ジャガー EタイプとFタイプをスペイン・バルセロナで乗る

Photography : Mark Dixon



FタイプでEタイプを追従し、カレル・デル・ブルッフに戻る。最初に気づくのはスーパーチャージドV6のパワーとトルクで、0-60mphを4.8秒という速さを引き出す。その音もまたパフォーマンスの一部だ。それはEタイプのうなりや叫びの2倍にも感じられ、当然のように和音も再現されている。センターコンソールのスイッチで操作するアクティブスポーツエグゾーストは、バイパスバルブを開閉することにより音量を増す。

「V6エンジンはスポーツカーらしく聞こえるよう計画的にチューンされています。その時点では、すでにV8の音を完成させていたので、それに対してV6は、より高い回転やより高いピッチ、そして法規制の範囲内でアクティブな排気音に仕立てました」とダンカン・ブライアンは語っている。



ステアリングに関しては当初、僅かに軽く感じられるが、リニアで正確、そしてダイレクト感がある。道路のカーブがさらにタイトになり始める時、私は古いクルマと同じように新しいクルマを楽しんでいた。Fタイプのウインドシールド越しにEタイプの挙動を観察していると、それがどのくらいロールするかが分かり、同時にFタイプのロールの少なさが際立つ。Eタイプは常にスローイン、ファーストアウトのセオリーを守り、ドライバーは姿勢を調整するため常に微妙なスロットルワークを行っている。一方Fタイプはグリップに終始し、きわめて簡潔だ。両者に共通するのは、シャープなターンインとコーナーでの絶妙なバランス、および巡航時の心強い安定感で、ともに速く走らせた方が魅力を発揮できる。なぜならFタイプのいくつかの運動性能を引き出すには高い速度が必要だし、またEタイプは、そのトリプルSUキャブレターを安定させるために2000rpmかそれ以上が必要で、さらにはローギアではヴェテランカーのような音を出すからだ。

なぜEタイプは1961年に発表されるや大きな話題となったのか。そこには多くの理由がある。スタイリングは当然のこと、最高速の速さとそのシャシーの洗練性。中でもツインコイル式を用いた後輪独立懸架は際立っていた。高いロードホールディングとジャガーの代名詞となったシルキータッチの乗り心地。そして高級な進化と評されたXJ6とXJ-S。またXK8やアストン・マーティンDB7に用いられた歴代のジャガーを支えてきたレイアウト、すなわちモノコック+サブフレーム構造と、信じ難いほど素晴らしいエンジンが絶妙なコンビネーションを見せる。

Fタイプはオクタンの読者のような顧客にアピールする車だろう。私は、FタイプこそEタイプの血統を引き継ぐ後継モデルだと確信できる。そしてこうして乗り比べると、最初の一歩を記したEタイプは何物にも代え難い魅力を持っていることが実感できる。

編集翻訳:小石原 耕作 Transcreation: Kosaku KOISHIHARA Words : Glen Waddington 

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