京都・北野天満宮に現代の牛馬が集う|KYOTOスポーツカー・ヘリテージ・ギャザリング&パレード2023

Hidehiro TANAKA

緑映える4月の古都、京都。北野天満宮にて「KYOTOスポーツカー・ヘリテージ・ギャザリング&パレード2023」が開催された。今年で6回目を迎えたこのイベントは、京都在住の自動車ライター西川淳氏の主催、Kiwakoto、CARZY、StarCraftの協力によるものだ。コロナ禍により2020年と2021年は開催が叶わず、昨年、小規模で再開され、今年ようやくコロナ前と同規模で開催する運びとなった。

参加資格は「古今東西のスポーツカー」、そして今年のメインテーマは「ランボルギーニの60周年」だ。



会場は北野天満宮の完全バックアップのもと、境内脇の右近の馬場が充てられた。ここで北野天満宮の「牛」「馬」との縁を少し振り返ってみたい。その昔、右近の馬場には御祭神の菅原道真公を守るべく、神使である牛が100頭以上集まったこともあるという。また武士からの信仰も厚く、右近の馬場では「馬の調教」も行われ、日本で最も古い競馬も開催されたという由緒ある場所なのだ。

イベント開催のきっかけは、自動車ライター西川氏と現在、権宮司の神原孝至氏が参拝を通じて知り合ったことによる。神使である伏せ牛がランボルギーニに似ていること、また本殿にある彫刻の立ち牛(天満宮では立ち姿は非常に珍しい)がランボルギーニのエンブレムに酷似していることから、イベント開催を思い立ったのだという。





この由緒ある会場に現代の牛馬、新旧併せて20台のランボルギーニと35台のスポーツカー、合計55台の名車が朝7時から続々と集った。



メインテーマのランボルギーニはミウラ、カウンタック、ウラッコ、ディアブロ、アヴェンタドール、ガヤルド、ウラカンが参加。交通安全祈願に加えて、午後には白バイ先導による上七軒パレードが行われ、沿道の観客の目を楽しませた。







そのほか、グンペルトアポロ、フォードGT40、ポルシェ904といったレアモデルも多数集結。中でも世界に一台のトムスエンジェルには多くのエンスージアストが群がっていた。



トムス・エンジェルT01のオーナー高尾政宏氏(中)を囲むのは、トミーカイラの富田義一氏(左)と解良喜久雄氏(右)。1994年の東京オートサロンで発表されたトムス・エンジェルT01は、プロトタイプとして終わったため、世界に1台しか存在しない。ちなみに当時のトムスGB社長はあの鮒子田寛氏だ。富田氏と解良氏、そして鮒子田氏、いずれも京都が誇るカーガイたちである。

また、天満宮の新しい施設である文道会館において「古都京都より自動車の未来と文化を考える」をテーマにシンポジウムが開催された。ゲストに京都先端科学大学学長の前田正史氏、モータージャーナリストの岡崎五朗氏、地元で人気のキャスター&ジャーナリスト竹内弘一氏を迎えて、自動車の現在地と文化性、そして未来を参加者と共に大いに語り合った。単なる展示に留まらない、伝統と文化と学問の都にふさわしいアカデミックな要素も備えたイベントであるといえるだろう。

北野天満宮という全国でも有数の名所での開催ということに加え、気候もよく絶好のイベント日和だったことも幸いし、会場は全国から足を運んだ多くエンスージアストや近隣住民で賑わった。また外国からの観光客からの注目も抜群に高かったことは言うまでもない。





新緑の季節の北野天満宮の風物詩として定着してきた「KYOTOスポーツカー・ヘリテージ・ギャザリング&パレード」は来年も同時期に開催される予定。開催日は4月21日を予定、テーマは「テスタロッサの40年、ベルリネッタボクサーの50年」になるとのこと。早くも来年の開催が楽しみだ。



写真:タナカヒデヒロ Photography: Hidehiro TANAKA

オクタン日本版編集部

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