アストンマーティンだから味わえる、本物のヨーロピアン・ラグジュアリー

Ken TAKAYANAGI

カーライフと一概に言っても、それはとてもパーソナルなもので正解などあるはずのないものだ。一方で一台の車からインスパイアされるカーライフもあるもので、それは時に自身の世界観を広げるような体験を伴う。例えばアストンマーティンは人を魅了し、新しい扉へと誘うだけの歴史、哲学、挿話を持ち合わせた稀有な存在。

だから、アストンマーティンのオーナーとなったら、ドライブの目的地にまでアストンマーティンにふさわしい場所を選びたくなるのは必然の流れだ。その候補として挙げていただきたいのが今年3月にオープンしたばかりの『THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田』。食通だけでなく、そのホスピタリティまでを包括して、早くも好評を得ているデスティネーションのひとつである。


『THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田』は、全国に高級レストランなどを展開する『ひらまつ』による7つめの宿泊施設。「森のグラン・オーベルジュ」を標榜し、豊かな自然のなかで本物の美食と安らぎを追求したグルマンのための理想郷だ。東京から最寄りの佐久ICまでの道のりは、関越自動車道から上信越自動車道を経由し約250kmほど。時間にして3時間半ほどのドライブとしては適度な距離だ。

佐久ICからTHE HIRAMATSU 軽井沢 御代田までは車で約20分。軽井沢町追分から上田市住吉までを結ぶ浅間サンライン(県道80号)途中に入り口がある。

6万㎡を超える広大なホテル敷地内には「森の散策路」が敷かれている。散歩の途中にベンチに座り耳を澄ませば、野鳥の声が聞こえてくる。

御代田は縄文時代から人々が暮らす土地。ホテル敷地内の“TAKIBIラウンジ”は、太古の人々が火を囲み語らったように、焚き火を中心に自然と人が触れ合える広場。ラウンジでは冬はヴァン・ショー(ホットワイン)、夏にはサングリアなど、ソムリエ特製のフリードリンクが供される。

ゆったりとした時間が流れる一階のロビーラウンジ。夜間は暖炉に火がともり、季節によってはここがバースペースになることも。田窪恭治氏の手によるリンゴの壁絵を眺めつつ、カルヴァドスを楽しむのも良いだろう。

長い庇を持つテラスには、身体全部を預けられる大きなソファが並ぶ。時間を忘れてただ景色を眺めたい。

グランドツーリングの本場である英国では、ロンドンからドーバー海峡を渡りパリを通過し、ヴィンテージのシャンパンを抜きに行くといったドライビングも至極当然の範疇。今回のツーリングに関しても、この250kmという距離をイギリスに置き換えるとどうだろう。それはさしずめ、ロンドンを出発し、アストンマーティンの故郷ともいえるウェールズへと向かう道程のようなものか。共通するのはそのルートが主に豊かな緑の中を延々と走るということ、適度なハイスピードワインディングが続き、マシンを操る楽しさを存分に味わえるルートである、ということだ。もちろんそこには鍛え抜かれた本物のグランドツアラーが必須条件であることは言うまでもない。

そのキャラクターを真逆にするDBXとDBS。この2台を乗り比べながら旅する贅沢!今回のドライブでわかったのはDBXの快適性以上に、意外にもDBSの長距離ツーリングが楽しく、飽きないこと。これがグランドツーリング・マシンの真価というわけか。

『THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田』に向かったのは2台のアストンマーティン。英国流スーパーGTの象徴であるアストンマーティンDBSスーパーレッジェーラと、新世代のアストンマーティンを牽引するDBX、同ブランドでもおそらく真逆のキャラクターを背負って生まれた2台だ。

ご存知のとおりDBSスーパーレッジェーラは5.2リッターV型12気筒エンジンを搭載し、725PSを発生するモンスターマシン。スペックだけで見ればある意味暴力的だが、いざ走らせると意外なほどにスムーズかつ軽快であることが分かる。気負うことなく運転に没頭できるため、3時間強の道のりも心地よく集中を切らさずステアリングを握ることが可能だ。


ワイルドな乗り味が身上のアストンマーティン DBSスーパーレッジェーラ。V12気筒5.2リッターツインターボエンジンを搭載するモンスターは、アストンマーティン史上最速を謳うリアルなスーパーGTカーだ。

同車専用のD字型のスポーツプラスステアリングホイールや、ブラックレザーに赤いステッチを効かせたインテリアが、精悍かつスパルタンな雰囲気を醸し出す。

細かいポタン類のデザインやタッチにまでこだわりを尽くしており、ディテールにも本格グランドツアラーの矜持が見て取れる。

シートのみならずアームレストにもブロックパターンのデザインが描かれており、工芸品のごとき作り込みが加えられている。ステッチごとに糸の太さやピッチを変えるなど非常に芸が細かい。

他方DBXは4リッターV8ツインターボにて550PSの動力を発する4輪駆動のSUV。ただしフロントに露出したトラス構造のアルミフレームが物語るように、一般的なモノコック式SUVとは一線を画す、スーパースポーツのノウハウを導入した一台だ。アクティブなドライブフィールを堪能するも良し、広い車内を生かした複数人数での旅にも適した、極めてハイレベルなマルチカーに仕上がっている。

曲線を生かしたデザインだが、見た目よりも意外に大柄なアストンマーティン DBX。同社初のSUVでありフルサイズの5人乗り。とはいえその走りは軽く、そして非常にスポーティ。

グレーのレザーやチャコールのフェルト、その他天然木をあしらったインテリアは、実に個性的でラグジュアリー。10.25インチのインフォテインメント用ディスプレー及びHDDナビシステムをダッシュボードに装備する。

レザー内装にはステッチングやパイピング、パーフォレーション(穴飾り)などが随所にあしらわれている。英国紳士靴を彷彿させる意匠がユニークだ。

荷室の容量は5人乗車時ならば632リッター。3分割式の後部座席を倒すことで、より広いラゲッジスペースが確保できる。リリースボタンは後席の右側面に装備。

東方面からも西方面からも同じ佐久ICを降りて、その後20分ほど下道を走る。浅間サンライン脇の広大な南斜面を占める瀟洒なリゾートこそ、今回の目的地であるTHE HIRAMATSU 軽井沢 御代田だ。6万㎡以上を誇る敷地のなかに客室は僅かに37室のみ。選ばれたゲストのための贅を凝らした楽園として完成している。各種サービスを集約させた本館も確かに魅力的。今回はよりプライベートな時間をじっくりと味わうためにも、ヴィラスイートの宿泊をチョイスした。

本館のほか9棟のヴィラを構えるTHE HIRAMATSU 軽井沢 御代田。プライベートが確保された立地・設計となっており、長期滞在にも適している。

9棟のヴィラはすべてラグジュアリーなスイート仕様が特徴的。タイプは3種類をラインナップ。「テラスヴィラスイート(屋内122.8㎡、テラス含む213.9~233㎡)」「ヴィラスイート(屋内122.8㎡、テラス含む181.7㎡)」「ドッグヴィラスイート(屋内122.8㎡、テラス含む181.7㎡)」

テラスと一体感あるリビングは、自然を近くに感じる開放感に溢れた作り。デザインにもこだわった本格家具が居心地を高めてくれる。

本館に加えヴィラにも温泉風呂が備え付けられている。「大塩温泉」の湯は温泉愛好家からも高評価を得るもの。窓を解放すれば高原の空気を感じつつ、夜には星空のもと静寂のなかで浸かることも可能だ。

ヴィラスイートの定員は1~4人。リビングを挟むように二つのベッドルームを備えており、二家族での利用にも対応する。

愛犬と一緒に過ごせる「ドッグヴィラスイート」も完備。玄関脇には上質感たっぷりの上、温水シャワー付きの脚洗い場、そしてプライベートガーデンにはドッグランも併設。

株式会社ひらまつのマーケティング部長、植杉かおり氏曰く「当館のヴィラは長期滞在を考慮したしつらえが特徴です。プライベートに配慮した立地や設計に加え、各部屋にはミニキッチンや洗濯機なども備えています。また、当施設周辺には複数の観光スポットに加え、道の駅をはじめ地のものを提供する店舗も点在しており、軽井沢・御代田という土地を味わい尽くす意味でも、二日以上の滞在をお奨めしています」

聞くところによると、このTHE HIRAMATSU 軽井沢 御代田では、昨今リモートワークの拠点として活用する人や、別荘代わりに長期滞在を選ぶ顧客も増えているのだそう。

そんな同リゾートの真骨頂といえば「森のグラン・オーベルジュ」と銘打つ食にある。なかでもメインダイニングにて供されるディナーは格別なもの。

本館一階のメインダイニング「ル・グラン・リス」。柳原章央シェフが腕を揮って供する信州食材を中心としたコースを軸に、軽めのコース、フランス高級食材も加えた贅沢なコースの3つが用意されている。

若きシェフである柳原章央氏が、ホテル開業までに二年を掛け出会った上質な信州食材を多彩に取り入れており、どの料理も美しく自然の力と滋味を豊かに引き出したものばかり。一食終えただけでも、なぜひらまつがこの地を選んだのかが納得できるメニューとなっている。折しもこの日は恵みの季節がもたらす終日の雨天。森の木々に囲まれプリミティブな時間が過ごせる “TAKIBIラウンジ”はクローズされていたが、ここを訪れる人は、ぜひ至高の食と同時に火のゆらめきも味わってほしいものである。

「グリンピース/黒トリュフ」。下層にグリーンピースのピュレにJus de Truffeと和出汁を加え、葛粉でつなぎつつ上層には泡状の和出汁を添えている。自家製のブリオッシュと合わせて供される。

「鳩/アメーラ」。低温調理したランド産小鳩の胸肉をベースに、上部には豚、鶏、牛のミンチとほうれん草、ポルト酒とマデラ酒、黒トリュフのスライスを層状に。仕上げにアメーラの透明なジュデナパージュを加えて。その周りに塩をあてたアメーラと、ソース状のアメーラ・コンフィが添えられる。

朝食は本館五階のオールデイダイニング「ラ・ルミエール・クレール」にて。朝の光と高原の風を感じつつ食事をとれば、心身ともに目覚めていくことが実感できる。

絵に描いたがごとく穏やかなヴィラスイートでの一夜を経て感じたのは、本物がもたらしてくれる心からの満足感だ。生粋のグランドツアラーを駆って唯一無二のドライビングを満喫する“動”の時間。そして美しい環境とラグジュアリーなもてなしを揃えたリゾートにて浸る“静”のひととき。極め付きが自然の活力を見事に引き出した至高の味わいによる“食”という体験。心に広がる深く濃い満足感は、どの要素も究極かつまぎれもない本物だからこそ。

帰路の車中にて、このような極上の旅は一体どこから始まったのかを改めて考える。それは確かにアストンマーティンという一台のマシンがすべての起点となっているのだ。素晴らしい出会いはどこにでもあるというものではない。本物に見合った本物の上質を知る者たちが乗り継いできたブランドは、やはり本物がよく似合う。アストンマーティンを手に入れることで、自分自身が磨かれる、そんな体験だった。


THE HIRAMATSU 軽井沢 御代田
〒389-0201 長野県北佐久郡御代田町大字塩野375番地723
電話:0267-31-5680(代表)
https://www.hiramatsuhotels.com/miyota/


文:長谷川 剛 Words: Tsuyoshi HASEGAWA 写真:高柳 健 Photography: Ken TAKAYANAGI

文:長谷川 剛 Words: Tsuyoshi HASEGAWA 写真:高柳 健 Photography: Ken TAKAYANAGI

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