トライアンフの新型トライデントで知る、3気筒エンジンの未体験な気持ちよさとは

Photography:Hiromitsu YASUI



排気音だけではない、独特の吸気音がさらに気持ちいい

そのとき、トライアンフ3気筒が気持ち良いもうひとつのポイントに気づくだろう。エンジンサウンドである。排気音としなかったのにはワケがある。トライアンフ3気筒は、吸気音も気持ちが良いからだ。並列3気筒エンジンは、並列4気筒エンジンとは明確に違う、やや低い音質の、荒々しさをともなった排気音が特徴だ。とくにトライアンフの3気筒エンジンは、すこしザラッとしていて荒々しさが強調されているが、それは紛れもなくトライアンフ3気筒特有のサウンド。個人的にはロータリーエンジンにも通じる、瑞々しく、弾けるような排気音だと感じる。

そしてアクセル操作に合わせて吸気音がプラスされる。スーパーチャージャーのタービン音ほどではないが、それに近い吸気音とのハーモニーは、ライダーをその気にさせる。道路脇に迫るビルたちがそれをさらに響かせ、トライデント660で街を流せばライダーはそのサウンドを全身に浴びることができるのだ。

トライデントの車体のコンパクトさを強調する極短のサイレンサー。そのスペースを確保するためスイングアーム右側形状を変更し、車体左右で異なる表情を作り上げている。

3000回転あたりから最大トルクの90%近いトルクが発生していることから、エンジンを回さずともキビキビとした走りが楽しめるが、高回転域のエンジンの伸びも気持ちが良く、アクセルを開けて走るのも楽しい。


モダンデザインが凝縮されたコンパクトボディが気持ちいい

デザインも気持ちが良い。400ccモデル並みの超コンパクトな車体は、街中をキビキビと走るのに最適だし、その小さな車体に込められたデザインソースは、雑踏の中でも凜と映える。オーセンティックなネイキッドバイクのセオリーを踏襲しながら、最新のデジタルコンポーネントを採用してモダンさをプラス。コンパクトな車体をさらにコンパクトに見せるデザイン手法が各部に見られ、その仕上がりはイタリアやドイツのそれとは異なるトライアンフ独自のものだ。

シート高は805mm。シート先端が細くデザインされていることもあり身長170cmの筆者が跨がると両足をしっかりと地面に着けることができる。

デザインはイギリス・ヒンクリーにあるトライアンフ本社のデザインチームが考案し、イタリアのデザイン工房/Frascoli Designがスタイリングを施している。Frascoli Designはトライアンフの新型アドベンチャーモデル/タイガー900のほか、2000年代には多くのモトグッツィ、そして近年では復活したスズキ・カタナのデザインを手掛けている。

ライダーの膝が当たる燃料タンクサイド部分をサイドカバーと連携する素材へと変更すると同時に、スリットやロゴのデザインをプラス。四輪のトレンドも意識したデザインが施される。

短く、そしてクリーンにデザインされたテール周り。シートとシートカウルのシームレスなライン、ライダーのヒールガードやタンデムステップのステーなど細かな部分にもデザインの手が入っている。


文:河野正士 写真:安井宏充  Words:Tadashi KONO Photography:Hiromitsu YASUI

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