次回のフランス旅行の目的地にいかが？｜ディジョンの美食アトラクション

ディジョンという街。何度もそこを通っていたものの、これまで訪れたことがなかった。ディジョンは食文化においても重要な都市である。ディジョンマスタードは有名だが、エスカルゴやトリュフもディジョンを代表する。そうだ、カシスも。そんなディジョンの食に触れることのできるアトラクションが誕生した。“Cité de la Gastronomie et du vin”（食とワインの都市　=　シテ）だ。

フランスの食文化が世界無形文化遺産に登録され、フランス政府は4都市に食の文化施設を建てるという決定をした。そのひとつがこのディジョンのシテだ。ディジョンはブルゴーニュ地方に位置するためワインでも有名であり、これはそのワインと食のガストロノミーを集約した施設なのだ。

モダンな建物のシテ。ブルゴーニュ地方の新名所になるはずだ。

食の歴史を楽しく学べるアトラクションや、パティスリーのコーナーもある。科学的に食を楽しむために学ぶため、視覚、聴覚、臭覚、味覚、触覚の五感などについて真剣に語られている。その奥にお肉、お魚、そして3000銘柄に及ぶワインセラーなどのショップが並ぶ。

食の五感について紹介したコーナー。パネルは嗅覚について。

マカロンについてのお話。元々マカロンは今のようにクリームが挟まれているのではなくクッキーのようだった。それをマリーアントワネットが好んでいた。コッポラの映画のマカロンでないことも指摘。

もともと病院だった跡地に建てられたといい、敷地内にある教会は修復された。外観は元のままだが中はブルゴーニュ・ワインについての展示施設へと変貌している。

教会の中はワインを中心としたディジョンの名産を紹介する展示となっている。

ディジョンはマスタードやカシスが特に有名である。

ショップではサンドイッチやちょっとした食事もできるようだが、せっかくならレストランで食事がしたい。このシテのために用意されたレストランはテラスを併せて50席ほどのもの。ミシュランの三つ星レストラン、メゾン・ラムロワーズのシェフ、エリック・プラスによって任命された若手のホープ、ケビン・ジュリアンが腕を振るうレストランだ。ソムリエのユーグ・ピコによって選ばれた50種類が用意され、食事と合わせてグラスワインで楽しむことができる。

食とワインを楽しめるレストラン。空いていると油断するなかれ、実は予約で一杯なのだ。

実はここに訪れるように決めたのはその日の朝で、レストランにも予約を入れていなかった。12時ちょっと前に行ってみると席を案内され、それほど混んでないだろうと思っていた。僕のあとに来た一組も席に案内されていたが、その後は予約で一杯だと断られていた。気がつくと空きのあったテーブルはいつの間にか満席。もしここに行くなら予約をおすすめする。そして早めに行くこと。そうでないとせっかく席に着くことができてもメニューから選べる料理も限られていくからだ。ワインに詳しくもないので、料理を注文したあとにそれに合うワインをとお任せてしまったが、それで十分楽しめる。

前菜の前にオーダーしたフイヤンティーヌ エスカルゴ “Feuilleté escargots”。予約で席をキープしていても、遅い時間だともう売り切れで食べられないものも。これも即売り切れとなっていた。

前菜は 半熟卵とエスカルゴのワインソース“Œuf parfait et escargots, sauce meurette”。ディジョンと言えばエスカルゴ。

メインは鶏のガストン・ジェラード “Poulet dans l’esprit de Gaston Gerard, pommes de terre et persil plat”。ディジョンの視聴だったガストン・ジェラールの名が付いた料理。皮はカリカリ、肉はしっとりと焼かれコンテチーズとクリームの濃厚ソースとの相性は抜群。

シテでは毎日、料理教室やワインの試飲などのイベントが行われていて、体験も楽しめる。スタッフには日本人もいて日本語で対応してくれるのも旅行者には安心材料だ。

フランスの中でもディジョンの食材を活かした料理を気軽に楽しめるこの新しい”アトラクション”。次回のフランス旅行の目的地にするのはいかがだろう？


写真・文：櫻井朋成　Photography and Words: Tomonari SAKURAI