60年以上前に誕生した奇抜なスタイリングの1台が生まれるまで

octane UK



ことのはじまりはこうだ。ある日、フォードで働いていたボアノの友人が、リンカーンをベースにしてトリノ・モーターショーに出展するための車を作ってくれとカロッツェリア・ボアノに依頼した。その頃、ボアノは既に海外のクライアントを相手にすることに慣れていたため、快く受け入れたのだ。時は同じくして、ギアはクライスラーのショーカーを作ることで成功をおさめていた。

ボアノのショーカープロジェクトは"インディアナポリス"と名付けられ、大きなスケッチからはじめられていった。最終的に完成したスタイリングは、垂れ下がったノーズに大きなクロムバンパーを持った1台であった。白のホイールはウイングが半分かぶさり、ハードトップのルーフラインが低いことで洒落た雰囲気を醸し出している。



ボディカラーはオレンジに仕上げられ、ノーズにはリンカーンのバッヂ、フロントウイングにはチェッカーフラッグ、ハードトップには"Exclusive Study by Boano Torino"と刻まれている。

決して、美しいとかエレガントの部類には入らない車ではあるが、1955年の世界にとっては大きな衝撃となったに違いない。トリノに出展された後はアメリカのヘンリー・フォードのもとへ渡った。その後は俳優や、パッカードのコレクターであるトーマス・カーのもとで所有されていた。トーマスは完全なるオリジナルの姿に戻るようレストアを施し20年にも渡り大切にしていたそうだ。

ボアノはこの車を5ヶ月で完成させた。この時はあくまでもショーカーであり、車としての性能は劣るものがあった。しかし、徹底的なレストアをされ性能も完璧になった今となっては見た目も中身も素晴らしい車へと生まれ変わったのだ。

Words: Robert Coucher 訳:オクタン日本版編集部

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