トライアンフの新型トライデントで知る、3気筒エンジンの未体験な気持ちよさとは

Photography:Hiromitsu YASUI

シンプルながらモダンな佇まい。3気筒エンジンという個性的なディテール。アクセルを捻るたびに、コーナーを駆け抜けるたびに感じるワクワク感。必要なものはすべて揃っている

やはりトライアンフの並列3気筒エンジンは気持ちが良い。2021年モデルとして新たに英国ブランドのラインナップに加わった「トライデント660」に乗ってそう感じた。理由はいくつかある。まずはエンジンの出力特性。具体的にいうとアクセルが開けやすく、自分のライディングがうまくなったように感じることだ。


なぜトライデントは“気持ちいい”のか

少し難しい話をすると、トライデント660は120度クランクを採用した並列3気筒エンジンを持ち、そのエンジンは240度の等間隔で3つのシリンダー内の爆発が起こる。その時の3つのピストンやコンロッド、クランクの動きによって振動が相殺され、またピストンの上下運動によって生まれる慣性力が相殺されることで、シリンダー内で起きる爆発によってピストンを押し下げるチカラが明確になる。

トライデントというモデル名は1960年代後半に登場。トライアンフ初の並列3気筒エンジンを搭載した。そして1990年代にトライアンフが現体制となり、その復活第一弾モデルとして登場したのもトライデントだった。

コンパクトに設計された排気量660ccの並列3気筒エンジン。個性的なライバルが多い中間排気量カテゴリーのなかにあっても、パワフルで扱いやすい出力特性とユニークなキャラクターは武器となるだろう。



自分の意思がエンジンとリアタイヤに直結する気持ち良さ

要するにアクセルを開けて加速しようとしたとき、ピストンを押し下げるチカラと連動する、リアタイヤが回転して地面を蹴り加速する感覚が凄く分かりやすくなる。だからアクセルを開けようとする自分の意志とそれに連動した右手の動きが、エンジンの反応とリアタイヤの回転力とが直結しているように感じられ、アクセルが開けやすくなる。まさに“意のままに走る”のだ。

その結果、街中や首都高速のような加減速を繰り返す場所で、シフト操作を省き、アクセルを開けたり閉めたりしながら乗るのが本当に気持ち良いのだ。しかもこのトライデント660は、電子制御テクノロジーを駆使して、最大トルクの約90%を3600回転という低いエンジン回転から発揮。したがって交差点を曲がって加速したとき、また前車がクリアになったわずかなストレートが現れたときなど、さほどスピードを出さずとも3気筒エンジンのクリアな爆発力を感じながら加速を楽しむことができる。エンジンを味わうのに、サーキットやワインディングを必要とせず、街中がそのフィールドとして適した場所になってしまうほどなのだ。

出力特性やトラクションコントロールの介入度が異なるROADとRAINの2つのライディングモードを装備。それらはさらに電子制御の設定を細かく変更することもできる。

文:河野正士 写真:安井宏充  Words:Tadashi KONO Photography:Hiromitsu YASUI

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