スポーツ感覚で乗る次世代クルーザースタイルをインディアンのチャレンジャーに見た

Octane Japan 編集部｜ 2020.12.28

大型のフロントカウルとタンクのラインが美しくシンクロするボディデザイン。ハンドルが大きく手前に引かれていることもよくわかる

アメリカを中心に巨大な流行へ拡大するバッグを持つ者＝Bagger（バガー）スタイル

この「チャレンジャー」を中心とした、クルーザーのスポーティなスタイルとパフォーマンスは、バイク市場に新しいスタイルを生んでいる。それが“バガー”である。バガーは、このチャレンジャーのように、リアフェンダーに合わせて設計およびデザインされたバッグを持つ高速ツアラー。バッグを持つ者＝Bagger（バガー）である。そして巨大な車体をグイグイ加速させ、ワインディングもクルマの間もキビキビと走る。アメリカのクルーザー市場で一大勢力となったバガーは、アフターパーツやアパレルを巻き込み、いまも成長を続けている。

軽量で高い剛性を持つアルミフレームはほとんど見えないようにデザインされている。リアフェンダーや真っ直に伸びたサイレンサーのラインにも注目したい。

ユニークなのは、この盛り上がりがサーキットへと飛び火したことだ。一番速いバガーを決めようと米国の二輪系アフターパーツ流通大手が仕掛けた、「The King of Baggers／キング・オブ・バガーズ」というレース開催の呼びかけに、インディンとハーレーの二大アメリカンブランドに加え、インディアンのレースをサポートするS&S、ハーレーのレースをサポートするバンス＆ハインズといったアフターパーツメーカーも応え、さらには米国のロードレース選手権を戦うトップライダーたちも賛同。巨大なカウルとバッグを持ちながらロードレース用に改造されたバガー・レーサーによって争われたレースは世界中で話題となった。ここでもクルーザーは、威風堂々と佇み、ゆったりと走る乗り物でなく、スポーツバイクであることを証明すると同時に、スポーツバイクのカタチや概念が進化していることを証明した。

アメリカでは伝統的なバイクレースとして圧倒的な人気を誇るフラットトラックレースの最高峰クラスに、独自に開発したファクトリーレーサーを投入。参戦初年度から今年まで、5年連続でシリーズタイトを獲得。

そしてその記念すべきレースで優勝したのは、インディアンのファクトリーチームであるS&Sが作りあげた「チャレンジャー」であり、3位には世界最高峰のデザイン力と生産能力、そしてバイクシーンのトレンド牽引するパーツ＆デザインファクトリー「ROLAND SANDS DESIGN／ローランド・サンズ・デザイン」が作った「チャレンジャー」が入った。この新しいカテゴリーのレースは、2021年に全米でシリーズ戦が予定されている。

かつてのアウトローイメージではなく、むしろスニーカーで乗るのが気分だ

では我々は、日本という土地でいかにクルーザーを楽しめば良いのか。答えは簡単だ。旅はもちろん、街にもワインディングにもこの「チャレンジャー」を使い倒すことだ。進化した「チャレンジャー」を走らせるのに、かつてのアメリカンバイクのような、ステレオタイプのイメージや精神論は必要としない。ライダーのマインドとしては、Tシャツにスニーカーで気軽に乗ることができるのが最新のクルーザーであり、この「チャレンジャー」だ。気軽さは、スポーツ感覚と言い換えることができるかもしれない。

この感覚はじつに新しい。したがって「チャレンジャー」で走り出しても、もうステッペンウルフの「Born to be wild」がバックグラウンドミュージックで流れることはないだろう。

個性的なデザインのLEDヘッドライトユニットを装備。そのグリル両脇のエアインテークから走行風を取り込み、カウル内の風圧をコントロールしライダーの快適性を保つ。

【諸元】
サイズ：全長×全幅×全高＝2501×990×1428mm（ミラーを含まず）
シート高：672mm
ホイールベース：1668mm
乾燥重量：361kg
タンク容量：22.7
排気量：1768cc
タイプ：水冷4ストロークV型2気筒 OHC 8バルブ
最高出力：122hp
最大トルク：178Nm／3800rpm
トランスミッション：6段MT
価格：345万円（税別）～

https://www.indianmotorcycle.co.jp

文：河野正士　写真：高柳健
Words：Tadashi KONO　 Photography：Ken TAKAYANAGI

文：河野正士　写真：高柳健 Words：Tadashi KONO Photography：Ken TAKAYANAGI

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