19世紀の水着で海へ!ノルマンディのビーチで夏の終わりを満喫

Tomonari SAKURAI

海岸線にあるトルヴィル=シュル=メール。ノルマンディの中でも美しいビーチのある街。ポスター画家のサヴィニャックの街でもあり、あちこちに作品が飾られている。犬の扱いやたばこの吸い殻についての注意書きも街の雰囲気と併せて統一している。

プロムナード・サヴィニャックと名付けられたボードウォークにはサヴィニャックのトルヴィルに関する作品を連ねている。

鉄道などが発達しはじめた19世紀。パリから夏の避暑地として多くの人が訪れた。その当時を再現しようとLa Compagnie de l'Histoire et des Artsが企画しているイベントDownton-sur-Merに参加した。以前モーリス=ドニ美術館ルイ15世のイベントでもお伝えしたアソシエーション。その時代のモードを考察し忠実に再現する。服装は見かけだけでなく下着からアクセサリーまで当時のモノを再現する。そして、食事やそのマナーも当時のモノを再現する。子供達がプリンセスに憧れてドレスを着ることをフランス語では”デギズモン”という。フランスで流行っているアニメのコスプレもそれにあたる。

中央のパトリシア。南フランスから参加。非常に詳しく厳密で細かいところまで指摘してしまう。お孫さんを連れての参加だが、その振る舞いにも厳しく指導。

だがここでは”コスチュメ”なのだ。このアソシエーションの行動範囲はパリ周辺のイル=ド=フランスだが、この日だけはノルマンディまで足を伸ばしているもの。年間のイベントでも、もっとも賑わう。参加者はこの日のために服装を準備する。当時の古い服を探してそれを直す人もいれば、当時のスタイルを参考に仕立てる人もいる。下着にコルセット、帽子や手袋、グローブも。もちろんヘアースタイルも大事。殿方は髭も忘れてはいけない。そして参加者の多くがビーチのすぐそばにあるヴィラと呼ばれるやはり19世紀のスタイルの大きなお屋敷を借り切って週末を過ごす。

ビーチを一望出来るお屋敷ヴィラのバルコニーから。テリーは今日は水兵さんだ。

天候に恵まれ、9月になったことで本当のバカンスは終わりビーチも少し落ち着きを取り戻している。19世紀のビーチを再現するということで特に水着の着用もある。その水着を着て当時は海水浴は健康にいいと言うことから海中体操が行われた。ビーチでは夏のバカンスを再現。ランチはビーチで。ノルマンディならではのリンゴ・ジュースやシードルが振る舞われた。食事のあとは当時のビーチでの遊びを再現。子どもも大人も参加する。水平にした棒の下をくぐるリンボーダンスのようなゲームから綱引きなど。運動会のないこの国で子供達も初めての綱引きに興奮。力一杯綱を握ったせいで手のひらが痛くて泣き出す子どもも。大人達も子供達以上に真剣だ。

煙突掃除用のブラシを使ってビーチで遊ぶ。これは19世紀の遊びの一つだった。

綱引きも19世紀の遊び。こちらも本気。

9月の第一週の週末のトルヴィルは毎年19世紀になる。一般の人も“去年と違って軍人さんが少ないな”などもうこのイベントは定着している。この日の終わりが近づくと参加者は早くも来年はどんな服にするか思いを巡らすのであった。

水から上がって記念写真。


写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI

写真・文:櫻井朋成

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