愛車ダイムラー「ドリス」と「オードリー」との楽しいひととき|『Octane』UKスタッフの愛車日記

NOEL SKEATS

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は1954年ダイムラー・コンクエストと1955年センチュリーに乗るピーター・ベーカーが、「ドリス」でヒルクライムに挑んだ体験をお伝えする。



昨年の11月、私たちは、長年の苦楽を共にしたダイムラー・コンクエストのドリスと、同じく長年の苦楽を共にした私の“補佐官”でもあるクライヴ・ベリーとともに、2023年のヒルクライムシーズンを締めくくる『ラリー・プレスコット』に参戦した。それは、日中と日没後の両方でレースが開催される、今年唯一の大会だ。2トンもある1954年ダイムラーで昼夜ヒルクライムするなんて、まともな神経ではないと思われるだろう。確かに、でもこれはとても楽しいことなのだ。

長年の苦楽を共にした私の“補佐官”、クライヴ・ベリー

親切なBBCによると、天気予報はとにかく昼も夜も雨予報。しかも、間違っていなかった。雨は、最初から最後まで降り続いた。ドリスは大観衆にアピールしようと、昨年1月のモンテ・カルロのプレートをつけて参加した。そして驚いたことに、その気合で昼間の3回の走行をすべて無難にこなした。もちろんのこと、75馬力しかないのだから、「ドリスのわりには」といったところではあるが。

そして夜が訪れた。当然のことながら、ノアの方舟のような照明をつけた車でA地点からB地点への道を見つけるのは、ある種のチャレンジである。道に迷ったわけではないのだが、コース通りに進むこと自体が簡単ではなかった。私たちラリードライバーは、ナビゲーターが助手席で、指示を叫ぶように伝えてくることには慣れている。でも、少なくともワイパーは動いてくれたことだし、多数参加していたミニクーパー達にドリスが勝てるなどということは、100万年経ってもありえないのだった。だから、賞品もなし。ただ、さっきも言ったように、本当に楽しい経験になった。

私は車、特にダイムラーを買い続けるいう夢、というか悪夢を繰り返し見てしまう。オーナーズクラブのメンバーでもある私の主治医は、ただ笑って睡眠薬を処方し、そのうち治ると言うのだが。しかし、最近の私の行動を見る限り、自分でもよく分からない。まず、私はダイムラー・コンクエストをもう1台、しかもコンクエスト・センチュリーを、引きずり込まれるように買ってしまった。そして突然、ULEZ準拠であること以外には何の理由もなく、アルファロメオ・ブレラも購入していた。ブレラは、少なくともプロドライブでは、非常に過小評価されている車である。



ダイムラー2号(愛称はオードリー)の話に戻るが、私もいい歳なので、クラシックカーがときどき理由もなくふらつくことはよく知っているが、オードリーも例外ではなかった。一度に数マイル以上の走行ができなくなってきたのだ。症状はすべて燃料が原因のようで、もしくは燃料不足だった。そして案の定、巧妙に隠れていたバルブ式のリザーブ・フュエル・タップが詰まっていた。そこでハンマーで数回叩いてみたら(私は繊細なことは苦手なのだ)、問題は解決した。ビンゴだ!

ドリスとオードリー

私には何のわだかまりもなかったが、遅めのクリスマスプレゼント的なものとして、オードリーの老朽化したクロスプライ・タイヤは交換することにした。新しいラジアル・タイヤでは、歩行以上の速度でも安定性を発揮するようになった。あとはヒーターさえ使えればいいのだが。

私の財布をより早く空にするためなのか、ドリスは現在、『ラリー・モンテカルロ・ヒストリック2024』出場の準備中だ。ゼッケン239番として出走し、2月1日にランスを出発、運がよければ6日後にはコート・ダジュールでおそらく最高のロケーションにあるイタリアンレストラン『ル・ボッティチェリ』で、イベント後のランチを楽しむことになる。うまくいきますように。


文:Peter Baker

Peter Baker

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