東京都心に再び舞い降りた驚速の赤牛たちが、神宮外苑特設コースをGO ON!|「轟音東京」Red Bull Race Day

Photography: Shinsaku YANO

12月19日、東京都新宿区・明治神宮外苑 特設コースにてレッドブルによるショーラン『Red Bull Race Day』が開催された。レッドブルと明治神宮外苑といえば、2019年3月に開催された「Red Bull Showrun Tokyo」が記憶に新しい方もいるだろう。当時は、今シーズンのF1世界選手権のドライバーズチャンピオンを獲得したレッドブル・レーシング・ホンダのマックス・フェルスタッペン選手と、チームメイト(※当時。現スクーデリア・アルファタウリ・ホンダ)のピエール・ガスリー選手が詰めかけたファンの前でF1のデモランを行った。

「轟音東京」というコンセプトのもと、今回はレッドブルカラーを纏い日本国内外でレースを闘う4人のレーサーが出走。SUPERGTやスーパーフォーミュラなど国内最高峰のレースで活躍する笹原右京、大湯都史樹、大津弘樹、そしてMotoGPからは中上貴晶の4人が神宮外苑前特設コースを走破した。

事前にインターネットで抽選販売されたプラチナチケットとも言える現地観戦チケットを手にした約4000人もの観衆が見守る中、オープニングセレモニーが華々しく催され、今回出走する4人のレーサーがHonda S660に乗ってパレード。ファンの声援に応えながら晴天の神宮外苑前特設コースをにこやかに周回した。



穏やかな、そしてゆるやかなパレードかと思いきや、2周目はそれまでの緩やかな速度とは打って変わってHonda S660での“本気”ラン! 本番のレースマシンでは事前走行ができなかったこともあり、レーサーたちにとってはウォーミングアップも兼ねていたのだろう。

そしていよいよ、レースマシンでの“非現実・轟音空間”が幕を開ける。



まずはSUPER GTからTEAM Red Bull MUGENの笹原右京が登場。笹原は8歳でカートレースにデビュー。ROTAX MAX CHALLENGEの世界チャンピオンに2度輝くなど、その才能を高く評価されるドライバーだ。4輪レースでは鈴鹿サーキットレーシングスクール・フォーミュラ(SRS-F)を卒業後、現スクーデリア・アルファタウリF1チームに所属する角田裕毅とも国内F4選手権でしのぎを削った。その笹原が駆るRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが轟音と砂塵を巻き上げ観衆の前を疾走する。

続いてSUPER GTでの笹原のチームメイト、大湯都史樹が同じくRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTを駆りスタート。大湯も国内F4で角田裕毅と競い、さらに海外ではEFO(ユーロフォーミュラ・オープン)にも挑戦。スポット参戦ながらシリーズを走り慣れたドライバーたちを抑えトップチェッカーを受けるなど、秘めた才能は折り紙付きだ。笹原同様、轟音を上げ走り出した大湯は、コースの折り返し地点である権田原で見事なスピンターンを決め観客のボルテージを上げる。



普段サーキットでGTマシンの走りを観ているファンにとっても、手が届きそうな距離で走るマシンは大迫力そのもの。初めてレースカーを間近で観る観客にとっても忘れられない“ファーストコンタクト”だったはずだ。

国内最高峰、そして最速のマシンで競われるフォーミュラカーレース、スーパーフォーミュラマシンを駆るのは大津弘樹。笹原、大湯同様SRS-Fを卒業し、2020年からSUPERGT GT500に参戦、今年からは「Red Bull MUGEN TEAM Goh」からスーパーフォーミュラにも参戦。第6戦のツインリンクもてぎ大会で初のポールポジションからそのままポール・トゥ・ウインでスーパーフォーミュラ初優勝を遂げている気鋭のドライバーだ。SUPER GTマシンに比べ軽量なスーパーフォーミュラマシン。特に今回のような一般公道ではより繊細なアクセル&ブレーキコントロールが要求されるが、大津は見事にマシンを操ってみせた。



単独走行でのトリを飾るのはバイクレースの最高峰MotoGPで、LCRホンダ・イデミツに所属し活躍中の中上貴晶だ。2020年は自身初のポールポジション獲得をはじめ10戦連続トップ10フィニッシュなど好成績を挙げ、日本人ライダーのトップに君臨する。その走りを日本で、しかも都心で観られるというのはなんとも幸運なことだ。



4輪のレースカーよりもさらに一般公道での操縦性がデリケートな2輪マシン。今回中上が操るのはMotoGPで走行しているRC213Vを一般公道で走行可能にするための仕様変更が施された、まさに「公道を走れるMotoGPマシン」であるRC213V-S。わずかな仕様変更に留まり“ほぼMotoGPマシン”といえるRC213V-Sを手足のように操り、異次元のライディングを見せる中上の走りに集まった4000の観衆は大きな拍手で応える。

続いては噴水前広場エリアで「Red Bull MUGEN TEAM Goh」のピットクルーがスーパーフォーミュラマシンのタイヤ交換をレースさながらに披露。



SUPER GTマシンとMotoGPマシン、そしてスーパーフォーミュラマシンとMotoGPマシンが同時に走るという夢の競演も実現した。





インターバルには、今年のF1を戦ったレッドブルドライバーたちがサプライズゲストとして画面越しに登場。スクーデリア・アルファタウリ・ホンダからはピエール・ガスリー選手、角田裕毅選手が、レッドブル・レーシング・ホンダからは冒頭の通り2021年F1世界選手権ドライバーズチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタペン選手とセルジオ・ペレス選手、チーム代表のクリスチャン・ホーナー氏から日本のファンに暖かいコメントが寄せられた。

そして轟音空間はグランドフィナーレへ。なんと先ほど2台で同時走行したSUPER GTマシンとMotoGPマシンにスーパーフォーミュラマシンが加わっての3台同時走行という大迫力のデモランが繰り広げられ、イベントの盛り上がりは最高潮に。普段のレースでは決して見られない数々のシーンを目の当たりにした観客はレースマシンが去ったあと、ついさっき見た光景は夢か現かという表情で路面に残ったブラックマークに目を落とし余韻に浸っていた。



前回に続いて二度目の公道デモランイベントだったが笹原をはじめ選手が異口同音に語っていたのは、こういったイベントで少しでもモータースポーツの速さ・迫力・面白さを知ってもらい、サーキットへ足を運んでもらいたいということ。ファンが増えればモータースポーツも文化として日本にしっかり定着し、より明るい未来が拓けるのではないか。そんな機会を実現した今回のレッドブルは、まさに日本のモータースポーツに「翼を授ける」存在のひとつではないだろうか。




文・写真:矢野晋作 Words and Photography: Shinsaku YANO

文・写真:矢野晋作 Words and Photography: Shinsaku YANO

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