フランス全土の整備などを通して旧車を維持しているクラブに潜入

Photography:Tomonari SAKURAI

毎月一回のミーティングでは、時々お世話になっているヴァンセンヌ旧車クラブ。今回の取材日は、パリの南にあるアントニーという街で開催されていた。

ここには、"Conservatoire Nationaldes Véhicules Ancient"がある。何と訳すべきか。コンサヴァトワールは、一般的にはフランスで音楽や芸術などを学ぶ施設だ。単なる音楽教室ではなく、プロ向けの音楽院と言ったところだが、よく調べると文化遺産、自然遺産を守る組織、団体という意味があるらしい。やや無理があるが、フランス旧車保存機関と言うところだろうか?
 
民間の組織ではあるが"ナショナル"とつくように、フランス全土の整備などを通して旧車を維持していこうということを行っている。旧車独特の修理法法や、板金塗装などその技術を伝えていく。例えば、趣味が高じて旧車専門店を開こうとしたときに、ここに来ればその技術を学ぶ事ができるのだ。


主にエンジンを分解、組み立てをする整備室。


また、博物館などのコレクションの多くはここで修理やレストアも行っている。一般の修理工場では手に負えなくなった車がここにたどり着くという、駆け込み寺的な存在でもあるようだ。通常は一般公開されないのだが、ヴァンセンヌ旧車クラブのイベントということで見学が叶った。

施設は大きく分けるとジャッキが数台ある整備室、板金などボディーワークを行う部屋、エンジンを組み立てる部屋があり、別棟に塗装ブースなどが備わっている。そこにある車はフランス車だけではなく、ミニやMGそしてロータス・イレブンなど英国車の姿もあった。


オースチン・MINI バンもレストア中。


フランス車は、シトロエン・トラクション15CV-SIX、AMIやSIMCAのマスコット、板金や塗装ブースにはアルピーヌA108,A110などが整備の途中だった。エンジンの整備室に置かれていた12個のコンロッドとピストンは、ジャガーのV12気筒エンジン用だそう。

外には朽ち果てそうな2CVフォルゴネット、ルノー・エスタフェの救急車などがあるが、きっとこれらもいつの日か新車のように蘇るのだろう。このアントニーという街には、シトロエンに深く関わったデザイナー、フラミニオ・ベルトーニの墓がある。その墓石には”スタイリスト・シトロエン”と書かれたあとに、彼が携わった4車種の名が彫られていた。


コンサヴァトワールの駐車場の隅で朽ち果てそうな2CVフォルゴネット。 これもきっと、蘇らせてもらえることだろう。


パリは化石燃料車に厳しくなり、車の流入量を減らすためにわざと写真を減少させたりと車に厳しくなってきている。しかし、フランスにはコレクション対象車の車検証が発行されてこれは保険料も安く、パリを走る年代制限を受けずに走れる。旧車を守る法律がフランスにはあるのだ。


スポーティな2台。アルピーヌA310とデ・トマゾ。

法律や、組織によって古い車が守られている。これが黎明期から車に触れてきた国の底力なのである。

写真&文:櫻井朋成 Photography&words: Tomonari SAKURAI

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