1966年製 ビンテージ航空機の助手席に乗ってみた日のこと│想像していたものとは違った?

1966 Nanchang CJ6A(Photo: Robert Hefferon)

ある日、"週末、誰か航空機に乗りたい人がいれば乗せてあげるよ"というメールを友人のボブから受け取った。運の良いことにちょうど空いていたのだ。中国のビンテージ航空機に乗れることにとてもわくわくしていた。ボブが所有している1960年代製のCJ6Aは、かつて中国人民解放軍がトレーニングとパトロールに使用していたものだというのだから余計に楽しみになる。

日曜日の朝、これが最後の別れにならないようにと思いながら家族へ挨拶をし、ホワイト・ウォーザンの飛行場へと向かった。酔い止めにコカ・コーラを1缶飲んだ。ボブと技術士のマークが私の緊張をほぐそうとしてくれていたが、気持ちの準備が出来るまでに飛行体勢は整っていたのだ。

マークが手でプロペラを回し始めた。オイルの循環を良くするためらしい。この段階を踏まないと危ないのであろうが、むしろ私を不安にさせてパラシュートのことばかりが頭をよぎった。ボブがエンジンをかけ、飛行準備が整った。離陸したら、想像していた通りかとボブが聞いてきた。想像していたのは、窓がガタガタと鳴り、骨に響いてくるような感覚、不安で爪を噛んでしまうようなものであったが全く違ったのだ。むしろ、自然で快適だ。おそらく、この航空機と同じ頃に製造された車に乗ってきて多少のガタつきには慣れているのだとは思う。古いテクノロジーに、味のあるペイント、アナログダイヤル、車同様に魅力的だ。



コーラが良い仕事をしてくれた。酔う心配はすっかり消えたが、意識を保っていることに集中する必要があった。すごい速さで上まで到達するのだ。しかし、脳がショックを受けるほどの速さではない。シートにしがみつき、水平線を落ちていく。車では決して経験のできないことだ。

私がリラックスしはじめたら、操縦を任された。右手にスティックを握り、左手はスロットルに。自分の手で飛んでいる!あくまでも"飛んでいる"のだ。航空機が幸せそうだったから、下手に動かしたくないと思い動きはしなかった。ボブが出すシグナルを直感的に真似した。車とは違って自身の無さが大きな事態になりそうだと感じて、ボブに操縦を戻した。



基地に戻るまでには雨が降っていた。エンジニアリングの素晴らしさに思いを馳せながら、自由に空を駆け抜ける。助手席に乗っている側としては、最高の経験であった。

Words: Robert Hefferon

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