これが日本にあったとは!まるでタイムカプセルのようなマクラーレンF1

Gooding & Company / Photos by Mike Maez

ペブルビーチ・コンクール・デレガンスの公式オークションハウスであるグッディング・アンド・カンパニーから、2021年8月13日と14日に開催される第17回ペブルビーチ・オークションに、このスペシャルなマクラーレンF1が出品されることが発表された。非常に象徴的なこのスーパーカーは、オークションハウスが2日間にわたって開催するこの豪華なオークションで発表する目玉商品のひとつだ。

マクラーレンF1は、過去40年間に製造された自動車の中で最も重要なものとして広く知られている。ル・マン24時間レースでの総合優勝をはじめ、他の追随を許さない競争力を備えた自動車工学の力作だ。

グッディング・アンド・カンパニーのシニア・スペシャリストであるデビッド・ブライナンは「公道走行用とレース用のF1が合わせて100台しか製造されていない中で、この車は次のオーナーに非常に特別なクラブへの参加を約束するものです。驚くほどの低走行距離と魅力的な唯一無二のカラーコンビネーションを持つこの車は、事実上新車状態のF1を手に入れるという、まずありえない機会を提供してくれます。この車は、オークションウィークのトップセールを争うことになるでしょう」と述べている。


著名なデザイナーであるゴードン・マレーが発案したマクラーレンF1は、究極のロードカー、つまり道路用の真のF1カーとして構想された。F1プロジェクトは1988年、マクラーレンのF1チームを率いていたロン・デニス、マンスール・オジェ、クレイトン・ブラウンの3人が、マレーのユニークな3人乗りセンタードライブ・スポーツカーのコンセプトを製品化することを決めたときに始まった。センターにシートを置き、その両脇に助手席を配置するという、非常に珍しいデザインを実現したのである。F1は、マクラーレンの技術力を示すものであり、精密なエンジニアリングと細部へのこだわりを特徴とするだけでなく、ロードカー生産への新たな挑戦でもあったのだ。



1992年に発表されたF1は、瞬く間に「メカニカルな名車」と評価された。このスーパーカーはコンセプトが斬新であっただけでなく、カーボンファイバー、ケブラー、チタン、さらには金などの最高級の素材を用いて、1台1台が厳格な基準に基づいて手作りされた。F1は、マレーの妥協のなきデザイン精神に基づき、偉大なピーター・スティーブンスが設計したエレガントなボディワークを持ち、グランドエフェクトなどのグランプリ技術を用いてダウンフォースを発生させていた。自然吸気のBMWモータースポーツ製6リッターV型12気筒エンジンは、リッターあたり100馬力以上の出力を発揮し、7500rpmのレッドラインまで回転すると、人を酔わせるような吠え声を発する壮大なデザインでだった。また、革新的なカーボンファイバー製モノコックシャシー、6速マニュアルトランスアクスル、ブレンボ製ノーアシストブレーキ、専用の高速タイヤなどを採用していた。F1は純粋なドライバーズカーでありながら、快適なロードユースを目指して設計されており、巧みなエアコンシステムやケンウッドが特別に設計した軽量オーディオシステムなどが装備されている。



1992年から1998年にかけて、マクラーレンが製造したF1はわずか106台だ。F1は、そのデザインとエンジニアリングの質の高さを証明するものであり、自然吸気の市販車としては最速の240mphを記録している。また、F1はレーシングカーとして設計されたものではないが、競技用仕様のF1 GTRが1990年代のモーターレースを席巻した。1995年のル・マン24時間レースでは、F1を改造した初代GTRが1位、3位、5位、13位を獲得した。このF1 GTRで、マクラーレンは1995年と1996年にBPRグローバルGTシリーズのチャンピオンを獲得した。

新車時には最も高価な市販車であったマクラーレンF1は、現在ではコレクターズカーの中でも最も魅力的な車のひとつとなっている。F1は、現代のスポーツカーデザインの頂点であり、他のすべてのモデルを判断する際の基準となるスーパーカーなのだ。



シャシーナンバー029のこの1995年マクラーレンF1は、日本のコレクターのプライベートコレクションのひとつとして、これまでほとんど公開されることはなかった。日本にあった頃はほとんど運転されることもなく、丁寧にメンテナンスされていたため、現在のような素晴らしい状態になっている。現在のオーナーはアメリカ在住で、納車時の状態を維持している。驚くべきことに、このマクラーレンの走行距離は390kmにも満たず、グッドイヤー・イーグルF1タイヤの日付までもがオリジナルの状態で残っており、現存する中でも最高の保存状態を誇っている。



このスーパーカーのユニークさは、控えめなエクステリアデザインにぴったりの、センセーショナルなワンオフのカラースキームにも表れている。工場の記録によると、シャシー029は25台目のロードカーで、マクラーレン・カーズの設立に貢献した経営者にちなんで名付けられた特別なカラー、クレイトン・ブラウンが施された唯一のF1だ。この独特のカラーリングは、3人乗りのコクピット内のライトタンとダークブラウンのレザーシートと絶妙にマッチしている。



真のタイムカプセルとも言えるシャシー029には、マクラーレンのサービスブック、オーナーズマニュアル、FACOMツールチェスト、チタン製ツールキット、フィットしたラゲージ、タグ・ホイヤーの時計、公式ドライビング・アンビション・ブックなどの重要な付属品が付いている。今回のオークションは、オークションに出品された中で最も走行距離の少ないF1を手に入れ、モータースポーツ界でも有数のハイレベルなクラブに参加することができる、一生に一度のユニークな機会だ。

All images copyright and courtesy of Gooding & Company. Photos by Mike Maez

Gooding & Company
https://www.goodingco.com/

オクタン日本版編集部

RECOMMENDEDおすすめの記事