想落札価格を上回っての落札となった。この手の車の流れが変わってきた象徴なのか?あるいはレトロモービルの外で行われたふたつのオークションにもって行かれてしまったのか?ボナムスではフェラーリ エンツォが6億円を超え、RMではフェラーリ250GT SWB ベルリネッタ コンペティツィオーネは16億円という高値を付けた。それに比べると最高価格という意味では大分おとなしい結果となってしまった感がある。それでも全体では出品台数のうち75%を販売した。

そんな中走行距離が6000km、ワンオーナーの1990年シトロエン2CVチャールストンは500万円を超えた。2CVでも前後にエンジンを積んだ2CV サハラ。2人のオーナーだが当時のオリジナルのままで綺麗な状態だ。こちらは970万円で落札。

当時からのオリジナルのままの良いコンディションのサファリ。

シトロエン2CVサファリのリアエンジン。

今回のオークションでの価格で上位3台でいえば1955年のメルセデスベンツ300 SL「ガルウィング」が2億3000万円、2014年のマクラーレンP1が2億2000万円で1980年のBMW M1プロカーが1億6500万円で落札された。

360kmしか走行していないマクラーレン スピードテール。こちらは落札ならず。

バイクの方も同様で、もともと出品台数は少ないもののその中で注目の2台、1956年、1957年のモンディアル250ccグランプリ2台は落札ならず。NSU SPORTMAX250ccも含めレアなレーサーは設定が高すぎたのか落札には至らなかったのだ。

会場ではバイクメーカーもブースを展開


レトロモービル会場ではバイクはそれほど多くは見かけない。そのなかでも各メーカーがブースを展開。ドゥカティは916の30周年を祝したブースだ。916へ繋がる851、888そして916。そして916の30周年を記念して登場したパニガーレV4 SP2が展示された。BMWでは1926年のR42、1931年の単気筒でわずか6馬力だったR2等が展示されていた。

750F1のパンタエンジンをベースに水冷化。851ccまで拡大したエンジンで1986年ボルドール24時間で優勝した翌年市販されたのがこの851だ。水冷エンジンとなった851は916へ繋がっていく。

1988年にスーパーバイクで優勝した851はその後888ccとなりレースで活躍後市販された。それをベースにフルモデルチェンジして916が誕生し伝説を築いていった。

916の30周年記念で登場したパニガーレV4 SP2は1103ccV4エンジン。限定500台。

BMWのブースを飾った R42。

わずか6馬力の単気筒BMW R2。

1930~70年に活躍したフランスの最も偉大なライダーの一人ジョルジュ モヌレ。499回の優勝と183の世界記録を獲得した。双子の息子のピエールとジャン モヌレも同様にライダーとして活躍。もう一人の息子フィリップ モヌレはこのバイク一家のコレクションを本にした著者でありその彼のコレクションが展示された。中央に配置されたランスでのグランプリでフランス人として最初に優勝した時のジレラ500cc。中にはフランスでは見かけないスズキのカタナなども展示されていた。

ジョルジュ モヌレがランスのグランプリでフランス人として初優勝を飾ったときのジレラ500。

パリ市内の最高速度が30km/hに規制され、駐車料金や充電は無料だと始まった電気自動車の優遇も今では所によってはガソリン車よりも高い費用がかかるといった状況で、車にとってどんどん厳しくなるパリ。そんなことはどこ吹く風でまだまだオイル臭い旧車や化石燃料を必要とする車への熱は益々高まっていると肌で感じたパリの旧車ウィークだったのだ。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

櫻井朋成

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