どんどん出てくる「To Doリスト」は、クラシックカーとの付き合いではよくあること?

Octane UK

『Octane』UKスタッフによる愛車日記。今回は1962年 フォルクスワーゲン・ビートルに乗るマシュー・ハウエルのレポートだ。直しても直しても次々出てくるメンテナンスのTo Doリスト。しかし途方に暮れるのではなく、ゆったりと紅茶を楽しみながら取り組むなんて、なんとも英国らしいではないか。



古い車と付き合ううえでの“あるある”なのだろうか。作業のリストを作り、済んだものにチェックを入れる。さらに2つ追加する。その作業が終わったらまた必要な作業が追加され、A4用紙の一面がリストで埋め尽くされるまで延々と繰り返される…

これが分かってもらえるなら、数カ月前の私の気持ちも十分に理解してもらえるだろう。その頃、私はビートルで、『Octane』UK版副編集長のマーク・ディクソンはマスタングで、他の仲間たちとベルギーでのスパ6時間耐久ヒストリックレースに向けて旅立つ準備をしていた。その時の状況がまさに上述のリストアップ作業とのいたちごっこだったのだ。

幸い、そのロードトリップが近づくにつれ、リストアップされた項目がどんどん少なくなっていった。出発までには、私の古い1962年式の車をうまく走らせるために必要なことはすべてやり尽くしたと言えるほどの仕上がりだった。

その後の4日間、私のビートルは期待を裏切らない走りを見せてくれた。本当に楽しい旅になった。帰宅して走行距離を確認したところ、750マイル以上も走っていた。やはり仲間とのトリップは最高だ…。

しかし、長時間ひとりでハンドルを握っていると、このビートルをもっと良くするにはどうしたらよいだろうかと思いを巡らせてしまう。時速70マイルで走るのはたしかに楽しいし、Bロードのワインディングでは最高のパフォーマンスを発揮してくれる。だが、大きなトラブルに陥ることはほとんどなくても、30年も所有していると、気になる部分は出てくるものだ。とにかく、車内の音がうるさい。後ろのエンジンルームにある2つのIDFキャブレターのせいだ。そしてシートベルト。何をやっても数分おきに肩から滑り落ちるのだ。些細なことだが、非常にうっとうしい。しかも危険だ。

私の車は、ビートルにしてはハンドリングは悪くない。しかし考えれば考えるほど、前後のアンチロールバーを強化することでさらに改善される、と確信するに至った。

そして突如として、私の“リスト”は再び増え始めた。2種類の消音材、ニュートン・コマーシャル製のカーペット、内装にマッチした灰色のハーネスセット、ドイツのVWチューニングエキスパートのCSP社製のフロントとリアのアンチロールバーのセットアップ…等々をオンラインで注文することになった。

カーペットの完成には10週間ほどかかるというので、その間に車内騒音の原因となる後方の内装を剥がし、消音材を二重に敷き詰めた。この作業はとても満足のいく結果となった。しかも粘着シートなのでとても簡単だった。



次はハーネスの番だ。シンプルな4点式にしたことで、以前の3点式ベルトが肩から落ちてしまうという問題を完全にクリアした。とはいえ、これしきのことに30年もかかるとは…。我ながらいささか驚いている。



その後カーペットは届いたのだが、その説明書にはこう書かれていた。「取り付けには少なくとも2日かかるので、お茶をたくさん飲むこと」。たしかに取り付けは実際には3日かかり、ティータイムを存分に楽しむことになった。その努力とたっぷりの紅茶のおかげで、カーペットはぴったりとフィットし、見た目もとても良くなった。もちろん、騒音の低減にも効果があった。

アンチロールバーはまだ装着していない。時間がないのも事実ではあるのだが、もし装着してしまえば、私の“作業リスト”もついに完了してしまう。いやしかし、そんなことは永久に起こりえないこともわかっている。終わりなき“リスト”とのいたちごっこはまだまだ続くのだ。


文:Matthew Howell

Matthew Howell

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