スペインまでオフロードドライブの冒険記 第二弾

Photography: Mark Dixon and Alex Tapley

スペインまでドライブしてオフロードを楽しむ。そんな夢のような週末旅行に誘われたマーク・ディクソンが、自慢のレンジローバーで同好の士と冒険に出掛けた。第二弾

第一弾を読む

そこで待っていたのは、あらゆる国のあらゆるファンによるランドローバーの祭典だった。圧倒的に多いのはフル装備のディフェンダーだ。広大なエリアで思う存分オフロードを楽しめるとあって、ヨーロッパ中から集まってきたのである。レス・コメスのかつての姿はうかがい知れないが(ブドウ畑かオリーブ畑だろうか)、その美しい石造りの建物は、今はランドローバー・エクスペリエンス・センターの拠点として使われている。ここへ来れば、1年を通して新しいランドローバーやレンジローバーの能力を試すことができるのだ。
 
ランドローバー・パーティーは金曜から日曜までの3日間のイベントで、私たちはちょうど金曜夜のパーティーに間に合った。ここでもロブのシリーズIは参加者から大好評を博している。その美しい古艶と重ねた時間の長さは、キャンプ場を埋め尽くす比較的最近のディフェンダーとは対照的だ。
 


それでも、よく見ると古い"シリーズ"モデルも数台ある。1990年代末に苛酷なキャメルトロフィーに出走したというフリーランダーも来ていた。本物の希少品もあり、ダンズフォールド・コレクションのフィリップは、1960 年代のシリーズⅡAフォワードコントロールに心を奪われていた。スペインのサンタナがライセンス生産したもので、ソリハル製とは明らかに異なる。ランドローバーにかけては、筋金入りのエンスージアストが一生かかっても追いつけないほど、あらゆるモデルを見てきたフィリップでさえ、実物を目にするのはこれが初めてだという。
 
私と同じP38レンジローバーや、様々な世代のディスカバリーも見かけたが、シリーズモデルがこれほど少ないのは残念だ。5軒ほどの販売ブースがタイヤとオフロード用のアクセサリーばかりなのもいただけない。グリーンオーバルの信奉者は幅広いのだから、中古のボディパネルや見る影もないほど古いパーツを売る、指がオイルで黒くなるようなガラクタ市があってもいいはずだ。イギリスではカーショーの屋台骨であるオーナーズクラブのブースも見当たらない。ただし食べ物に関しては、ハンバーガーとポテトで凌ぐしかないイギリスのイベントより数段上回るのは確かだ。
 
暑い中を長く走って疲れていたので、ホテルを選んだ我ら軟弱者は、暗くなると宿へ引き返した。食後のビールを楽しみ、早めに床に就く(清潔なシーツは極楽だ)。明日はビッグイベントが待っている。

編集翻訳:伊東和彦(Mobi-curators Labo. ) Transcreation: Kazuhiko ITO (Mobi-curators Labo.) 原文翻訳:木下 恵 Translation: Megumi KINOSHITA Words: Mark Dixon

無料メールマガジン登録   人気の記事や編集部おすすめ記事を配信         
登録することで、会員規約に同意したものとみなされます。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

RANKING人気の記事