ファーストクラスのさらに上を行く、ビジネスジェットの世界

Ryota SATO

快適な移動を支える、関係者の努力


到着後、朝日航洋の関係者に話を聞いた。ビジネスジェットのメリット、特に時間の有効利用と快適性について感想を述べると、営業部長の小澤氏はこう語った。

「ビジネスジェットのメリットを感じていただき、大変嬉しく思います。実際に、これまでご利用いただいたお客様からは、オーダーメイドでご希望のプランを実現できることや、充実した最上級のサービスについて、高い評価を頂いています。しかし、そのような目に見える形のメリットの実現以上に、私たちは安全性の確保を重視しています」

営業部 部長 小澤徹也氏

どういうことか。朝日航洋には運航管理者が複数常駐している。難易度の高い国家資格で、気象情報や機体の整備状況などから総合判断し、飛行計画を作成する仕事だ。また、飛行中は陸上から空の安全を見守る役割も担っている。近年、ビジネスジェット機の運航者に対する運航管理者の配置義務の緩和があったが、朝日航洋では運航管理者が1機にひとり専属でつき、出発から着陸まで常にモニターしているそうだ。今回取材したフライトも、モニターしてくれていたのだろうか。担当した運航管理者の今井氏は、こう語った。

「もちろん、ずっとモニターしていました。運航管理の優先順位は、安全性・定時性・快適性の順になります。本日のフライトは、天候が荒れることが予測されていました。その条件でも安全に飛行できる準備をし、さらに、できる限り揺れが少ないプランを作成しました。パイロットからもほとんど揺れなかったと聞き、ホッとしています(笑)」

運航管理部 運航管理者 今井雄大氏

パイロットの意見も聞いてみよう。今回のフライトで操縦桿を握った池上氏は、こう語った。

「私たちは安全性、定時性、快適性をベースに考えています。その上で、お客様のご希望にそえるように考えて運航しています。本日は富士山の近くでの強風と、長野方面に発生する雪雲による揺れをどのように避けるかをメインに考え、経路を変更しながら飛行しました。パイロットだけで飛ぶことはできません。すべての関係者の協力で、安全で快適な運航が成り立っています。本日の運航管理者の判断はベストチョイスで、我々も助かりました」

左:機長 市野文啓氏 右:副操縦士 池上悟朗氏

関係者の誰もが、安全性を最初に語っていたのが印象に残った。考えてみれば当然のことだが、安全性が担保されていてこそ、プライベートジェットでの快適な旅を楽しむことができるのだ。

さいごに、気になる費用にも触れておこう。オーダーメイドの飛行となるので定価はなく、すべて見積りとなる。しかし大まかな費用は次のような計算で出すことが可能だ。ビジネスジェットの保管場所(今回の場合は県営名古屋空港)から出発空港までの回送費用+出発空港から到着空港までの飛行費用+到着空港から保管場所まで戻る回送費用。つまり、保管場所からビジネスジェットが出て、戻ってくるまでの費用がかかると思えばいい。細かくはその他に発生する費用もあるが、たとえば羽田国際空港から新千歳空港へ1泊2日で往復した場合、約600万円となる。

たしかに高額ではあるが、すでに多くのリピート顧客がいるそうだ。その大多数が、安全性が担保された上での柔軟性と快適性にメリットを感じているという。ビジネス利用かプライベート利用かを問わず、もっと時間を効率的に使いたい人や、欲張ったプランを実現したい人、そして究極のサービスを受けたい人にぜひお勧めしたい。


取材協力:朝日航洋株式会社
https://www.aeroasahi.co.jp/aviation/traveler/jet/


文:湯淺伸一郎 写真:佐藤亮太、朝日航洋株式会社
Words: Shinichiro YUASA Photography: Ryota SATO, Aero Asahi Corporation.

文:湯淺伸一郎

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