舞台はフランスのお城!見ているだけで楽しい個性溢れるコンセプトカーの展示会

Photography:Tomonari SAKURAI

いよいよパリも規制緩和となった。6月14日マクロン大統領の演説から翌15日から規制緩和を実施を宣言。最後まで規制の厳しかったパリも、レストランやカフェも室内での飲食が可能となったのだ。併せて博物館や美術館の規制も緩和。ただし、多くの美術館などは7月1日と決めており、それを前倒しにして15日からというところは、さすがに準備が出来ていないので少ない。本来なら車に関係したイベントは開催真っ盛りの6月。それも9月、10月へと延期となっているスケジュールのままだ。

規制が緩和されたらいってみたいと思っていたイベントがある。2月のレトロモビルで小さなブースでチラシを配っていたコンピエーニュ城だ。ここで、コンセプトカーの展示が行われている。そして期限が7月上旬。ネットで再開の情報を確認すると、なんと15日から再開するではないか!早速出かけることを決めた。

コンピエーニュ城はその名の通りコンピエーニュにあり、コンピエーニュの森といえば第一次大戦休戦条約のために、この森にある列車の車両で著名を行った。これを事実上ドイツの敗北の象徴という捉え方をしたヒトラーは、第二次世界大戦の前半フランスがドイツに降伏したときの調印を同じこのコンピエーニュの森の同じ車両で行い、屈辱を晴らしたことでも知られる。


ヴェルサイユ宮殿を模して作られているのが分かるたたずまい。コンピエーニュ城だ。

また、ルイ16世とマリーアントワネットが初めて顔合わせをしたのもこのコンピエーニュの森である。歴史に大きく関わってきたコンピエーニュにあるお城は、ルイ15世が建てたものだがフランス革命後荒れ果ててしまった。それをナポレオン1世が大規模な改築をして今の姿になった。その後もナポレオン三世のお気に入りのお城ともなり、城内には”N”がここかしこに配されている。この城には馬車がコレクションされていた。やがて馬車は車へと変わっていくが、コレクションも馬車に加え車も加わることとなっていく。1927年に、"これだけコレクションがあるならそれを保存、公開しよう"ということからオートモービル・クラブが発足され、ミュージアムとして機能を始めた。

2019年11月29日からコンセプトカーを集め、城内に展示したイベントが開催された。レトロモビルでもそれを宣伝していたのだ。一度行ってみようと思っているうちにコロナの騒ぎでそのチャンスを失った。本来ならば3月23日で終了してしまうイベントは7月6日まで延長された。今度はこの機会を逃すまいと規制が緩和されたその日に向かったのだった。


入ってすぐのホールにはブガッティType28から1948年のパナールディナヴィア、Socema Grégoire Turbineとつづく。

入り口で警備員に備え付けの消毒液で手の洗浄を促され、もちろんマスク着用が義務づけされている。城内に入るとブガッティType28を先頭にお城のホールに展示されている。展示場などのものと違いその雰囲気に圧倒されるのだ。50年代のSF映画に出てくるようなクライスラーGildaをみて、階段を上がるとかわいらしイセッタベースのVelamやランブレッタやベスパのスピードレコードのためのコンセプトカーが展示されている。


かわいらしく小さな、世界記録を見座したコンセプトカー達が並ぶ。

1898年に作られたれ”La Jamais Contente”(不満だらけ)と名付けられた電動自動車はレトロモービルやシャンティ城のコンクールデレガンスで見かける車両だが1933年からこのお城のコレクションなのだ。今回特に、きれいにレストアされた車両だけでなく当時のオリジナルのパネルも展示されたことがうれしい。


19世紀のエレクトリックカー”La Jamais Contente”

別の部屋には1942年の”L’Œuf”(卵)と名付けられたかわいらしい電動カーが展示されている。ボディはジュラルミン製で重量はたったの65kgを達成している。部屋を移るとそこには1台のアルファロメオが。1955年に2台のみ作られたベルトーネデザインのプロトタイプ 1号車が鎮座している。


それが”卵”というなの電動カーだ。ボディをジュラルミンで構成している。1942年という事は大戦中に製作されたマシンなのである。


ベルトーネによって2台だけが作られたアルファロメオ ジュリッタ スプリント スパイダー。

さらに別の部屋には航空機のアイデアを取り入れた2台。一台は星形空冷エンジンをを搭載したレーシングカーMonaco-Trossi。プロペラを推進力にしたLayat Hélica Sportが展示されていた。特別展示を抜けると馬車や、黎明期の自動車の常設を見ることが出来る。その馬車の展示場の中心にピニンファリーナの手によるMG EX 234がスポットライトを浴びて展示されている。最後のエリアを飾ったのはメルセデスC111-IとVauxhall SRVだ。


最後はメルセデスC111-IとボクスホールSRVで締めくくられている。

途中、このお城でメインであるナポレオンやマリー・ルイーズの寝室などを抜けて行く。お城の中のコンセプトカーは何ともフランスらしい展示だ。7月1日より海外からの入国も緩和されるようなのでこの展示を見ることも叶うかもしれない。この機会をのがすな!

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