ロータス・エランとの暮らし、再び|『Octane』UKスタッフの愛車日記

Octane UK

『Octane』UKスタッフによる愛車レポート。今回は、ロータス・エランが恋しくてたまらない『Octane』UK版編集長、ジェームズ・エリオットが再びエランを手に入れたお話。



ロータス・エランに関しては、私には決まった考えがある。理由は簡単だ。エランは私のような大したことのない奴でさえ、とても有能なドライバーに思わせてくれるほどの優れたスポーツカーであり、同時代の車の中ではダントツで最高の車だ。アルファ・スパイダーの多くのファンが、ミラノのサラブレッドエンジンとボックスの長所を引き合いに出して、異論を唱えることも知っている。しかし、私はあの5速ギアが羨ましいものの、まともなエランなら公道でもサーキットでも、アルファの悠々と負かすことができると思う。言っておくが私はアルファが嫌いなわけではなく、実は大好きだ。

1999年に、私は最初のエランである1966年のS2(つまり窓枠がないタイプ)を購入し、計13年間、あらゆる天候の下で走らせた。数年間は、ロンドンでの通勤用の主な車だった。ポール・メイが辛抱強く助けてくれたおかげもあって、私たちはこの車を信頼できるものにした。私が自信を持って (生意気にも?)アジャスタブルのスパナだけを積んで『ル・マン・クラシック』への往復の旅に出かけたほどだ。

その後、子供たちが生まれた。それもあって2012年の3月には、約4万マイルも輝かしく走ったエランを私は“売却”せざるを得なくなった。しかし幸いなことにそれは、私とエランの繋がりの終わりを意味するものではなかった。というのも、私は(もちろんポール・メイと)茶封筒に入れたピン札の10ポンド紙幣の束と、ストロンバーグとガラスサンルーフを装備した1969年式の+2を交換したからだ。そして、私は修理を続けていくことになる。

クイックフィットSBS社のスチュアート・クイックが、ハーネスを後部に取り付ける方法を工夫して見つけてくれた。それで、しばらくは学校への送り迎え用の車になった。しかし、子供たちが大きくなるにつれて借り入れも増えてきたこともあり、わずか1年半後にシャトー・インプニーで開催されたH&Hのセールで、私はこの車に別れを告げた。

その後2014年から、エランとは縁がない。スペアパーツはいくつか売ってしまったものの、本やマニュアルはすべて大切に保管している。それに、エラン好きとわかるeBayのアカウント名もそのままだ。いつかまた、年金が満期になるか、子供たちが家を出る頃に別のエランを所有する日が来ると信じて。しかし、職権濫用のようではあるが、エランのいない辛さを日々活字で訴えていたことにより、私は結果的に“大物”を釣り上げることになった。

『Octane』UK版231号での私の記事掲載後、「エランを所有しているがあまり使用していない」というロン・ウィルスン氏から連絡があった。彼は2012年当時の同等の価格で譲ってもいいという。シャシーの交換は必要だとしても、良い取引になるだろう。しかし、分かる範囲だけでも、気をつけるべき十項目がすべて赤信号だった。(オーナーが海外在住、車は第三者の場所で保管・撮影、燃料が十分でないため長距離試乗は不可、取引はV5スワップで行われ、引き取りは都合のいいときに、あまりに安いので詐欺の可能性が高い、などなど)。しかし、この人は『Octane』の読者だ。そういった疑念は頭から追い払った。ウェーバー製キャブレター付きの白い1969年S4コンバーチブルをロンから購入することに、私は即座に同意した。



モートン・イン・マーシュにいるロンの息子のもとへ車両の引き取りに出向いたとき、ありがたいことに私は、いつも世話になっている仲間のマーク・ディクソンと一緒だった。彼はジャンプスターター、タイヤの空気入れ、燃料補給のための道具などを準備してきた。それに比べて、私は小さなアジャスタブルのスパナしか持っていなかった。古い習慣はなかなかなくならないものだ。

マークの後について行きながらウィットニーに戻り、自信があれば、単独でロンドンに向かおうと思った。そして自信が持てたので、その通りにしてみた。



その後、私が休暇を取ってガレージを片付ける間、数週間エランを預かってくれるというので、『デューク・オブ・ロンドン』にやって来た。私の頭の中には、膨大な「買い物リスト」と、同じくらい長い「やることリスト」(エランの最近の使われなさがよくわかる)があった。でも、いま私はとてもご機嫌だ。

次に、どんなエランでも最初にやるべきことがある。車体を上げて、シャシーをしっかりと確認する。そして補助ファンの配線だ。喜びのほとぼりが冷めたら、すぐに両方やることにしよう。


文:James Elliott

James Elliott

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