2代目NSXの最終モデルとなる
NSX タイプSの情報の一部がホンダから公開されたのはつい先日のこと。お待ちかねの方も多かったことだろう、モントレーカーウィークにて、北米アキュラブランドよりついにその姿が世界初公開された。「Precision Crafted Performance」というブランドのコミットメントを体現し、個性的でよりアグレッシブなフロントとリアのスタイリングは、一目でNSX タイプSだとわかる外観だ。
レースにインスパイアされたデザインとエアロダイナミクスアグレッシブなNSX タイプSの新しいデザインは、NSXのデザインの原点である「トータル・エアフロー・マネジメント」の基本原則に基づいている。エアインテークを大型化して角度をつけた新しいノーズと、大型化したリアエンドのディフューザーが一体となって、高速走行時の安定性が向上した。また、新形状のカーボンファイバー製フロントスポイラーは、空気の流れを車の下に導くことで、フロントの空力的な揚力を最小限に抑える。
また、フロントスポイラー、サイドシル、リアスポイラー、新型ディフューザーにカーボンファイバーを採用するなど、厳選した素材を随所に採用し、レーシーな雰囲気を高めている。カーボンファイバー製のルーフを標準装備することで、デザイン性だけでなく車体上部の軽量化による低重心化も実現。これまで樹脂だったフロントエアインテークの各メッシュはスチール製となっている。
ドライバーにフォーカスしたキャビンの強化初代NSXからインスピレーションを得た2代目NSXのインテリアは、人間工学に基づいたドライバー重視のデザイン。NSX タイプSでは、アルカンターラヘッドライナー、グローブボックスのタイプ Sロゴの刺繍、ヘッドレストのNSXロゴのエンボス加工などが新たに追加され、キーフォブにも「NSX Type S」のロゴを配している。また、アルカンターラとセミアニリンレザーの組み合わせとして、エボニー、オーキッド、レッドの3種類(オーキッド以外はオプション)が用意されている。
4つのドライブモードクワイエットモード - クワイエットモードは、容量と出力が向上したバッテリーと、ローギア化されたツインモーターユニット(TMU)を組み合わせたもので、停車時からの鋭い加速を実現。また、アクセルペダルを果敢に踏み込んだ場合でも、長時間の純電気モードを維持することができる。加えて、エンジン音が小さくなるようにインテークサウンドコントロール(ISC)がプログラムされている。
スポーツモード - 新しいラピッドダウンシフト機能の実装に加えて、スポーツモードでは、サスペンションのダンパーとスポーツハイブリッドスーパーハンドリングAWD(SH-AWD)のキャリブレーションが変更された。新しいサスペンションの調整により、ボディロールとブレーキダイブが減少し、より安定したターンインを可能にしている。また、SH-AWDを用いてトルクをベクトル化し、ヨーモーメントを発生させることで、ステアリングはよりスポーティで応答性の高いフィーリングを実現した。コーナー立ち上がり時には、TMUがトルクをアシストすることで、アクセルペダルの入力を抑えたダイレクトで軽快な走りを体感できる。
スポーツ+モード - ワインディングロードでの活発な走行を目的としたスポーツ+モードは、トランスミッションがフルオートマチックモードの時に早めのシフトダウンを行うなど、ドライバーが車との一体感を感じられるように再プログラムされている。SH-AWDは、トルクベクタリングを利用して、与えられたステアリング角度に対してよりアグレッシブな旋回フィーリングを作り出すことで、ターンインの向上を図るよう最適化されている。
トラックモード -トラックモードでは、2速から7速へのシフトダウン時の許容回転数を1,500rpm向上させ、サーキット走行時にエンジンが最も力を発揮できる回転数を維持しながら、ドライバーがパワーデリバリーをコントロールすることが可能。
パワー、トルク、加速感の向上高出力ツインターボV6エンジンとトルクベクタリング機能付きSH-AWDを組み合わせた第2世代NSXのドライブトレインは、ロードゴーイングのアキュラに搭載されているあらゆるドライブトレインの中で、最高のシステム総合出力600馬力と最大トルク667N・mを発揮する。オハイオ州のアンナ・エンジン・プラントの特別な施設でハンドクラフトされるこの専用3.5リッター75度V6ツインターボエンジンは、新しい燃料インジェクターとインタークーラー、NSX GT3 Evoと共通のターボチャージャーによって強化され、その結果、エンジン出力は500psから520psへ、トルクは550N・mから600N・mへと向上している。
アメリカ生産NSX タイプ Sを含むすべての2代目NSXは、オハイオ州メアリーズビルにあるパフォーマンス・マニュファクチャリング・センター(PMC)で製造されている。PMCは、当初から手造りの特殊車両を生産するために設計されており、先端技術の精密さと人間のクラフトマンシップの芸術性を融合させることで、少量生産の特殊車両を生産する手段を革新するために開発された施設だ。北米のアキュラ製品としては初めて、専用のマット塗装を施した10色のカラーバリエーションを用意している。パフォーマンス・マニュファクチャリング・センターでは、5層構造のプロセスを採用しており、車両に取り付けられる前に個々のパネルを塗装し、各パネルが完全に硬化してから次の塗装を施す。また、ゴッサムグレイと呼ばれる専用カラーは、限定70台のみのエクスクルーシブな仕様だ。
副社長兼アキュラブランドオフィサーのジョン・池田氏は、以下のコメントを述べた。
「NSXはアキュラにとって素晴らしいサクセスストーリーであり、パフォーマンスブランドとしてのアキュラの再構築をリードし、タイプSの復活の狼煙となりました。当社はエンスージアストの会社であり、来るべき電動化時代に向けて、次世代のスポーツカーがどうあるべきかを研究し続けていきます」
初代NSXとタイプS。価格は、ノーマルグレードが16万9500ドル(約1852万円)、上位グレードのライトウェイトパッケージが18万2500ドル(約1994万円)となっている。今回のNSX タイプSは北米アキュラブランドからの発表となったが、日本においてはホンダから発売される。日本市場導入がいつになるかは現状不明だが、続報を楽しみに待とう。
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